見出し画像

小石川後楽園

 小石川後楽園は何度か来たがそのおもしろさや美しさを理解できなかった。今回、晴天の日に一人で歩き回って、意外におもしろいと感じたし、一瞬一瞬綺麗だとさえ思った。しかしこれまで何回か訪れて、この庭園に得心したのは今回が初めてだったことも告白したい。
 この経験から、この庭園は天気の良い時に、気ままに歩き回るととても印象がよいといえる。ここは興趣の全く異なる幾つかのエリアに分かれていて移動して見て回るとそれぞれ違いの工夫がおもしろい。また少なくとも3か所ほど小高い山になっており、「深山幽谷」が作られているが、それぞれも異なる趣きになっている。
 西門入り口から入って正面に広がるのは琵琶湖に見たてた「大泉水」。これを正面に見て左に入ると、京都の風景を模したところに朱色の通天橋(つうてんきょう)が現れる。その橋を渡った小高いところにあるのが得仁堂(とくじんどう)という古い建物。坂を下って左に行くと石造の円月橋に、右に行くと白糸の滝がある沢渡りに行き着く。円月橋(えんげつきょう)は朱舜水の設計とされる。朱舜水(1600-1682:長崎に来たのは1660-1661年の間。江戸に来たのは1665年7月とされる )は明の遺臣で、明朝の崩壊により日本に亡命し、水戸藩に身を寄せた。得仁堂と円月橋は建築年が明記されていないが、後楽園を完成した徳川光圀(1628-1701)の時代のものであろうから17世紀後半のものだろう。内庭(うちにわ)の蓮の池と唐門の組み合わせの風景もお薦めしておきたい。
 コロナ禍で長期閉園後の開園。閉園前より、整備され綺麗になったように感じる。唐門は2021年に復元されたもの。残念なことに小高い山の上に江戸時代に存在した建物のいくつかは失われたままだ。それらもいつか復元されることを期待したい。
 アクセス 丸ノ内線後楽園下車。西門あるいは東門まで徒歩8分。なお、飲食施設・土産物屋などは正門である西門側にある。
    年末年始(12/29-1/1)除き無休。
    光圀在建造此園時採納了明代遺臣朱舜水的意見,園内引進了円月橋,西湖堤等中国名景,庭園也由朱舜水命名,到処遍布着中国元素風情。後楽園之名取范沖淹的《岳陽楼記》中”先天下之憂而憂,後天下之楽而楽”名句。(東京都公園協会中文パンフより)

画像8
画像1
画像2
画像3
画像4
画像5

画像6
画像7


main page: https://note.mu/hiroshifukumitsu  マガジン数は20。「マガジン」に入り「もっと見る」をクリック。mail : fukumitu アットマークseijo.ac.jp