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捲土重来

高校3年の現役で大学入試に失敗し1年間浪人生活を送った。もう30年以上前のことである。当時神戸に住んでいたが大阪の十三にある予備校に通うことになった。4月のこと。予備校には入校式があるという。そこで大きく掲げられた垂れ幕に「捲土重来を期す」と書かれていた。

そのとき聞いた言葉の由来は中国の故事成語だった。蒙古が中原を目指し馬にまたがり土煙を巻き上げ再びやってくる。何度失敗しても諦めずにチャレンジしろ。そんな励ましの言葉だったと記憶している。

それ以来、独断的でかつ勝手なイメージが出来た。捲土重来。秋の収穫が終わり一息ついた頃に戦の準備を始め、さあまた行ってくる、と残る家族に言い渡し昨年に続き今年も中原を目指し馬にまたがり(性懲りも無く?)勇んで南方へ駒を進める匈奴の人達。

戦うことの是非がどうとか家族を残し二度と戻って来られないかも知れない悲壮さもともかく、諦めずに二度、三度と繰り返すことのしつこさ、こだわりの強さ、執着心こそ時と場合によっては必要ではないか。またその様に諦めない、諦めきれないことこそ続けて行く価値のあることなのだと思う。

幸い、二度目の受験で志望校への合格を果たした。三度目を期す必要がなかったのは何よりのこと。それはそれで置いといて、人生には3度目、4度目と再び馬に跨がってかつて戦に敗れ逃げ落ちた道をまた逆に行くこと、決して諦めない志を持つことが必ずあると思う。

はて、今までのこの人生で何度も何度も同じ挑戦をしたことがどれほどあったろうか。

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