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労働組合 labor unions

By MorganO.Reynolds, Labor Unions
Cited from Econlib.com
 日本では企業別組合が一般的だが、ここで語られるのは多数の企業にまたがった(米国の)職業別組合のことである。経営者に比べて、弱い労働者が組合を作り、団結して自分たちの権利を守るというお話と、ここのお話しは少し違っている。組合はカルテルであり法律に守られた存在であると著者は説明している。また組合は嫌われているとして組合の組織力の低下を述べている。日本でも非正規労働者の増加、労働組合の組織率の低下、労働組合離れが指摘されている。日本では非正規労働者の増加と組合の組織率の低下を重ねて説明されることが多い。しかし、組織率の低下の原因は果たしてそれだけだろうか?働く人の中心が工場労働者でなくなり、労働の性格が変化していることに組織率低下の根本的な理由があるのではないだろうか。
 他方で思い出した言葉にyellow-dogがある。これは組合に入らない人を団結を乱すとしてさげすむ言い方。組合がストを打つと、ストや破りをするのもyellow-dogである。スト破りはblackleg:scabとも言う(福光)。

(著者は元米労働省のエコノミスト。テキサスA&M大学の名誉教授。)
 労働組合は、フォークソングや抑圧された労働者の勇気ある英雄の物語では賞賛されてきた。しかしそれは経済学者の見方ではない。労働組合を研究する経済学者は、組合を積極的に肯定する者も含め、組合を、様々な企業や産業に対して、労働供給を制限することで、賃金を競争的水準より引き上げるカルテルだとして、分析している。
 多くの組合は、組合員のためにより高い賃金やより高い労働条件を勝ち取ってきた。そうする中で組合は、組合がない会社が得られる応募者(jobs)の数を減らしてきた。二次的な影響は、需要の基本法則から生じる。もし組合が労働の価格を成功裏に引き上げたなら、雇い主はより少なく買う(雇う)。かくて組合は労働市場において、反競争的な力である。彼らが得るものは、消費者、非組合の労働者、失業者、納税者そして企業所有者の失うもの(expense)である。
 組合を好意的に見ているハーバードの経済学者Richard FreemanとJames Madoffは「すべての組合がそうでないとしても、組合は独占力をもっている。それを彼らは、競争水準以上に賃金を引き上げるのに用いることができる」(1984, p.6)。組合員のために高い価格(賃金)に固定する組合の力は、組合が政府から得ている法的特権や免除措置に依存しており、法律の規定や非適用措置に依存している。反組合の経済学者Lodwig  von Misesは1922年に述べている、「組合の権利とは実際のところは、ストライキ破りにあからさまな暴力で対抗するということである。」と。興味深いことに、法律のを公平に執行することが期待される人々である警察は、自身高度に組合化されている。
 合衆国の労働組合は多くの法的特権を享受している。組合は課税を免除されている、反トラスト法からも適用除外されている。会社は、法的に公正に取引することを強制されている。(中略)
 近年、組合が労働者を代表すること(union representation of workers)は合衆国のすべての私的産業で減少した。主たる理由は従業員が組合を嫌いだということにある。(また)AFL-CIO(米国の代表的労働団体)がLouis Harris依頼した世論調査結果によると、非組合従業員は、組合従業員よりも、雇用の確保job security、仕事の成果の認識、仕事に関する決定への参加、(のいずれも項目についても)満足度が高かった。そして合衆国の経済の変革evolutionは小規模な企業、南西部の高度技術製品に向かっており、また専門的技術的な人々は組合から流出を続けている。
 (以下略)


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