見出し画像

おもちゃの収集癖はいつ止めれるのか

コロナウィルスが発見され報道されたのが2019年11月。あれから2か月少しくらいして翌年2月からウィルス拡散の懸念が広がった。全国でウィルスによる感染で死者が出始めた。2020年の3月だった。人々は外にいくことが制限された。もうかれこれ3年以上が経過している。そうすると仕事や学習をするのにも家の中でしなければならない。ストレスが相当にたまってくる。

そんなときストレスを軽減するのにどうするか。ひとつにおもちゃにさわるということが行われた。子供のころに遊んだおもちゃをさわってひとりで家にいること。どこか安心を与えたのであろう。そこにいろいろな企業がつけこんでビジネス展開しはじめた。

あるオンラインイベントでおもちゃメーカーの販売戦略について話題になった。ある調査によると2022年アメリカではおもちゃの売れ行きにちょっとした変化が起きた。売り上げの14%を大人向けが占めているという。売れ行きは堅調で前年比19%の伸びを記録した。多くのメーカーが市場に参入した。

レゴ社はスターウォーズやハリーポッターを模った製品を販売しはじめた。少女向けのバービーで有名なマテル社は大人向けのバービーを開発した。それだけでなくバービー・カフェを展開。熊の人形はビールやウィスキーをかかえたものまで登場。マクドナルド社では大人向けにハッピー・セットを販売しているという。

これは人の本能的な願望をついたビジネスで収集癖を煽る。はたして大人がおもちゃを集めることにはどのような背景があるのか。ここで大人というのは18歳以上の男女をいう。通常大学に進学しているか働きに出かけるかのどちらかである。

このビジネスの展開について賛成するのか反対するのかについて話された。4人集まったグループでは20代が2人とシニアが2人という構成だった。20代の人たちはこういう意見だった。

ビジネスにとってよければいいのではないか。20%も増益している。いいことだ。それにおもちゃでストレス軽減になるのであればなおいい効果があるといえる。SNSで紹介すればなにかと話題にできる。そんなところだった。

はたしてほんとうにそうだろうか。わたしはこのビジネス展開には反対である。理由は3つある。ひとつはこの収集癖は止められなくなる。次にこれがストレス軽減には必ずしもならず科学的に実証できない。むしろ逆効果になるのではないか。そしておもちゃビジネスが群がってトレンドがエスカレートする。どういうことだろうか。

18歳になって小さな子供向けのおもちゃを買うというのは突然にやってくるものではない。10歳になっても買うことをやめることができずそのまま18歳になった可能性がある。そして20歳を過ぎてもおもちゃを買い続ける。かなり長い間買い続けきたとも考えられる。興味がいつまでも継続してあるということがいえる。抜け出せない。おもちゃを集め続けるという収集癖になってしまっている。

おもちゃのお店をのぞきにいきたくてしかたがない。例えば東京銀座にある博品館は有名なところだ。そこが気になって仕方がない。近くに行ったらついのぞいてしまう。そういった意識が働いている。どこかたのしい気分になる。しかしそれはほんとうにストレス軽減になるのだろうか。

閉ざされた家に長くいるとストレスがたまるというのはほんとうであろう。それはマイナスをもたらす。運動不足、気分がめいる。ズームばかりで集中できない。睡眠がよくとれない。どこか不安なことが多い。それには専門家の意見を聞く方がいい。好きで気分がよくなるからといっておもちゃを買って時間を過ごすというのがほんとうにいいのかどうか。

かえってストレスがたまるのではないか。ひとりでいるのと友達といるのとどちらがストレス軽減になるのか。天気のいい日は外に歩きに行く。景色のいいところを走る。友達と映画を見に行く。好きな本を読む。音楽を聴く。友達とおいしい食べ物を食べて自分にご褒美をあげる。こんなところでのんびりする方がいいだろう。おもちゃというのは相いれないだろう。

そしてこういった性向に営利企業がつぎからつぎへとつけこんでくる。先ほど挙げたおもちゃメーカーがお金儲けに参入してくる。レゴでつくったスターウォーズやハリーポッターの本まで出版する。映像化して動画サイトに投稿する。バービーを集めたイベントを開催する。カフェやレストランを展開して飲食販売をする。中にはお酒を販売する。これが対象年齢4歳から7歳のおもちゃを集めてすることだろうか。

そして人形に着せた服とそっくりな服を販売するところが現れる。アパレルメーカーが参入する。ひいては人形がもったビールやウィスキー。そこでお酒のメーカーがこのトレンドに乗っかって販売をしはじめる。そういった事態にエスカレートしていく。企業にとってはいいことかもしれないがどこかおかしくはないか。

遺憾であると認めざるをえない。こういった映画まで公開されるという。この映画をわざわざお金を払って本気で見にいくひとがいるのだろうか。

Barbie, July 21, 2023

ばかげている。成熟していない。そして収集癖から抜け出せない。そういった指摘があろう。

さて私の文章を読んでいる大学生の読者はどのような反応をするだろうか。大学生であれば自分の部屋を持っているひとも多い。都内の大学に通うのであれば親と一緒に住んでいる。自分の部屋をちょっと見てみておもちゃがあるかどうか。まさかあるわけはなかろう。もしあるとすればひょっとしたらおもちゃの収集癖があるのかもしれない。

いつ止めれるのだろうか。おもちゃのパッケージには対象年齢というものが記されている。たとえそれが大人向けであろうがおもちゃを見てみればわかるであろう。おもちゃというのはほとんどが小さな子供向けに販売されたものであり18歳以上のおとなが買うものではない。