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鋭利なチクワ #毎週ショートショートnote

突然、ボスに呼び出された。

「最近トニーに会ったか?組織の情報を漏らしているらしい。事実なら……分かるな」

「はい」

トニーとは若い頃、共同生活をしていた。組織を裏切るような奴じゃなかったが。
トニーの潜伏先を訪れた。

「よお、トニー」

「やはりバレるか、お前には」

「お互い隠し事はできない。そうだろ」 

「まあな」

「それで、お前、俺に言っておくことはないか?」

「別に」

「わかった。ところで、腹減ってないか?」

「プッ。なんだよ、急に」

「お前に炒飯作ってやろうと思って材料買ってきたんだよ。好きだったろ、チクワ入ってるやつ」

「懐かしいな!頼むよ」

通常の具材にチクワを斜めに切ったものを加えて米がパラッとするまで炒める。

「できたぞ」

「おー、これこれ」

トニーがひと口食べて微笑む。

「やっぱり旨い。今日は血のせいか塩気が多いが。明日、妹の手術がある。後は頼むぞ、親友……」

毒針入りの鋭利なチクワがトニーの口内に刺さり、全身に毒が回ったようだ。

(410文字)


※こちらの企画に参加させていただきました

#毎週ショートショートnote
#ショートショート
#鋭利なチクワ

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