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黄銘正 湾生回家 2015film

 2015年公開の台湾映画。監督は黄銘正。内容は台湾生まれの日本人(=湾生)が、「故郷」台湾を懐かしんで台湾を訪問する姿を追ったもので、それを淡々と重ねている。台湾南部で開拓に入った農民が、未開の地を開拓開墾した話。台湾人と日本人との間の差別について、時間が経って気が付いたという話など。花蓮が出撃の基地になっていたことや、激しい空爆を受けた話など、たくさんのお話を重ねてゆくことで、少しずつ見えてくるものがある。ただネットで見ると、この映画そのものの評価よりは、製作者である陳宣儒氏が、純粋な台湾人なのに自身を湾生だとして、筆名田中實加で同名の本を出版するなどして、物議をかもして話題を呼んだことがわかる。映画の内容としては、台湾と日本のスタッフの合作であれば、湾生側の意見だけでなく、台湾側からみた本音や台湾側からの視点が、もっとあっていいように思えた。この映画は一体誰にアピールしているのか。それが少し不明なのが惜しいように感じる。最後に近いところで、湾生が台湾の市役所のようなところで、父親の戸籍に出会う姿には戸籍がきちんと残っていることに驚きを感じた。ただ考えてみると、台湾の人たちの戸籍の保存がされている以上、それに混じって台湾に住んだ日本人や湾生の記録が残されていても全く不思議ではない。驚くべきことではないのだと、あとになって反省した。

灣生回家預告片
中国散文選目次

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