マガジンのカバー画像

中国に関連して生じた事実

158
https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 政治的文化的側面を中心に年代順に採録。
運営しているクリエイター

2019年2月の記事一覧

魯迅《孔乙已》1919/03

魯迅《呐喊》北京燕山出版社2013年pp.15-18 (写真は本郷給水所公苑 撮影2020年5月29日) 飲み屋で店員をしていた若者の回顧談。しかし魯迅がそうした経験をしたわけはないので、この話は完全に創作である。 20世紀初頭の中国は急速に時代が変わった時期。登場人物の孔乙已のように時代にのれず、おちぶれた人たちを魯迅もたくさん見聞したはずだ。その意味では、モデルやもとになった話はあるのかもしれない。 孔乙已はこの飲み屋の客。最初に飲み屋の客を、短衣幫を着ている労働者、

魯迅《一件小事》1920/07

 これは経験談のように思える。執筆は1919年11月と推定されている。魯迅《呐喊》北京燕山出版社2013年pp.31-33 (なお写真は白山神社のアジサイ。2020年5月29日撮影)。  乗り合わせた人力車の車夫の話。それは民国六年(1917年)の冬のこと。車夫と白髪で衣服もボロボロの老婦人がぶつかって、老婦人は倒れてしまう。魯迅はたいしたことではないと思い、それを口にしてしまうのだが、車夫は、老婦人を助け起こしてケガをしたといわれて、婦人を伴って交番の警官に「事故」を届け出