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張占娬《中国経済新棋局》2017

 張占娬《中国経済新棋局》人民出版社2017年11月。張占娬は国家行政学院経済学教研部主任。国家行政学院は国の役人、党官僚を教育する組織であるので、この書物はそうした教育の教材だと考えられる(写真は2021年9月2日。コロナ下での習近平総書記を迎えた学習風景。出席者をコロナ前の半数に抑え開催したことが伺える。)。

p.1 習近平同志は指摘している。「私は中国共産党成立百周年のとき(補語 2021年のこと)、小康社会を全面建設(建成)する目標は必ず実現できると確信している。私は中華人民共和国建国百周年のとき(補語 同じく2049年)、わが国を富強、民主、文明、和諧(むつまじく調和がとれている)という社会主義現代化の目標が必ず実現している(一定會實現)と確信している。」《習近平談治国理政》外文出版社2014年36ページ。「二つの百年」の奮闘目標にはすでに小康社会の全面建設という当面の(近期)目標が含まれているが、また五位一体(経済建設、政治建設、文化建設、社会建設、生態文明建設の五つを一体として)総体布局(全体を配置)と「四つの全面(全面小康社会、全面深化改革、全面依法治国、全面従厳治党の四つ)」戦略の配置とが呼応し、偉大な中国夢のはるか先の情景を実現させることを含む(蘊含了實現)。中華民族は苦労努力をとおして、二つの百年の奮闘目標に向けて前進途上にある。(中略)

p.3   党の十五大(訳注 1997年)は初めて二つの百年の奮闘目標を提出し、「党が建党百年になった時、国民経済はさらに発展し、各項制度は
p.4   さらに完全になる。21世紀の中葉になり新中国成立百年のとき、現代化を基本実現、富強民主文明の社会主義国家を確立(建成)している。」。党の十八大(訳注 2012年)報告は再度「二つの百年」について述べて、中国共産党成立百年時に小康社会を全面建設(建成)する、新中国建国(成立)百年時には富強民主文明と和諧の社会主義現代国家を建設する、とした。
    習近平同志は総書記に当選したあと、『復興の道』という展覧会を参観したおりに、「現在は我々は歴史のいかなる時に比べても、中華民族の偉大な復興というこの目標に接近している。われわれは歴史のいかなる時に比べても、この目標を実現する能力がある、との自信をさらに深めている。」と述べた。中華民族の偉大な復興を実現すると考えることは、中華民族の近代の最も偉大な中国夢である。習近平同志が提出した中国夢の展望(願景)は、我々の党と国家の全社会主義初期段階の奮闘目標であり、鄧小平が創造的に提起した「三歩歩む(三步走 これは1987年の十三大で鄧小平が提起したmの21世紀半ばまでを描いている。第一走は1990年に1980年の2倍に一人当たりGDPを引き上げるというもの。第二走は20世紀の末まで。さらに2倍にして、小康水準に到らせるというもの。そして第三走は21世紀中葉までに中等発達国家の水準、人民生活比較富裕、基本実現現代化。これが三歩走と今日いうもの。)」戦略の最終実現形式である。この目標は党の十八大が提起した二つの百年の目標と一致し、全面的に小康社会を建設することをベースに、2050年前後までに、富強民主文明和諧の社会主義現代化国家を建設することである。2050年のこの戦略の節目において(節點上)、まさに偉大な中国夢の実現するときである、この意義から述べれば、「三歩歩む」戦略の実現であり、二つの百年の奮闘目標の実現は、また中国夢の展望の実現である。

PP.6-7  ここで以下の三つの言葉が等しいものとして並べられている。
 実現全面建成小康社会(小康社会の全面建設の実現)
 建成富強民主文明和諧的社会主義現代化国家
実現中華民族偉大復興的中国夢

p.7  鄧小平の大平首相との対談(1979年12月6日) 21世紀の末には(工業 農業 国防 科学技術の)四つの現代化を達成する。小康社会は第三世界の中で少し富裕 一人当たり国民生産1000米ドル 現代化ではない としている

p.8-9  十八大(2012年11月)では全面建成小康社会
人民生活水準の全面的上昇の内容。であるが、いろいろな面を含んでいることが指摘されている。
p.9
人民民主不断拡大、文化軟実力顕著増強、資源節約型和環境友好型社会建設取得重大進展。
全面の内容。-地域による差がない、都市と農村、老若の区別がない。-経済だけでない、幹部清正、政府清廉、政治清明。
物質生活だけでなく精神生活も。
経済がさらに発展するだけでなく、民主更に加えて健全、科学教育更に加えて進歩、文化更に加えて繁栄、社会更に加えて和諧、人民生活更に加えて殷實(富裕)、環境生態さらに加えて友好的。
p.10
全面というのが、あらゆる面で全面的であるということ

(以上で興味深いのは、全面的小康の全面的という意味が広いということ、政治、民主、まで入っている、ということ。なおp.11以下では十八大で出てきた習近平の用語である、五位一体、四つの全面戦略、新発展理念がでてくる。これらは羅列的でインパクトが弱く、相互の関連付けも良くできていないように思える。)

p.11 五位一体 経済建設、政治建設、文化建設、社会建設、生態文明建設を一体的に行えというもの。

p.15 四つの全面戦略 全面小康社会、全面深化改革、全面依法治国、全面従厳治党。の四つの全面戦略を進めるというもの。

p.18  創新、協調、緑色、開放、共享を新発展理念とするというもの。このうち協調は不平衡問題の解決とされるが、産業や地域のバランスを指しているようだがわかりにくい。共享は社会公平正義問題の解決とされる。


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