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馬洪 社会主義制度下の商品経済 1984/11

社会主義制度下的商品経済 馬洪改革論集 中国発展出版社 2008年 pp.117-149     中共宣傳部組織的形勢報告會上的報告
二.社会主義経済は公有制基礎上計画のある商品経済
p.123 社会主義経済の一つの特徴は計画経済である。これは必ず肯定されねばならない。しかしこれを肯定するから、社会主義経済が同時に商品経済の属性をもつことを直ちに否定することにはならない。商品経済の対立物は計画経済ではなく自然経済である。社会主義経済は商品経済ではないというあの観点は、実際上は計画経済を商品経済と対立させたり、あるいは商品経済を社会主義経済の中の敵対分子(異己的力量)とみるものである。この数年間のわが国経済体制改革の実践は、すでに上述の見方が実際的でないことを証明している。経済体制改革の重要な内容の一つは、我々に計画経済原則を堅持すると同時に、商品経済の要求に従って社会経済活動すべてを整えることである。大きな方面で管理は穏当で(管住)良好(管好)、小さな方面では縛らず活発にさせて、マクロ的な経済協調保障発展の前提のもと、都市と田舎の各方面の経済生活を活発にさせる。これは我々に、計画経済の属性と商品経済の属性とを、社会主義経済の中で統一することができることを理論上承認することを求めている。実践においては彼らの結合形式と結合点とにたどり着けるのであって、過去におけるような二者択一、こちらでなければあちらという古い道をゆくのではない。
 (では)なぜ社会主義経済はなお商品経済の属性をもつのだろうか?
 これは社会主義が依然として商品経済が生み出し発展した重要な基礎条件である社会分業のもとになお存在しているからである。レーニンはかつて次のように指摘した。「社会分業は商品経済の基礎である。加工工業と採掘工業の分離されると、彼らはそれぞれさらに小さな部門に別れ、それぞれの部門の生産する商品は特殊産品で、そのほかのすべての生産部門と交換が始まる。このようにして、商品経済の発展は、各独立工業部門の数量増加につながる。」(レーニン選集 第2巻  人民出版社1972年版 p,161).レーニンは別の文章では次の点を強調している。「商品経済は社会分業の発展とともに発展する。」(レーニン全集 第2巻 人民出版社1963年版 p.191)
   (中略)
 一部の同志は社会主義経済を商品経済とみることに反対している。その理由は、社会主義社会においては労働力はすでに商品ではなく、土地、鉱山、河川など一般には売買の対象とされていない。社会主義社会において労働力が商品でない、国有の土地、鉱山などは売買できない、ということを根拠に社会主義経済が商品経済の属性をもつということをすぐに否定できるだろうか?労働力が商品でないかどうか、土地、鉱山などが売買できないかどうかは、商品経済の特徴ではない。単純商品経済において、労働力は商品ではなかった。労働力が商品となるのは、ただ資本主義商品経済の特徴である。国有の土地、鉱山などが売買できないのは、ただ社会主義条件下で商品関係が受けている一定の制限を示すだけで、社会経済活動の絶対的大部分が商品貨幣関係を通して行われることを全く否定していない。それゆえ社会主義経済は全体として言えば依然として一種の商品経済である。
(社会主義経済が商品経済であることの論証をしている部分。馬洪という人が論理的に文章を組み立てる力が強く長けていることがよく示されている。前段の分業のところ、後段の労働力商品のところ、いずれも極めて論理的な文章である。福光注記)

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