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中国に関連して生じた事実

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https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 政治的文化的側面を中心に年代順に採録。
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2023年9月の記事一覧

Collier & Rohner, "Democracy, Development and Conflict", 2008

ポールコリアの民主主義と経済発展との関係についての論文 Paul Collier and Dominic Rohner, "Democracy, Development and Conflict" , Journal of the European Economic Association, Vol.6 No.2/3, Apr.-May 2008, 531-540 解題 Paul Collier(ポール・コリア 1949-)はオックスフォード大学に所属する経済発展論の教授。

大西広『西側民主主義』を拒否する中国 を読む

 大西広さんは京都大学から慶應義塾大学に移った研究者で、中国の政治制度に詳しい。すでに慶應も退職されて慶應大学名誉教授。取り上げる論文は『季刊経済理論』第59巻第4号、2023年1月、33-44に掲載されたもの。 中国が欧米型民主主義を取り入れないことを私は正しくないと考えるのだが大西さんは、この論文で、そうした中国の立場を肯定するロジックを書かれている。また中国の政治制度を弁護されて、それは多数決民主主義よりは良いものだとされる。今回、丁寧に読む時間があったので、大西

Deflation in China should help inflation in the West to moderate

中国のデフレを歓迎する欧米報道機関の報道について  直近の欧米の報道を読んでいささか驚いたのは、中国の輸出品価格の低下、成長の鈍化を単純に歓迎していることであった。そのことの中国経済への影響とか、中国が日本のようにデフレ経済あるいは長期停滞に陥るリスクへの危惧と言った観点での報道は少数派であることに戸惑った。 もちろん報道の中ではVOAのGarverにように、デフレが不況を深化させることやデフレスパイラルに陥る懸念を伝える「中国経済」に絞った報道もある。ただこうした報