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朱鎔基 金融工作"約法三章" 1993/07

1993年7月2日、八届全国人代常任委員会第二次会議は朱鎔基同志の中国人民銀行行長兼任を決定した。7月5日から7日まで国務院は北京で全国金融工作会議を開催し、各地の人民銀行分行行長、専業銀行本店、中国人民保険公司の責任者、国務院関連部門の責任者などが出席した。《金融工作”約法三章”(1993年7月7日)》載《朱鎔基講話錄   第一卷》人民出版社2011年pp.307-316 朱鎔基が金融改革の担い手の先頭にあったことをうかがわせる重要文書である。(写真は六義園)

p.307 この全国金融工作会議は、思想認識を初めて統一して思想作風を正す会議であり、初めて金融改革を推進する会議であり、また初めて徹底した批判と自己批判精神の会議である。会議の初日、周正慶同志(当時 人民銀行副行長 訳注)は人民銀行本店党組織を代表して工作報告を行った。会議期間(において)、私は二日半にわたり分行行長座談会に参加し、また人民銀行の一部の老行長と座談を進めた、老同志たちは本当に多くの又本当に良い意見を提起された。この会議は成果(成績)を肯定し、欠点の批判(検討)を行い、認識を統一した。団結し勇気を奮って前進する目的(から考えて)、会議は成功だった。
 最初に成績が肯定されねばならない。人民銀行は李貴鮮同志と人民銀行の党組織の指導のもと、大量の工作を行った。成績の主要なものは十分肯定されるべきだ。各専業銀行行長、人民銀行各分行の行長、全体金融戦線上の職p.308   工同志たちは、党中央、国務院と人民銀行本店党組織の指導のもと、大量の工作をおこなった。私は国務院を代表し同志諸君に衷心からの感謝を表明したい。みなさんは両面から圧力を受け、四方から侮られ(四方受氣)労苦多く人の怒りも受ける(任勞任怨)、皆さんの状況を私は完全に理解している。わたしは皆さんを心から慰問する。
 つぎにこの会議では欠点と失誤も自己批判された。この会議では多くの同志が自己批判の精神を表現した。これはとても良い。我々の問題は主要には、厳格に党中央、国務院の指示と銀行の規則制度に従って事務していないことにある。各行においても章記に反することが発生しており、さらには多くの大きな案件もある。(これらは)われわれが大変うまく隊伍建設を把握できていないことの反映である。まさに江沢民同志が指摘されたところの、金融秩序混乱であり、規律の弛緩であり、(それは)すでに改革開放と経済発展に影響する程度までになっている。一部の地方の銀行は原則を堅持できず、「金庫」の鍵を他人に与えてしまっている。あなたは罪人を作ることを恐れてはならない。報告を戸惑ってならない、報告しなければ失職である。
    第三に認識を統一し、自らを堅く信ずることである。同志諸君は言う。もし現在の金融混乱局面を転換する決心をすることなく、通貨膨張を制止続けることがなければ、経済は大波乱に陥るかもしれず(就可能大起大落),我々は大変好ましい発展の機会を失うかもしれない(我們就會失去大好的發展機遇)。現在中央は経済発展中出現した問題を解決するこのような大きな決心をし、我々は自らをさらに信じている。この会議がこの認識で統一されるなら、皆さんは戻って全力で実現せねばならない(要狠抓落實)、誠実に動かねばならない(要動真格的)。
    第四、会議は、明確な要求を提起した。さらに多くの具体的措置を明確に要求し、皆さんはさらに多くの実行可能で大変強力な貴重な意見を提起され、かくして(それはさらによく)実現された(貫徹落實了)。
   もちろん《中共中央、国務院の当面の経済情況とマクロ調整を強化することに関する意見》(以下”中央6号文件”と略称)を徹底実現するには、金融システムを一つに依存するだけでは十分ではない。全党、全国人民、とくに各地区、各部門の指導同志が中央6号文件を用いて思想を統一し、歩調を統一し、みんなが一緒に努力して初めて、中央は現在の経済工作の重大な決定政策を本当に実現することができる。しかし金融は国民経済の血脈(命脈)であり、国民経済の中で重要な地位を占めており、我々はとても巨大でとても光栄な任務を受けており、中央6号文件をよく貫徹することに対し逃げることのできない責任(不可推卸的責任)を負っている。もしわれわれが仕事(工作)を上手くやれば、局面は転換し、マクロ調整は強化され、重要な促進作用に至るだろう。それゆえ
p.309  我々は自身の問題を今少し重く見るべきで、自身に対し今少し厳格に求めるべきであり、実際に符合させて中央6号文件を十分徹底して完全に実現しなければならない。
  今日私は、党組織の同志の意見と会議の討論情況をもとに、三つの問題について話したい。

