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女性はワーキングホリデーを利用する

わたしは愛知県豊田市で生まれ育った。親の都合で転居することはなく高校まで同じところにずっといた。小学校、中学校、高等学校と同じ景色を見ながら過ごした。そうするとふとどこか違ったところに行きたくなる。外の世界というのはどういうところなのか。自然と芽生えた欲求だった。当時それになんらかの説明を加えようとはしなかった。

何かを愛知県の外に求めた。ちょっとした好奇心と冒険心だったともいえる。18歳のある昼下がりになにげなくつけたテレビはNHK教育番組。そこで英会話をしていた。司会の女性は日本人。アメリカ人のゲストとなんの不自由もなく英語をかわしていた。こんなことってできるのか。自分にもなれるだろうか。そして3年後わたしは東京でなくアメリカにいってみた。ほとんどなにもわからなかった。

あるオンラインイベントでワーキングホリデーについて話題になった。東京では制度を利用してオーストラリアやカナダに行く人が増えているという。30歳までであれば働く許可が与えられる。人気なのは最低賃金が日本の2倍であること。一時間あたり$14(約2千円)。8時間働けば日給1万6千円がもらえる。月給32万円くらいにはなろう。

海外で切り詰めた生活をする。半分を現地の生活費とすれば月に16万円貯金できる。年2百万円くらいにはなろうか。3年もすれば5百万円くらいは貯金をして帰国できる。

ただイベントの中で気になる指摘をしたひとがいた。若いひとにアンケートをとるといきたいというひとのほとんどは女性であること。男性の90%は海外で働きたくないという。それよりは東京にいて東京にある会社で働き、東京にある実家から通勤する。一人暮らしがしたくない。一方で多くの女性の方が海外にいきたいという。この背景にあるのはなにか。

ひとつには東京の女性は男性よりリスクをとること。それを苦にしていない。次になるべく自由になりたい。独立心が強く家族や親戚から離れて自由になりたい。ドメドメして物事に悲観的な日本を離れつ。より楽観的な海外でネットワークを広げる。いろいろな友達をつくる。そうして3年後に帰国して東京で就職すること。そういったことを考えているのではないか。

まずリスクをとるということはどういうことか。これはワーキングホリデー制度を利用する側にまわるということでしょう。東京での就職の機会を捨てる。給料が低い。男女間格差もいまだに是正されない。同じ大学を出て成績もいいのに日本ではいい給料でない。仕事内容もそれほどよくない。ならばリスクをとって海外にいったほうがいい。

オーストラリアの最低賃金は日本の2倍。日本では半額の1千円程度。ならば海外に行く。それはだれでも考えうることです。そうした方がいいでしょう。3年の海外生活はリスクはあるもののメリットの方が大きいと判断している。

もうひとつは22歳で大学を卒業。りっぱな大人です。可能性を信じてなにかに挑戦したい。しかも独り立ちをして親や親戚の束縛から早く逃れたいという。わたしの場合は愛知県にいたときにだれよりもそれを強く感じていたことがあります。たまたま愛知県に生まれ育っただけであり外の世界にいき自由になりたかった。そうなりたい過程で見つけたのが海外でありアメリカでした。

しかもアメリカ人というのはつきあってみるとよくわかります。あまり悲観的でない。現実的ではあるもののそれほどウジウジとしていないのです。ウジウジしているとアメリカでは友達はできませんから自分からもポジティブになっていく。なんとかなるさ。そのように考えて細かいことにこだわらなくなります。

周りに細々とこだわる人が少なくてスポーツ観戦やコンサートに気軽にいけます。なによりあっけらかんとしていて自由にふるまうひとが多い。束縛がない。規律はあってもだれも守らない。教師や上司ですらあまりこだわらずに仕事をしています。オープンなところから友達もできやすい。

働きながらお金を貯めて友達を海外につくる。それが人気のひとつでしょう。そういった生活を3年くらい続けてみる。30歳までであれば帰国後の再就職においてもスキルをつけるための制度も国内に用意されている。英語も現地の人たちとやりとりをしているために実践的に使うことができるはずでしょう。

40年前には国境を越えて海外に居場所を求めることは自然でした。わたしはリスクをとるとは考えてもいなかった。ただ今の東京ではどうも事情が違うようです。より内向きになり安定志向。家と会社で同じ環境にいることを好む。これが悪いというわけではありません。

しかしわたしの経験からして英語が少しできるのであればワーキングホリデーを使うのは悪いことではない。むしろ海外の空気を吸って友達ができて帰国するのであればより前向きな姿勢で過ごせるのではないか。30歳まではリスクではなくチャンスといえましょう。そのチャンスのきっかけをつくったのはあのNHKのテレビ番組だったといえる。あの時にこみあげたきた欲求に自然に答えた。

別に東京にいてもいいけど。それよりは海外にいって何かをしてくる。そういう人たちがいることはポジティブにとらえたい。