水元公園で気になったこと
40年前に首都圏に引っ越してきた。なんでもそろっている。不自由がない。週末を利用して都内水元公園はよくいった。家族でいくところとしては最適だった。敷地面積が広くて子供を遊ばせておくにはほどよい広さだ。広すぎるということはない。見えないところに行ってももどってくる。
やがて子供が小学校から中学校へ。高校生になるとほとんど興味を示さなくなった。子供は水元公園に興味を失った。だがわたしはこの公園が好きだった。いまでも週末になると車を駐車場に止めて1時間散歩をする。夏場になると朝8時くらいからスタートする。散歩コースは決まっている。
橋があるところまで15分くらいかけて歩く。レンタルサイクル店を右手に進み、BBQショップで折り返す。そうやって駐車場にもどると1時間の散歩コースである。本来であればもう少し足を延ばしてカワセミの見れる池までいきたい。しかしあそこまで行くと1時間30分くらいかかるのでいかない。
そんなお気に入りのコースではあるけど、ちょっと気になることがあったので書いてみることにした。それはレンタルサイクルとBBQショップでのことだった。
レンタサイクルは10時から16時まで自転車を貸し出してくれる。2時間で200円。いつか借りたいと思っている。しかし通りがかってみると自転車の数が減っている。6~7台くらいしかない。どうしたんだろう。そこで係の人に聞いてみた。
いつもより自転車の数が少ないようですが、そんなことはないですか。すると係の人の反応は意外だった。1日に3台しかレンタルしないんです。午前中は借りに来る人はいない。夏場だと暑くて水元公園に来ない。来たとしても自転車に乗って運動する人が減ったという。
これをどう解釈すればいいのだろうか。夏場でも暑くなった7月初旬であれば理解できる。身体が暑さに慣れていないからだ。しかし1か月もすれば暑さに慣れてくる。いや、身体を慣れさせなければいけない。まさか8月になってもエアコンの効いたところに1日いるわけではなかろう。エアコンは身体にはよくない。外にでかけて自然の風に触れた方がいいだろう。
係の人の話ではそうでもないようだ。どうやら夏場は9月の終わりまでエアコンのあるところで過ごしてしまうという。学校でも熱中症や脱水症状に注意するように指導するという。マニュアル優先である。
これはよくない。マニュアルというのは一般的なことが書いてあるだけであって、個人の適応ということには触れていない。あくまでも理屈であって、人の適応力というのはまだまだ解明されていないところが多い。実際にサイクル店で仕事をしている人は現役を引退した人たちである。その人たちが屋外で働きながら1日中エアコンなしである。
夏場でも外で自転車に乗ることはできる。むしろ積極的に身体を外気になれさせて汗をかく。そして自然の風にふれたほうがいいだろう。
そうやって係の人の話を聞いた後にBBQショップにいく。そこでも意外なことに気づいた。それはこのショップではBBQを食べるのに手ぶらで来れるという。簡単で面倒がいらない。事前に電話かネットで申し込みをしておく。すると焼いて食べるだけという。4名からで1万2千円だそうだ。
値段はともかく手ぶらで器材と食材はすべてショップが用意してくれる。グリル、テーブル、いす、お皿、割りばし、調味料とセットになっている。しかもBBQを終えたあとは器材を洗う必要はない。ショップのひとが洗浄をしてくれるという。すべてのおぜん立てができており、食べるだけのものである。あとかだずけはない。これをどう解釈したらいいんだろう。
たしかに面倒ではない。しかしBBQというのは食材を買ってきて食べるものだ。自分たちで器材を用意する。その準備というのが楽しいのではないか。また終わった後のあとかたずけもよい。かだずいていくところはなにかしらの達成感になる。これを面倒くさいというように考えない方がいいのではないか。
たしかに食べるだけであれば楽である。しかし屋外BBQというのはあれこれと考えて面倒なことをやるのも楽しい。ハプニングもあって、家や店でできないことをわざわざやるところだ。そうやって楽しむものではないか。
公園側は場所だけ提供すればいいと考えている。ここまでなんでもそろってしまうと焼き肉店と変わりがない。悪くはないが、やはり屋外は自分たちで器材、食材を用意したほうがいいだろう。
水元公園にはいまも週1回散歩に行く。女房や子供はもう一緒に来ないけど散歩するのはいいところだ。
園内のサービスにもこの40年で変化が出てきたようだ。なんでもお金で買おうとしないほうがいいだろう。また近くにこれだけの施設がある。遠くに行かなくても十分に楽しめる都内の公園であろう。