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趙紫陽(1919-2005)

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2019年10月の記事一覧

胡平 趙紫陽の社会主義初級段階論 2011

胡平《關於趙紫陽若干問題的解讀》在《趙紫陽的道路》晨鍾書局2011年pp.217-233  この胡平の一文は、あくまで参考として読み始めた。ここでは趙紫陽が1987年の十三大で提起した社会主義初級段階といういい方の巧妙さを論じた部分を訳出する。胡平(1947-)は1979年の民主の壁運動で名を成した人物。以下の文章もなかなか文章を書きなれた印象を受ける。 p.222 2.「社会主義初級段階」について  「社会主義初級段階」という言い方は、早くも思想解放運動時に議論(探

丁東「趙紫陽と陳独秀」2011

丁東《作爲思想家的趙紫陽》在《趙紫陽的道路》晨鍾書局2011年,189-202 (この文は期待して読んでみたが、記述は浅くそれほど感心できなかった。頭の部分と、趙紫陽と陳独秀との晩年において議会制民主主義にあるべき方向を見つけたという結論は納得できるので、そのことだけを記録する。)  趙紫陽(1917-2005)の人生の最後の15年は軟禁のなかにあった。法律は趙紫陽の公民権利をはく奪していないが、当局は警察力を用いて、趙紫陽の行動の自由、移動(交往)の自由、そして言論の自由

陳子明《顧准、李慎之の趙紫陽の思想への影響》 2011

 陳子明《顾准,李慎之對趙紫陽的思想影響》在《趙紫陽的道路》晨鍾書局2011年,pp.203-215 (この文章は表題から、顧准と趙紫陽(チャオ・ツーヤン 1917-2005)との関係が語られているのではないかと注目した。まず語られている認識は、私がもともと趙紫陽を読んで感じていたことと変わらない。ポイントは、顧准を読んでから趙紫陽の認識には大きな変化があるということ。私自身も感じていたことだが、それを再確認でき、中国人で私と同年代の陳と共感できることはうれしく感じた。さらに