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Eugene Fama by David R.Henderson from Econlib.com ユージン・ファーマと効率的市場仮説

ユージン・ファーマ 1939-  By David R. Henderson
Cited from Econlib.org

 Eugene Famaは2013年のノーベル経済学賞を、株価の経験的分析(での貢献)により、Robert Shiller そしてLars Peter Hansenとともに受賞した。
 ファーマは現代ファイナンス論の発展において鍵になる役割を演じた。効率的市場仮説と株式市場の振る舞いについての創造的な仕事seminal workから始めて、不確実性のもとでの金融的決定、資本構造と配当政策、代理人コスト、期待収益の決定要因、そして銀行業についてさえまでもの、仕事を続ける中で、同領域の広範なトピックに主たる貢献を行った。
 彼の初期の主要な貢献は、株式市場が効率的だということを示そうとしたことである(効率的市場を見よ)。効率的と言う用語は、ここで通常、経済学で意味すること―便益マイナス費用が最大化されるーを意味してない。そうではなくて、株価が公(おおやけ)に入手できる情報を急速に一体化する(反映する)incorporateことを意味している。このことは市場がとても競争的なので生じており、株価は今では収益のニュースでミリセカンドで反応する。もし誰か所与の資産価格が将来上昇することを確信するなら、彼は資産を今買うだろう。多数の人が今株を買おうとするとき、株価は今上昇する。結果は、資産価格は将来価値の現在の期待値をすぐに反映するということである。
 市場の効率性の含意の一つは、「昨日株価が下がったものを買う」といった取引の鉄則(rule)が役に立たない(do not work)ということである。金融経済学者のJohn H.Cochraneが書き、多くの経験的研究が明らかにしたように、「取引の鉄則、テクニカル(相場)分析、市場情報などは、株価を予測するうえで、まぐれ以上の力は本質的にありはしないのだ」。実際、ファーマの考察は、投資管理会社によるインデックスファンド開発を導いた。(そして)大型の公共株から構成される受動的な銘柄の組み合わせを好むインデックスファンドが、株を選択する専門家たちを押しのけたのである。
 ファーマの考察は、バブルとは、資産価格が市場ファンダメンタルズ(基礎条件)で正当化されるよりも高くなっていることだ、という含意をもっている。ファーマは2010年インタビューで述べている。「株価が下がったとき、その事実のあとで(これまで)バブルだったというのは簡単だ。私は多くのバブルは20のうち20は, 気付かれていないと思う。ー人々は常に株価は高すぎると言っている。彼らが正しいと分かったとき(つまり株価がさがったとき)、我々は彼らを聖別するanoint。彼らが誤っていたことが分かった時は(株価はあがったまま)、彼らを無視している。」
 資産市場がどれほど完全に現実世界で入手できる情報を反映しているかを決定するためには、資産の期待収益と資産のリスクとを比較せねばならない(それぞれが推定されねばならない)。ファーマはこれを「共同仮定問題」と呼んだ。研究者が現実世界で効率的市場仮説(EMH: efficient market hypothesis)を検証するには、取引の継続を許しながら情報の流れを止めねばならないから、困難である。
 おどろくべきことにサッカーの賭け率は、効率的市場仮説の単純化された形態について共同仮定問題を回避して検証することを許している。サッカーのハーフタイムの間、試合は停止されており、いかなる新情報も提供されない。Economic Journalの論文でKaren CroxsonとJames Readeは、ハーフタイム前の点数ゴールの瞬間の賭け率価格の反応を研究した。CroxsonとReadeはハーフタイムの間、賭けは盛んに続く(continued heavily)が、掛け率価格は変化しないことー効率的市場仮説と一致していること―を発見した。
 ファーマは現実世界の金融市場が完全に効率的だとは主張していない。完全な効率性のもとでは、価格はすべての情報をすぐに一体化している。ファーマは、株の長期収益と配当と株価の比率との相関を研究した。もし株価が本当に無秩序に動くrandom walkなら、相関はないことになる。しかしそうではなかった。配当と株価の比率と長期期待収益との間には有効な相関が存在した。
 シラーShillerのような何人かの金融経済学者は、市場が効率的だと信じていない。しかし確かに市場はいくらか効率的である。もし市場が完全に非効率なら、企業の特性はその株価にいかなる影響も関係も持たない。(しかし)これは非現実的である。退出の淵にある企業が、AppleあるいはExxonの資本より高い資本価値を持つことがあるだろうか?
 1990年代前半にファーマと共著者のKenneth R. Frenchは、何人かの経済学者が効率的市場仮説への反証だとした1980年代の「アノマリー(効率的市場仮説に反する現象)」についての文献への返答として、株価の3要因(ファクター)モデルを開発した。3要因モデルは、収益率の決定要因として、ベータに加えて、会社の規模と価値とを導入したものである。ベータは周知の資本資産価格モデルCapital Asset Pricing Model (CAPM)以来、リスクを測る手段である。彼らは資産は効率的に価格付けられているという仮定のもとで、割安株value stockのアイデアであるー株価が簿価より割安なものと小会社の株は、よりリスクが高くより高い収益を稼ぐということと、証拠が一致していることを発見した。しかし彼らの説明は共同仮定問題に依存しているsubject to。(他方)Josef Lakonishok, Andrei Schleifer, Robert Vishnyといった金融経済学者は、割安株はリスクが高くないnot riskierだという証拠を与えている。彼らは資産が効率的に価格付けられているという考え方(アイデア)に反対している。彼らの見解では、割安株戦略の高い収益は、典型的投資家の最適より劣る行動を利用した戦略である(訳注 割安株をめぐるファーマの議論は、効率的市場仮説からそもそもアノマリーを否定するはずのファーマが割安株というアノマリーを肯定していることになり一見矛盾している。しかしもしファーマの真意が、さまざまなアノマリーの成立を認める「緩い」効率的市場仮説であるのなら、効率的市場仮説やファーマに対する印象はかなり変わってくる。)。
 ファーマは2008年のウオールストリート企業の選択的救済に強く反対した―救済がなくても、金融市場は一二週のうちに自ら立て直したろうと。彼はまた、もし政府がすべてが悪くなるたびに手を出すことが基準になれば、おそろしい逆選択になると論じた。
 ユージン・ファーマは彼の学士号を1960年にTufts Universityでロマンス語で得た。そこからギアをチェンジして彼はMBAとPh.Dの二つともをシカゴ大学ビジネス大学院(のちのBooth School of Business)で1963年に得た。Booth School of Businessで彼は現在、Robert R. McCormick Distinguished Service Professor of  Financeである。

 効率的市場仮説は、価格が反映する情報に①過去の市場情報、②すべての公開情報、③すべての非公開情報の3つのレベルがあり、どこまでの情報を反映しているかで、①weak型、②semi-strong型、③strong型に分けます。そして①ではテクニカル分析は役立たず、②ではファンダメンタル分析が役立たず、③ではインサイダー取引が成立しない、と整理します。しかし上述したアノマリ―の話は、現実の市場はこのweak型ですらないことを示しています。
    それからファーマ=フレンチの3要因モデル(スリーファクターモデル)は、CAPMに比べてより複雑になったことで、より現実に近いモデルだと評価できます。



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