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誰かの夢を見た話 #シロクマ文芸部

春の夢と間違えて誰の夢を見ているのだろうか。

朝からカツ丼を食べさせられた。
カツ丼は好きだけど朝からは胸焼けする。
勘弁して欲しい。

スマホを観ながらゴロゴロする。
たまに動画で大笑い。
そんなに面白い?
でも今は大笑い。

動きやすい服装に着替える。
ああ、サッカーをしに行くのか。マジか。
もう少し寝ていたいのだけど。
行くのね?はい。

友達がいると思ってサッカーをしに行ったのに誰もいなくてすぐに帰ってきた。残念。
さすがに少し休むよね?

嘘だろ。オンラインゲームやるんだ。
友達、やってたわ。
チャットで一緒にやろうと言ってしまう。
やりたくないなぁ。
ふーん、まあ、面白いか。面白いね。

昼ごはん、焼肉食べるの?
朝、カツ丼食べたのに?
まあ、分かるよ、夢だよね。
確かに夢のラインナップかも。
カツ丼から焼肉は。
胸も焼けるだろうな。

焼肉、うまかったな。
さすがに少し横になるか。
ならないか。
夢だもんな。夢で寝ないよな。
確かに全然疲れてないし。

サッカーをしに行きたいのね、やっぱり。
さっき友達と約束してなかったけど、大丈夫かな。
関係ないか、そんなことは。
とにかく行く。
あ、今度はいるじゃん!友達が三人。
二対二でやれるね。
華麗なボレーシュートと漫画みたいなオーバーヘッドキックを決めた。
サッカー、こんなに楽しかったっけ。
市のチャイムが鳴ったので帰宅。
夢なのに鳴るんだな。真面目か。

さて、晩ごはん。
マック?マックなの?
本日のお食事は、カツ丼、焼肉、マックなの?
わー。
でも、このポテト、カリカリでおいしそう。

ポテトに手を伸ばしたところで目が覚めた。

隣で寝ている息子の頭をなでる。
俺の春の夢を見ているのだろうか。

今日の晩ごはん、マックにしてやるよ。

(701文字)


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#短編小説
#春の夢

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