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三角債 中国経済用語

 三角債(サンチアオチャイ)、英語でいうchain debt。1990年代に中国の企業間信用の問題として、盛んに議論されたこの問題が近年も中国企業の債務問題が議論されるなかでときどき現れる。債務鏈(チャイウーリエン)という言い方もある(写真は心光寺の石仏。安永六丁とまで読める。安永六年のものであれば1777年のもの)。
 そこで疑問は、最近指摘される三角債は90年代のものとどのように違うのだろうか?90年代のあと、中国政府は三角債問題に取り組んで、どこまで問題は解消されたのだろうか。あるいは問題はなお解消されていない、という言い方が正しいのだろうか?
 もともと1990年代の三角債の意味は、企業が互いに相手の債務支払いに依存する状況で、互いに支払いは他企業の責任であることを主張し、結局どの企業も債務を積極的に支払わず、債務支払いが膠着する状況であった。90年代は、とくに国有企業間の三角債が問題にされた。
 私は法律家ではないが、法律論としては、このように他社の支払いが行われないからという理由で、自身の支払うべき債務を免れている状態は、不当利得を得ていることになる(不當得利unprofitable profit or unjustified enrichment)のではないか。そうであれば法的には、そのことを根拠に、債権者が自身の債権を保全する手続きが整備されればよいのだろう。

#中国 #三角債 #不当利得     #心光寺石仏


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