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劉國光「社会主義商品経済の理論問題」1991年10月15日

劉国光改革論集 中国発展出版社 2008年 pp.76-93
這是作者在中共中央黨校作的學術報告的節選 1991年10月15日
p.77  一 計画のある商品経済に対する異なる理解
 社会主義商品経済理論は改革以来、わが国経済理論界の重要な突破性成果
である。それは社会主義経済は計画がある商品経済だということで、この理論は経済改革の最重要の理論基礎の一つである。マルクス、エンゲルスなど古典作家は未来の社会主義社会では、もはや商品経済は現れないとかつて考えた。(そして)その後の数十年の社会主義の実践において、相当長期間商品経済といったものを排斥したという歴史背景があるなか、中共十二届三中全会が経済体制改革について決定を行い、社会主義経済を公有制の基礎上にある、計画のある商品経済との論断を明確に提起したことは、時代を画する意義があったといえる。同時にこのような結論は簡単に導かれたのではなく、長期の理論及び実践の探索を経て得られたものだった。人々の社会主義の性質の認識を統一すること、人々の経済体制の改革方向の認識を統一すること、(これらは)大変重要である。
 中共十二届三中全会以後、いったい計画のある商品経済とは何かについての人々の理解は、経済理論界の理解を含めて、まったく同一ではない。「計画のある商品経済」というこの命題に対して、ある同志は商品経済というこの一面を強調し、ある同志は「計画のある」というこちらの一面を強調する。たとえば数年前に北京大学のある教授は一篇の文章のなかで「改革の基本思路は、社会主義はまず商品経済であり、その後、計画のある発展的経済である。」と書いている。彼は明らかに、計画があるという方面ではなく商品経済方面に重点を置いているが、当然彼も計画があるというこの一面を否定はしていない。このほか中国人民大学の一人の教授は当時、一篇の文章を発表して次のように論じた。「計画経済あるいは計画調節は、社会主義経済のおいて始終主導地位を占めるべきである。」彼は商品経済方面ではなく、計画経済方面に重点を置いている。強調の重点は異なっており、社会主義経済の本質特徴の理解には差異がある。公有制と労働に応じた分配という誰でも知っている社会主義の基本特徴のほか、さらに第三の基本特徴はあるだろうか。もしあるとしてその第三の基本特徴は何か。計画経済かあるいは商品経済か。この問題の討論はこの二三年なお続いている。1989年春夏の政治風波以前、しばらくの間、理論界の風は社会主義経済の商品経済この一面を偏って強調する面があった。たとえば一篇の文章は、社会主義は本質上計画経済であるといい、ただ現段階はある種の商品属性を負わされ帯びているに過ぎないという。またある文章は、社会主義経済はその本質からすれば一種の計画経済だと言う。この度言い方はこの二三年来比較的典型的な一種の言い方である。しかし別の一種の意見も依然存在する。それはなお商品経済を堅持することは、社会主義経済の実質であるというもの。たとえばある文章は言う。社会主義商品経済は公有制、労働に応じた分配と同様に、いずれも社会主義の実質所在である。双方の論拠はこの数年を超えるものではないが、これは繰り返し議論した問題(一個老問題)である。
   中共十三届七中全会以後、理論界はますます多くの同志が、計画経済と商品経済あるいは計画と市場は、資本主義と社会主義を区分する基準(標準)ではなく、社会主義は市場の運転を必要としており、資本主義もまた政府の計画と関与を必要とすることを認識するようになった。そこで多くの経済学者は、計画経済あるいは商品経済を、社会主義経済の本質あるいは資本主義経済本質問題と一緒に関連付けなくなった。かれらは社会主義と資本主義をわける基本特徴はそこではなく、古典(作家)が説いている、所有制と分配制度とを参照する必要があると認識している。社会主義的所有制度は公有制が主体であり、分配制度は労働に応じた分配が主体である。計画、市場というのは経済を運行するメカニズムであり、市場配置の方式の問題であって、本質の問題ではない。

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