      一 認識統一による中央6号文件の登場(上來) 
   中央6号文件により金融システムの認識が統一された。まず中央の現在の経済工作の重要な政策決定(決策)実現すること、金融秩序の整頓を完成することであり、金融体制の改革の任務を完成することであり、全面緊張局面の鍵である資金の転換である。
 中央6号文件の形成過程と背景については、私は会議開幕のその日の講話の中ですでに話している。そこから皆さんは難なく見出すことができるが、中央6号文件は1年余りの経済高速発展の経験を総括したものであり、前進過程で発生した矛盾と問題を研究したものであり、各部門、各地区の多くの同志に加えて民主党派、大衆団体の知恵の基礎上に
p.310  生み出された重要文件である。多くの人の有益な意見を集めた(集思廣益的)文件だといえる。同時に、中央6号文件は十六条でマクロ調整の措置を提起している。十三条は経済手段の採用であり、三条は行政手段であるが、古いやり方(走老路)ではない。われわれは現在の経済工作中に存在する問題を解決することを、社会主義市場経済体制の動力を加速建設を加速建設するためにする。(また)社会主義市場経済体制の方法を迅速に形成することを通して、現在経済発展の中で出現した問題の解決にあたる。それゆえにこの文件は改革精神にあふれた文件である。
 党中央と国務院がマクロ調整の重要な決定政策を徹底して実行しようとするなら、中央6号文件を用いて全党の認識を統一することは必須である。私が中央6号文件を学習した体験により、私は現在以下の三方面の認識を統一することが必要だと考える。
 第一に、マクロ調整を強化し、経済過熱を防止することは、当面眼前に切迫した任務である。
 現在経済は全体として見れば過熱しているとはいえない。しかしある限られた地区、ある限られた領域ですでに過熱しており、現在今一度マクロ調整が行われなければ、問題は正せないほどになるだろう。(中略)
p.311 第二に、金融秩序を整頓することは、マクロ調整の重要方面である。
 江沢民同志は金融秩序は混乱、規律弛緩の問題に対して二度にわたり重要な意見表明(批示)を出された。皆さんは金融システムに存在する問題を正視するべきで、正視しなければこの種の問題は解決しない。全国大変良い形勢は発展できないだけでなく、逆転の可能性もある。
 (中略)
p.312 第三に、マクロ調整を強化すること。全面緊縮を実行するのではなくて構造調整(結構調整)をすすめること。我々は外界で伝統的に言われている全面緊縮をすることはできない。
 現在のわが国経済の高速発展は全体からいえば健康的で、前進の過程で発生した問題は、改革を加速深化することで解決でき、全面緊縮を実行する必要はないし、今後もまた全面緊縮政策を採用できない。(中略)

p.313    二、銀行システムの指導幹部は”約法三章”を厳格に執行を 
 人民銀行党組織は銀行の各クラス指導幹部の大体に知り、大局を顧みることを求め、厳粛に組織規律をすることを求め、三つのすべきこと、十のすべきでないことの要求を提起した。これは完全に正確である。私はすべきに賛成で、皆さんは真面目に執行しなくてはいけない。最短時間内に局面を転換するために、私はこの三つのすべきこと、十のすべきでないことを”約法三章”にまとめた。
 第一に、全ても規則違反の貸借を直ちに停止しまじめに整理(清理)すること規則に反した貸し出した資金は期限内に回収すること。各銀行は今年8月15日前に、規則に反して貸し出したお金を全部回収せよ。非銀行金融機構に貸し出した資金をまず50%回収せよ。その他規則違反貸付、規則違反の株式取得と投資資金は、8月15日前に回収意見と処理意見を提出し、併せて本店(總行)に報告すること。
    第二に、いかなる金融機構も職権によらず預金利率貸付利率を変更してはならない。預金利率を引き上げて”預金大戦争”をしてはならない、貸付ける相手に買い戻したり(回購   の形で貸付たり)してはならない、あるいは関係先を通して(銀行に対する金利規制を免れて)高利で貸付けてはならない。
 第三に、銀行は自身が運営を始めた各種経済実体に貸し付け資金を注入しているのを、直ちに停止すること。銀行は自身運営を始めた経済実体と徹底して分離(脫鈎)せねばならない。過去規定に違反して貸付資金を
p.314  資本金に注入したものは、期限内に回収しなければならない。
 (中略)

         三、金融改革の今一歩推進
 (中略)
p.315   第一、中央銀行の職能と基礎建設を強化すること。
   1. 中央銀行の職能を強化すること。中国人民銀行をわが国の中央銀行とすること、その主要な職能は、貨幣政策の制定実施を通じて、全社会の貨幣供給総量を厳格に統制し、金融機構の監督を強化し、金融体系の安全を保証することである。主要な目標は貨幣の安定を保持し、それによって経済の道理にかなった(合理)成長を促進することである。
 2.マクロ調整方法の運用。(中略)
 3.基準利率の統制、活発な利率政策の実行、資金供給の調節。(中略)
 第二、中央銀行の監督のもと、国家政策性銀行と国有商業銀行を主体とし、多様な金融機構が併存する金融組織体系を建設すること。
 1.政策性銀行を設立し、銀行の政策性と商業性の業務を分離し、現在の専業銀行の政治と企業が不可分の体制を改変すること。現在は国家長期開発信用銀行と輸出入銀行の設立に急いで取り組む必要がある。(中略)
 2. (政策性銀行業務)分離後の商業銀行は法による経営とすべきで、資金の使用は、安全性、流動性、収益性(盈利性)の統一原則を堅持すべきである。(中略)
p.316 第三、統一され、開放され、高効率で、秩序のある金融市場体系を建設すること。
 (以下略) 

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