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文学トリマー #毎週ショートショートnote

近頃は文学を飼う人も減ってきて、文学とは何かも分かっていない文学もどきが大きな顔をして歩いている。

文学の志がある者としては黙っていられない。
古き良き文学を取り戻すため、この私が文学トリマーとして誤った文学はハサミでカットしてやろう。

なんだ、アイツは。
つまらんことをダラダラと書きおって!
こんなものは文学ではない!
チョキチョキ。

こっちは?ふん!
ありもしないことをさもあるかのように書くんじゃない!
チョキチョキ。

お、これは……、私の文学より面白いじゃないか!
けしからん!
チョキチョキ。

「おいおい、勝手な事をするんじゃないよ」

「誰だ、お前は」

「文学トリマーだよ、本物の」

「な、なんだと」

「文学とは何かなど勝手に決めるな。自由に歩かせておけ。
お前なんぞにハサミはいらぬ。バリカンで充分」

ウィーン、ジョリジョリジョリ。

「勝手に文学刈り上げにするなんてひどい!」

「すぐに伸びるさ。変なこだわりは捨てろよ」

文学トリマーは去っていった。

(410文字)


※こちらの企画に参加させていただきました

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