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中国経済学史

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2021年1月の記事一覧

南京国民政府期の公債投資 1927-37

尹振濤《歷史演進,制度變遷與效率考量》商務印書館2011年,pp.237-244 p.237 (二) 北洋政府時期 北洋政府が大量に公債発行を開始すると、中国人出資銀行(華資銀行)は次第に証券市場に足を踏み入れ(涉足)近代中国証券市場において主要投資者の一つになった。1918年までの、近代上海の主要な銀行のいくつかはみな大量の有価証券を保有しており、有価証券保有量の銀行の資産総額(放款總額)に占める比重は平均7.59%以上である。 p.239 (三)南京政

南京国民政府期の商業銀行 1927-36

李国勝《浙江興業銀行研究》 上海財經大學出版社2009年, pp.150-152 p.150 蒋介石集団が政権について10年のうちに、中央、中国、交通、農民の官僚資本銀行4行は、全国の金融を独占した。1936年に、彼らは全国の164行銀行の払い込み資本(実収資本)の42%を占め、預金の59%、発行銀行券の78%、純利益44%を占めた。とくに1935年の銀の波乱(白銀風潮)では、上海の民族資本銀行67行のうち閉鎖あるいは業務停止は12行。さらに比較的大きな3行は官僚資本銀行

戦前”四行二局”国家金融体制の形成 1927-1936

王紅曼《國民政府戰時金融法律制度研究(1937-1945年)》法律出版社·2011年, pp.19-24 p.19 (1937年7月7日の)抗日戦争爆発後、国民政府が比較的短時間で、 p.20 金融の風潮を落ちつかせ、ひっくり返るような不安な局面を基本安定したものにできたのは、抗日戦争前に(以下「戦前」と略称する)金融の基礎が固められていたことによる。はやくも1927年4月、南京国民政府樹立(建立)後すぐに政府が直接統制する「銀行の銀行」を職能とする金融機構の創立に着

華商産業証券市場 1927-1936

尹振濤《歷史演進,制度變遷與效率考量》商務印書館2011年,pp.189-190 p.189 活発な公債市場の形成は華商(中国人を背景とする 中国人が保有する)株券市場の萎靡不振と鮮明に対照される。1927-1936年、華商産業証券市場は十分冷え切っており(顯得十分冷清),株券取引は外国人商人(外商)の衆業公所に主要集中していた。発行市場からみて、この時期、近代産業証券はそれでも一定発展した。1929年2月から1933年末までの統計によれば、上海で正式に登記した(注冊登記)

国民政府期の銀行と内債 1927-1936

姜良芹《南京國民政府内債問題研究》南京大學出版社2003年pp.214-225 p.214 (一) 政府公債への投資  もし1894~1926年、中国政府の公債が外債が主だったとすれば、1927~1936年、中国政府の公債は内債が主であった。1892~1926年、中国政府の外債は約21億元で71%を占め、内債は8.4億元、29%を占めた。1927~1936年、外債は3.43億元12%を占め、内債は26億元88%を占めた。第四章で述べたように、 p.215 この政府内債の発

幣制改革(1935)と為替自由化(1946)

1935年幣制改革と1946年の為替自由化 洪葭管《中国金融史十六讲》上海人民出版社·2009年pp.19-20 p.19 1935年実施の幣制改革は法幣の対外為替相場(對外匯價)を確立した。(この1935年の幣制改革と)そして外国為替管理を緩和(放松)した1946年の外国為替市場開放とは、国民政府時期の金融史における二つの突出した重大事件で政策性がとても強く、成功か失敗かは経済金融の形勢に影響した(攸関)。 (一)高くない推定相場で1935年幣制改革は成功でき

戦前の中国金融業の特徴 1935-37

王紅曼《國民政府戰時金融法律制度研究(1937-1945年)》法律出版社·2011年, pp.24-28 p.24 中国の金融業は、国民政府による整頓と改革の一時を経て、混乱(紊亂)、分散から次第に統一、集中に向かった。しかし戦前の中国金融機構全体としていえば、以下の問題が存在していた。  第一に貨幣発行権が不統一で、中央銀行の作用(功能)が阻害されていた。国民政府成立後、貨幣発行権を独占する、強力な中央銀行システムを始める(建立)ことが希求された。戦前、政府は政治と経済の

上海(シャンハイ)株式市場の復活と畸形発展 1937-45

尹振濤《歷史演進,制度變遷與效率考量》商務印書館2011年,pp.190-193 p.190 抗戦勃発(爆発)後、中国株(華商股票)取引はどちらかといえば静かであったが(比較沉寂)上海華商証券取引所(交易所)はまた1937年8月11日業務停止させられた。上海が「孤島」となり、その政治、経済の形勢が当面の安定をえてのち、上海工商業はまた迅速に回復発展した。中国(華商股份制)企業が続々設立されるとともに、中国株(華株)取引に従事することも可能になり、利益がでるものに変わった。再