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中国経済学史

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2020年12月の記事一覧

朱陰貴「抗戦前後上海華商証券市場(1927-1945)」

朱陰貴《近代中囯・・金融與証券研究》上海人民出版社2012年320-340 p.320  上海華商証券市場は抗戦前後非常に特殊でまた重要な歴史時期のひと時を経験した。南京国民政府成立後、近代中国最大の証券市場である上海証券市場の取引指標(標的物)は、株券証券から繰り返し変化して政府財政に服務するための「単一債券市場」となった。1937年抗日戦争が全面爆発後、上海証券市場上の「債券市場」は徹底解体され、産業証券が天下統一する局面が出現した。華商企業の株券が証券市場の唯一の指標

朱陰貴「1918-1937年の中国証券市場」

朱陰貴《近代中囯・・金融與証券研究》上海人民出版社2012年244-265 p.244  証券市場または資本市場は、商品経済と信用制度が一定の発展段階に至ってのちに、有価証券が発行流通し併せて取引(交易)が進行する市場である。証券市場を通じて発行流通する有価証券には株式制(股份制)企業が発行する株券(股票)、社債(公司債券)から政府発行の国庫券と公債券などまでを含む。具体的に言うなら、証券市場は一定の時間、一定の地点において、一定の法律に従い、一定の方式を通じて、一定の商人

劉志英「近代上海華商証券市場的歴史演進」1872-1949

劉志英《近代上海華商證券市場研究》學林出版社2004年pp.1-65 p.1  上海は近代中国の金融の中心で、近代上海金融市場はそれ自身発展の特徴(特色)がある。上海の証券市場もまた近代中国で規模最大でもっとも典型的市場である。上海証券市場を主体とする華商証券市場の歴史変遷(演進)大きく三つの時期に区分できる。  第一時期 1872-1922年 近代華商証券市場の萌芽と創立。  第二時期 1922-1937年 政府公債が主である華商証券市場の隆盛。  第三時期 1937-1

抗日戦争期間の中央銀行 1937-1945

 區慕彰     羅文華《中國銀行業發展史  由晚清只當下》香港城市大學出版社2011年pp.72-76 p.72  1937年7月7日 盧溝橋事変後、中日戦争は全面的に広がった。この戦争は1945年米国が日本の広島に向けて原子爆弾を投下し、日本が無条件降伏(投降)を宣言(宣佈)するまで続き第二次大戦が終わった。この間8年、中国人民は長期にわたり粘り強く(不懈)抗日戦争を進めた。    戦争中、中国金融は時代の変化とともに変化した。1937年8月、すなわち戦争が正式に始まっ

上海(シャンハイ)証券市場の畸形発展と委縮1937-1949

馬長林「上海証券市場の畸形発展と委縮1937-1949」馬長林『中国古代金融』中国国際廣播出版社2011年pp.73-78 p.73 1937年八一三事変が発生後、上海にも戦火は及び、華商証券取引所は業務中止(停業)を迫られた。まもなく上海は敵に占領され、日本軍に包囲された「孤島」の租界においては、各種の経済活動がなお進んでいた。華商証券取引所の一部のブローカーと、 p.74   一部の新たに開業した錢莊(銀號)オーナー(業主)とは、華商証券取引所ビルの7階の廊下で先物取引

建国初期の物価高騰 1949/04-1950/03

 賀水金《1927-1952年 中国金融與財政問題研究》上海社會科學院出版社2009年pp.310-316 p.310 一、建国初期四度の物価高騰(漲風)  新中国成立初期の物価波動の最も激烈であったのは1949年ー50年3月、前後4回の大きな物価高騰(漲風)が発生した。  (一)最初の漲風  1949年、華北でかなり重い春の干ばつがあり、春の収穫は少なかった。4月、華北、西北の広い範囲で物価波動が席巻、山東、蘇北,平津などに波及した。4-5月の両月、上述地区の物価はあ

共産党の対国内経済改革 1949-1973

 區慕彰     羅文華《中國銀行業發展史  由晚清只當下》香港城市大學出版社2011年pp.83-88 p.83  三年にわたる国共内戦を経て、1949年、中国共産党は北平(北京)において中華人民共和国成立を宣言(宣佈)した。国民党は台湾に退き、中共が大陸の唯一の執政党になった。  正に経済方面を重視して、中共は新中国政権まだ正式に成立(建立)する以前に、全国の財政経済を処理する専門機構の設置に着手した。1949年5月、党中央は、全国の財政経済工作を統一指導する中央財政経