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中国思想・短編小説・歌曲選

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https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 中国的な考え方を知る手がかりを探しています。
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#花城

朱山坡「鳳凰」『花城』2018年第6期

 著者朱山坡(チュー・シャンポウ)は1973年8月生まれ。広西省北流市の人。この小説は、大人のおとぎ話なのだろう。多くの比喩が隠されているように思える。明確な時期の指定がある。それは1978年から1979年という中国が改革開放に進む時期である。この時期、「改革開放」だけが行われたわけではない。中国はベトナムに対して戦争を仕掛けている(1979年2月17日から3月16日とされている)。実はこの戦争は中国にとり苦戦で多くの犠牲を出している。この小説で出てくる戦争はこの中越戦争だろ

雷默「祖先與小丑」『花城』2017年第3期

雷默(レイ・モウ 1979年生)の2017年の短編小説である。筆者のお父さんがなくなるときの顛末が書かれているが、創作なのか実体験なのかは分からない。もし実体験だとすると、現在(2021年)40歳少し上だとして、小説発表が35歳とすると、30歳頃の若い時の経験。『花城』2017年第3期に掲載後、『短編小説 2017中国年度短編小説』灕江出版社2018年222-235に収められた。道士が出てくるところ、山上で埋葬しているところなどが興味深い。あらすじは以下の通り。 食道癌で末

范小青「設計者」『花城』2015年第3期

作者の范小青は女性で江蘇省南通の人。蘇州で育った。1978年に蘇州大学中文系に入学。1982年に卒業とともに大学に残り教育に当たり、1985年から江蘇省作家協会に属して創作活動とのこと。この作品は『2015中国短篇小説年選』花城出版社2016年1月pp.262-272より(原載『花城』2015年第3期)。主人公は室内設計の人だから作者個人の話ではなく創作である。主人公には学歴のない悪人でもある兄がいて、しかしその兄には主人公にないものがあって、兄は学歴で苦労したのではないか、