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中国思想・短編小説・歌曲選

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https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 中国的な考え方を知る手がかりを探しています。
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2021年7月の記事一覧

紅孩「囚徒」『福建文学』2018年第3期

 紅孩(ホン・ハイ)は筆名か。紅孩の「囚徒」は当初、2018年第3期に『福建文学』に発表されたもの。『短編小説 2018中国年度短編小説』灕江出版社2019年1月、238-245より。あらすじは以下。  主人公の胡二(フウ・アル)の住む村はかつて荒地で、皇帝が狩りの場所(狩獵)につかったところ。やがて皇帝がここはおもしろくない(不過癮)としてこなくなると、墓地(墳地)として使われるようになった。胡二の住む村には胡家墳と吳家墳があり、看墳人は山東から食い詰めて流れてきたひとだ

須一瓜「會有一條叫新大的魚」『青年作家』 2018年第3期

須一瓜(シュウ・イーグア)は1960年代前半生まれの女性作家である。この小説は当初『青年作家』2018年第3期に発表された。『短編小説2018年中国年度短編小説』灕江出版社2019年154-183より。  場面は高層マンションの1階に、住む二組の家族。一組は老夫婦。その息子が庭の水道栓を直していると、隣家の小さな女の子がやってくる。そばにあったはずの金魚はどこに行ったのか、と。実は昨夜、老母が転倒して、金魚鉢は割れて、中にいた金魚は死んでしまったのだった。息子が金魚は俺が食

雷默「祖先與小丑」『花城』2017年第3期

雷默(レイ・モウ 1979年生)の2017年の短編小説である。筆者のお父さんがなくなるときの顛末が書かれているが、創作なのか実体験なのかは分からない。もし実体験だとすると、現在(2021年)40歳少し上だとして、小説発表が35歳とすると、30歳頃の若い時の経験。『花城』2017年第3期に掲載後、『短編小説 2017中国年度短編小説』灕江出版社2018年222-235に収められた。道士が出てくるところ、山上で埋葬しているところなどが興味深い。あらすじは以下の通り。 食道癌で末