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中国経済学史

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2019年3月の記事一覧

馬洪 社会主義市場経済の特徴 1994/05/17

鄧小平是社會主義市場經濟理論的奠基人 在青島一次會上的講話 馬洪經濟文選 中國時代經濟出版社 2010 pp.223-227, esp.225-227 (なお写真は傳通院山門 2020年6月20日撮影) (この文章は鄧小平を称えた文章の中の一節。1994年であるから馬洪がすでに74歳のときの文章。鄧小平を議論した部分も興味深い。鄧小平は「計画経済が主で市場経済が補」という党の十二大の提起から一歩進めて「社会主義と市場経済の間には根本矛盾は存在しない。問題はどのような方

馬洪 経済体制の改革 1979/08/17

馬洪經濟文選 中國時代經濟出版社, 2010, pp.12-27 1979年8月17日中共山西省委員会直属機関幹部会での報告 この報告は、この時点(1979年8月)での意見の違いを記録している点で貴重である。 p.12 我々の現在の経済管理体制は基本は20世紀50年代ソ連から来たものだ。早くも30年が経ったが、基本はほとんど変化していない。去年党の十一届三中全会は我々の経済体制は改革されねばならないと確定した。今年の五届人大二次会議はまた全面改革の推進を提議(提出)した

劉國光「経済体制改革の基本方向を堅持せよ」1982年9月6日

堅持經濟體制改革的基本方向 本文原載 1982年9月6日《人民日報》劉國光改革論集中國發展出版社, 2008年, pp.30-39,esp.34-37 (独特の言い回しが続くが、内容としては計画経済から市場経済への移行を進める内容になっている。以下の話の前提として、企業に自主権が与えられねばならないという問題がある。)  社会主義国家は生産資料の社会主義公有制の基礎上において計画経済制度を必ず実行するものであり、また実行する能力がある(能夠)。これはマルクス主義者の間に

厲以寧 共同富裕を論ずる 1992

論共同富裕的經濟發展道路 本文原載北京大學馬克思列寧主義研究所編《馬克思主義與中國社會主義現代化》 厲以寧改革論集 中國發展出版社 2008年 pp.72-91, esp.73-74(厲以寧は、社会主義について共同富裕、誰もが豊かになることに本質がある、と論じている。教科書的で決しておもしろい文章ではないが、思考の枠組みとして参考になる。最初に両極分化であってはならないと始めて、しかし最初はそうできないことを説明している。そこで問題は、社会主義経済を名乗る以上、両

厲以寧 金融法講座上的報告 1995/07/12

厲以寧 厲以寧·經濟文選 中國時代經濟出版社 2010,pp.39-57 1995年7月12日在“金融法講座”上的報告。(写真は細川庭園 2020年5月30日)(ここでは1995年の中国人民銀行法制定をはじめとする金融立法の意味が語られている。なかでも中国人民銀行を、金融政策の担い手としての中央銀行に改変することが重要だったことがうかがえる。このときに金融関係の法律が一挙に整備されたこともうかがえる。)  中国経済体制改革の目標モデルは社会主義市場経済体制の建設(建立)で

厲以寧 同光華管理學院畢業生的談話1995/07/20

厲以寧經濟文選 中國時代經濟出版社 2010 pp.57-67 1995年7月20日同北京大學光華管理學院一部分即將到金融界,企業界工作的畢業生的談話。 (この談話の直近に商業銀行法制定があった。投資、融資の主体が自らの決定に関してリスクを引き受けることが、体制改革の鍵になると、厲以寧は卒業生に熱く語りかけている。後半は証券市場の意義を論じているが、銀行が商業銀行に転換することを背景の要因の一つに挙げている。厲以寧がこのような新たな論点を取り入れる頭の柔らかい人物であること

厲以寧 中国の株式制改革の回顧と展望 2008

 中國股份制改革的回顧與前瞻 原載魏禮群:《改革開放三十年,見證與回顧》中國言實出版社, 2008 厲以寧經濟文選 中國時代經濟出版社 2010 pp.80-93(改革開放後の中国の株式制度発展についての記述であるが、実はここで初めて見る指摘も多い。記述は生き生きしており、厲以寧がこの問題の議論で重要な役割を果たしたことが伺える。この記事は中国の株式制度形成を記録した記事として重要なものの一つだといえる。とくに価格自由化(放開)、請負責任制(承包制)、価格自由化、株

劉國光 五カ年計画の教訓 2005/02

本文為2005年2月特約記者劉思源的采訪稿。原載《上海黨與黨建》2005年2月版。劉國光經濟文選,中國時代經濟出版社,2010年, 168-174, esp.173-4 (中国の経済学者は、市場の限界について語らないところがある。その点で劉國光を読んで得心するのは、市場の限界にしっかり触れている。) p.171  記者:計画時期と比べて、市場時期の5つの「五年計画」の制定実施にはどのような際立った特徴があるのでしょうか?  劉国光:中共十一届三中全会以来、わが国経済は全