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【毎週ショートショートnote】戦国時代の自動操縦

「おつる!また勝って帰ったぞ!!」

「お帰りなさいませ!流石です!よくぞご無事で」

「早う甲冑を脱がせてくれ!暑くてかなわん」

「はいはい、いまやりますから」

甲冑の横から伸びている赤い紐をおつるが引っ張ると、男の身体からスルッと甲冑が脱げ落ちた。すぐ脱げるようにおつるが細工しているのだ。

「気持ちいいのぅ!!ワシが何もせんでも一瞬で脱げるのがいい!おつるは天才じゃ!」

「いいえ、本当に天才なのはあなた様じゃ。戦さの天才!」

「ワシにはおつるがついておる。負けはせん。
次はお前の父の仇。必ず倒してみせる」

「あなた……」

何も言わなくても、勝手に動いて私の望みを叶えてくれる最愛の人。もしも、あなたが死んだならすぐに追いかけます。

その後、有力武将同士の戦いが起こり、連戦連勝を重ねていた武将が敗れた。敗れた武将の家では妻がうつ伏せに倒れて死んでいた。後頭部に漬け物石をぶつけたようだが、何があったのか。
側には長く赤い紐が落ちていた。

(410文字)


※こちらの企画に参加させていただきました

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