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中国思想・短編小説・歌曲選

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https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 中国的な考え方を知る手がかりを探しています。
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2019年1月の記事一覧

從百草園到三味書屋(2)魯迅 1926/09

魯迅(ルー・シュン 1881-1936)。 魯迅は浙江省紹興県生まれ。その子供時代を思い起こして書いた散文である。写真は『魯迅作品選』大安1967年発行より採録した『三味書屋』内部。日本の寺子屋とは違い、机と椅子であり、天井も高い。中央に先生が座っていたのだろうか。散文の後半は魯迅がその子供時代に通った三味書屋という書塾の思い出である。なるほど書院ではなくて書屋というのだと感心する。勉強の方法はただひたすら朗読するというもの。その後習字。さらに先生による暗唱のチェック(対課)

從百草園到三味書屋(1) 魯迅 1926/09

魯迅(ルー・シュン 1881-1936)。 魯迅は浙江省紹興県生まれ。その子供時代を思い起こして書いた散文である。1926年9月18日と脱稿の日付けがある。なお写真は『魯迅作品選』大安1967年より採録した。この散文の最初の百草園の部分では、美女蛇伝説が語られる。人の名を呼んで返事をしたら、夜の間にやってきてその人の肉をたべてしまうという。その教訓は、覚えのない人に名前を呼ばれても絶対に返事をしてはいけない、というもの。記憶に残る教訓である。 結末的教訓是:所以倘有陌生的聲

鄉関何處 余秋雨

余秋雨(ユウ・チウユウ)は1946年浙江省生まれの著名な作家。ところで私たち外国人は意識しないことだが、中国の方言問題はかなり深刻で方言が違うと話が通じないという話は多い。この散文では、子供のときに上海に出てきた著者の経験が語られる。上海人が言葉に自信があり、同化能力があることや、中国共産党の南下幹部も上海人の前では黙らざるを得ないという下りはおもしろい。おそらく経済的文化的に上位だという自信が上海人の自信を支えているのではないだろうか。 擺脫故鄉的第一步是擺脫方言。(中略