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命令や文書を絶対視せず、ただ実際に即し、反対意見を聞き、比較し熟慮を重ね決定する(陳雲)1990/01/24

 不唯上,不唯書,只唯實,交換,比較,反復(1990年1月24日)這是陳雲同志同浙江省黨政軍負責同志談話的要點。陳雲文選第三卷pp.371-373 から371-372を訳出する。

p.371
   延安にいたとき、私は毛主席の起草された文書(文件)、電報を詳細に研究したことがある。私は毛主席の起草された文書、電報をすべて読んで、その中を貫いている(貫穿)基本思想こそ、「実事求是(訳注 実際状況から出発し正確に問題を処理すること)」であると感じた。ではどのようにすれば実事求是することができるのか?当時、私が会得したのが以下の十五文字である。不唯上,不唯書,只唯實,交換,比較,反復。
 不唯上(上級の指示を絶対としない)というのは、上部の指示(上面的話)を聞く必要はない、ということではない。不唯書(文書を絶対としない)というのも、文書や書物を読む必要がない、というのではない。只唯實、これはただ実際から出発することが唯一の条件であることを言っており、実事求是に研究し問題を処理することが、もっとも確かなやり方である(最靠得住的)。たとえばこの茶碗は、あなたが見るこちらの側には花(の模様)がなく、彼がそこに見る花があなたにはない。二人は一面を見ているだけで、二人とも一面に過ぎない。もし二人が意見を交換するなら、そうするなら茶碗というこの物について、私たちは実際と全面的に符合したものを了解することができる。過去我々は多くの誤りを犯した。その究極の原因、最も重要な点は、問題を一面的に見ていたことにある、一面の実際を全面の実際としたのである。指導幹部としては、常に他の人と意見を交換することに努め、とくに消極的(反面的)意見を聞くことである、ただ良いところだけでなく、悪いところがないかを聞くことである。比較、これは上下、左右進行の比較である。抗日戦争時期、
p.372  毛主席は『持久戦論』でこの種の方法を採用している。彼は敵と我の間の相互矛盾の強弱、大小、進歩退歩、支援の多寡などの基本特徴から比較研究を行い、「抗戦は必ず失敗するとする」亡国論、そして、台児庄一戦の勝利後次第に高まった速勝論、に批判反駁を加えた。毛主席は言っている、亡国論も速勝論も問題の見方が共に主観的で一面的である、抗日戦争はただ持久戦によってのみ可能である、と。歴史の発展はこの結論が完全に正確だったことを証明した。このことから分かるように、すべての正確な結論はすべて比較されたものである。反復、これは問題を決定することにあまりに焦るべきではない、繰り返し考慮する時間が必要だということである。これもまた毛主席の方法である。彼は問題を決定するとき、しばしば一度休む(放)のである、たとえば一週、二週休む。再度反復考慮し、別の意見を聞く。もし別の意見が無ければ、対立する面を仮設してもいい。(そして)正しいことは吸収し、誤ったところを除いて、自身の意見をより完全に整える。なおまた実践の過程では、さらに続けて修正が必要である。人々の事物に対する認識はしばしば最初から完成したものではありえない。ここにいう所の反復は、無限の反復ではないが、朝令夕改(朝出した命令を夜に改める 正すべきところが分かれば速やかに訂正する)の意味である。



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