見出し画像

劉國光「経済体制改革の基本方向を堅持せよ」1982年9月6日

堅持經濟體制改革的基本方向   本文原載 1982年9月6日《人民日報》劉國光改革論集中國發展出版社, 2008年, pp.30-39,esp.34-37 
(独特の言い回しが続くが、内容としては計画経済から市場経済への移行を進める内容になっている。以下の話の前提として、企業に自主権が与えられねばならないという問題がある。)
 社会主義国家は生産資料の社会主義公有制の基礎上において計画経済制度を必ず実行するものであり、また実行する能力がある(能夠)。これはマルクス主義者の間において一般に議論の余地のない問題であり、数十年の社会主義建設の実践がとっくに真理として証明しているところである。問題は、歴史上の種々の原因により、過去の伝統的計画経済体制は、自然経済あるいは製品(産品)経済の観念の基礎上に始められて(建立)いて、それゆえに実物化管理は、市場メカニズムを排斥したり大鍋飯を食べるなど商品経済の要求する仕方を軽視(忽視)し、伝統的計画経済体制と離れがたい縁で結びついていた。三中全会以来、わが国経済学界の多くの同志は次第に社会主義経済理論中の自然経済観と製品経済観を取り除き、社会主義商品経済の条件下の計画経済観を樹立した。この思想指導のもと、市場メカニズムは我が国経済体制の内部に徐々に引き入れられ、経済を調節する補助作用を発揮するようになった。それは企業自主権等の分権措置とともに、経済の活発さを促進し、積極的効果を収めた。しかし計画経済が不十分だということが一度強調され、同時に計画管理と市場調節この二つの方面がすべて成熟した科学方法を欠いている(となると)、経済活動の中に国家の統一計画を弱めそこから抜け落ちる傾向が出現する。これは国民経済の正常な発展には不利である。この種の傾向を正すためには、党中央が提出した「計画経済が主で市場調節は補」という方針の指導のもと、すべての経済管理工作の水準を高め、計画経済の総合的バランスと市場調節の補助作用を通じて、国民経済の比例協調発展を保証する必要がある。
 社会主義経済の中での計画と市場の関係をいかに処理するか。この問題は社会主義経済と経済体制の発展とともに、長期間の討論となろう。・・・比較意見が一致するのは、状況の違いを根拠に国民経済は3つの異なる管理形式をとっている。すなわち国民経済全局の重要産品の生産と分配に対しては指令性計画が実行されている。一般産品の生産と消費に対しては指導性計画が実行されている。品種繁多な日用雑貨や小商品その他農業副産品に対しては市場調節下の自由生産と消費が行われている。これら3種の異なる管理形式には多くの研究すべき問題があるが、ここでは簡単に3つの問題を話すことにする。
 一つの問題は、計画生産と計画流通を補充する自由生産と自由流通は、計画経済の外なのかあるいは計画経済の内なのかである。社会主義計画経済は生産手段公有制の基礎上、社会化大生産の要求に依拠して、全社会経済で計画的管理を実行する。それは指令性計画と指導性計画の進行管理部分を含み、また国家計画に入らない自由生産、自由市場の管理をも含む。自由生産は統一国家計画が許す範囲で一種の生産経営形式であり、自由市場は全社会主義統一市場の構成部分である。(中略)
 もう一つの問題は、指導性計画の管理形式には、市場調節の要素があるかないかである。指導性計画と指令性計画がともに計画調節の範疇にあることは疑いない。指令性計画と異なって指導性計画は強制性約束性の計画指標ではない。そうではなく自覚的な運用により価値規律と関係を持つ経済杠桿が企業を導き国家計画を実現するものである。ここでは実際上市場メカニズムが調節作用をしている。(中略)
 最後の問題は、指令性計画の管理範囲は今後の改革の中で、次第に拡大するのかあるいは次第に縮小するのかである。(中略)長期的にみれば、我々は指令性計画の範囲の拡大が体制改革の方向だとすることはできない。経済調整工作の進展とともに、売り方市場が次第に形成され、価格が合理化するとともに、指令性計画の範囲が次第に縮小し、指導性計画の範囲が次第に拡大されねばならない。他面では、計画管理水準が上がるとともに、とくに国家が市場情報を把握しメカニズムを調整する能力が上がるとともに、自由生産と自由市場に対して指導性計画のコントロールはますます強まることになる。
 このようにみてくると3種の経済管理形式の中で、第二種の形式即ち指導性計画に今後の記述はある。それゆえに国民経済の三種の管理形式をより完全にするとともに、我々は指導性計画のメカニズム問題の研究に努める必要がある。これは社会主義経済の計画と市場の関係でもっとも難しい問題であり、また我々が改革の方向を堅持して解決すべき問題である。

#劉国光 #指導性計画 #指令性 #計画経済 #計画生産 #自由生産  
#自由市場 #市場メカニズム #自然経済


main page: https://note.mu/hiroshifukumitsu  マガジン数は20。「マガジン」に入り「もっと見る」をクリック。mail : fukumitu アットマークseijo.ac.jp