清貧DX(貧乏DX)のススメ
前節:強権的DXのススメ
DXはお金がかかる
DX推進にはお金がかかると言われています。実際にデジタル設備の導入・運用やそれを活用するデジタル人材の発掘・育成に多くのお金がかかります。これはDXに限ったことではありませんが、何らかの施策をするときにはお金がかかることは覚悟が必要です。
特にDXの推進施策では、デジタル設備とデジタル人材が必要になることが多く、その結果、他の施策よりも多くのお金がかかるでしょう。覚悟が必要です。DXで対象を変革するための鍵となるデジタルデータを扱う設備として、コンピュータを始め、ネットワークやデータベース、それにデジタルデータを処理するアプリケーションソフトウェアが必要です。
また上記のデジタル設備を扱うデジタル人材にも多大なお金が必要です。デジタル人材を確保するために、社内外から見つけなければなりません。そして社内から確保したデジタル人材では育成するにもお金がかかるでしょう。
お金をかけないDXの事例
お金をかけないDXの事例はあります。これを紹介していきます。
IPAで私も参加して中小製造業のDX事例(14社+11社=25社)をヒアリングして、その結果を以下で公開しています。
IPA製造分野のDX事例集
DXでお金がかかるものには、大きく分けて、デジタル設備とデジタル人材があります。上記の事例の中でデジタル設備に関するものには、センサーの自作や代替を行い、既存の製造装置をそのまま活用することで安価に抑えるという事例があります。
デジタル人材に関する事例としては、社内人材から選抜して育成するという王道以外には、大企業や自社の退職者を再雇用する事例、アジア圏人材の採用事例があります。
上記のデジタル設備とデジタル人材だけでなく、お金をかけずにできるDX事例を紹介しています。DXは直接的な施策だけでなく、組織文化や風土、経営層のトップコミットメントなどに関する施策が重要です。この事例にはアナログ的な掲示板やデジタル装置による社内情報の展開、社内SNSによる社内コミュニケーション網の利用などがあります。
このようにお金をかけない事例があります。お金をかけないDX、貧乏DX
いえ、清貧DXはあります。
清貧DX(貧乏DX)のススメ
貧乏DX、いえ、清貧DX、つまりお金をかけないことを前提条件にしてDXを推進するのは、本末転倒になる可能性が高いです。まずは止めた方がいいでしょう。
そうではなく、DXの目的をまず定め、そのための変革対象とその方法、そして必要になるデジタル設備・人材を決めるようにします。この後に創意工夫でお金をかけないようにするのが清く正しい順序です。
しかしこれが現実的でない場合が多いことも事実です。この場合はお金をかけないことを前提条件として、DXの目的を考え、そのための変革対象とその方法を決め、デジタル設備・人材を決めていきます。これもまたひとつの順序です。
しかしこの順序では、DXは小さくなり、もはや変革と呼べないものになるかもしれません。これはカイゼンかもしれません。しかしこれでいいのです。正しいDXです。DXでないという反対の声を無視しても問題ありません。なにせ、清貧DXなのですから。
ということで今日の結論。「清貧DXは自信を持って清らかに」 以上です。
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