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ファイナンスと経済の落とし穴

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経済学部に所属する大学生向けに書いています。金融や経済で気づいたことです。 抑制と均衡(Check and Balance)とは権力が特定部門に集中するのをさけ各部門間相互の均…
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#金融

生成AIが証券アナリストの仕事を奪う

1980年代の7年間は金融の世界にいた。東京霞が関を舞台に外資系の証券会社で株神話、土地神話が生まれた。だれもが浮かれてあのまま好景気は続くものと思われた。新米のわたしでさえ、虎ノ門に所狭しとあったカフェに立ち寄り、千円もするブルーマウンテン・コーヒーを飲んでいた。それほどよかったのである。 証券部門では100人ほどの職員がいた。スイス銀行東京支店。そこの証券部の中に20人ほどで構成される調査部があった。調査部の体制は部長を筆頭に副部長が3名。その下に株式アナリストがいて、

SVB破綻から推察する銀行で働くということ

40年前にアメリカから帰国して仕事を探していた。とくにあてもあるわけではなくかったぱしから電話をかけて面接をとりつけた。なかなかうまくいかない。いかないけど面接でちょっと思い出深いところもある。それは浜松町駅に直結する東芝。そこの最上階に面接に行くとオレンジジュースが置いてあった。どうぞということでおいしくいただいた。その後東芝にいくことはなかった。これはいまからすればよかったのかもしれない。 職探しは難航した。気晴らしに飯田橋にあるユースホステルに泊まった。夕食後にいろい

日銀政策への正当評価

もうかれこれ40年という月日が流れている。わたしがアメリカから帰国して丸の内で働き始めた。職場はスイス銀行コーポレイションといって丸の内にあり所在地は古河電工ビルだった。隣には三菱銀行本店がありまさにバブル経済の真っ只中にいた。わたしにとっては金融の世界はなにからなにまで新しいことだらけだった。ただ銀行の中の銀行は日本銀行であることだけは知っていた。 ある時こんなエピソードをスイス銀行社内で聞いた。スイス人の副支店長が日銀の担当者と話がしたいからアポをとってくれと秘書に伝え