コロナワクチン接種後の加速型クロイツフェルト・ヤコブ病: IJVTPRに掲載された論文から
以前、シノバック社 (中国) の不活化コロナウイルスワクチン接種を受けた82歳のトルコ人患者が発症したクロイツフェルト・ヤコブ病 (Creutzfeldt-Jakob disease, CJD) についての論文を紹介する記事を書きました。この症例ではワクチン接種のわずか1日後にCJDを発症したのです。本来CJDとは進行が遅く、10年以上潜伏し、6カ月から3年ほど続く症状期を経て死に至るものとして知られていますが、この症例では対照的でした。その記事内ではモンタニエ博士の査読前の論文についても触れました。
リュック・モンタニエ博士はエイズウイルス (HIV) を発見した功績により2008年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。そして、博士は惜しまれながらも約1年前の2022年2月に亡くなられました。死後約1年が経ち、博士の論文がようやく査読を通り先日正式に発表されましたので、ここで紹介させていただきます。コロナワクチン接種に起因すると考えられるCJDについての論文です。
論文内ではファイザー、モデルナ、アストラゼネカのコロナワクチン接種後のCJDの26の症例が挙げられています。これらの症例では接種後1日から1ヶ月以内に症状が現れており、この点において従来のCJDとは大きく異なります。つまり急速に進行する新しいタイプのCJDであり、コロナワクチン後遺症の中でも最も深刻なものの1つと考えられます。
武漢株のスパイクタンパクにはプリオン領域が存在します。そして、コロナワクチンには武漢株のスパイクタンパクが使われています。しかし不思議な事に、オミクロンではこのプリオン領域が消失しているのです。
プリオンモチーフは2つのグリシン残基の間に3つのアミノ酸が介在するパターンが特徴で、GxxxGと表されます。 SARS-CoV-2のスパイクタンパクは5つのGxxxGモチーフを含んでいます。このため、スパイクタンパクがプリオンとして振る舞う可能性が指摘されています。プリオン領域の中にはYQAGSという5つのアミノ酸を持つ部分があり、このうち真ん中の1つを除く他の4つのアミノ酸は、ヒト・プリオンタンパクのC末端付近にある部分 (YQRGS) と同一です。
フランスでの新型CJDの初発症例は72歳のフランス人女性、Mauricette Doyerです。論文内ではPrinceps Doyerとも呼ばれています。Princepsはラテン語で「時間や順序において最初の人」を意味します。彼女はSARS-CoV-2ワクチンの2回目の接種からわずか14日後に最初の臨床症状が現れました。彼女は、左足背の知覚異常、めまい、頭がぼんやりする症状、疲労、抑うつを経て、左足の痛覚性坐骨神経痛を呈しました。MRIでは、アルツハイマー病の進行した患者に見られるような白質梗塞病変が見つかりました。5日間のCHR de Beauvais病院への入院後には、血行不良のために血液サンプルを採取する事も困難になりました。その後、歩行障害、右脚の知覚過敏の症状が現れ、夜間の排尿時の灼熱痛を訴えるようになりました。てんかんの発作と思われる激しい不随意運動による痙攣があり、急激な神経衰弱が認められました。
パリのAmerican Hospitalの神経科では、Mauricette Doyer婦人をCJDと結論づけました。10週目の時点で、患者はCJDの典型的な運動性緘黙症で、寝たきりの不眠症になりました。それ以降、不安発作、動揺、不随意運動、非経口栄養、断続的な呼吸困難を呈し、緩和ケアのためのミダゾラム (鎮静薬) による治療が必要となり、自宅で介護される事になりました。
Doyer婦人の症例が広く公表されたのは、介護が彼女の家族によるもので、彼女が動く事も話す事もできなくなった後も介護が継続されたためです。2021年10月31日、夫であるMarc Doyerはこう書いています。
Doyer婦人は、2021年5月5日にファイザー社のコロナワクチンの2回目接種を受け、わずか14日後の5月19日には症状を呈し、7月5日には、わずか61日で症状は深刻なものとなりました。そして、因果関係が疑われるファイザー社製ワクチンを接種した日からほぼ1年後の2022年5月3日に亡くなりました。
図3は脳スキャンの結果です (MRI、PET、脳波)。
脳MRIによると、左側を中心とした頭頂葉と帯状回に異常があり、FDG-PETでは右半球の前頭葉と頭頂葉を中心に低代謝が認められました。脳波では、右半球に6Hzの背景活動と6秒間の1Hzの三相性周期スパイクが見られました。脳波の青い四角の中の主要なパターンはCJDの診断を下す根拠となります。
Doyer婦人を含めた26人の新型CJDの症例では、CJDの最初の症状が現れるのは接種後最短で1日、最長で30日後、平均すると11.38日です (図4)。従来のCJDと異なり、この新しいタイプの致命的なプリオン病においては症状が出るのが劇的にはやいのです。
そして、この新しいタイプのCJDは致命傷に至るまで急速に進行します (図5)。26症例の内訳では、ファイザー社やモデルナ社のRNAワクチンでは2週間程度で症状が出るのに対し、アストラゼネカ社のDNAワクチンでは症状が出るまでに30日程度かかりました。20人は接種後わずか4.76カ月以内で亡くなりました。そのうち8人は2.5カ月以内に亡くなっています。古典的なCJDの症状が数十年を要するのに対し、この新しい型のCJDの進行は極めて急速です。2022年8月の時点で26名のうち生存者は1名のみでした。
1992年から2019年の間にフランスで診断されたCJDはわずか28例です。そのうちの1例は、2019年に死亡した研究技術者で、2010年にプリオンが研究されていた実験室で感染したものと考えられています。その死亡事故の後、2021年の夏、やはりプリオンが研究されていたフランスの公的研究所の技術者も死亡しました。この2人の死と、最初の技術者の死後に起こった訴訟のため、フランスにおけるプリオンに関する研究はすべて凍結されました。このためヨーロッパでは、2021年7月27日以降、実際に解剖やその他の診断検査を行っている高度医療機関はどこもプリオン病が疑われる組織サンプルを分析する事ができなくなりました。CJDやその他のプリオン病の診断のための公式な根拠は現在でも剖検ですが、大半の症例では剖検は全く行われていないのです。こうした制限を考慮すると、新型CJD病の実際の患者数は、報告された数よりも多い可能性が高いのです。
新型CJDはファイザー、モデルナのRNAワクチンのみではなく、アストラゼネカのDNAワクチン、シノバックの不活化ワクチン接種後にも起こっており、コロナワクチン接種そのものが原因であると考えられます。これらに共通するものはスパイクタンパクです。新型CJDの特徴は初発症状が接種後すぐに現れ (最短で接種1日後)、進行が非常にはやいという特徴があります。では、従来のCJDとは異なり、なぜ発症や進行がこれほどまではやいのでしょうか?
ここから先は私自身の推測を含めた内容になります。
新型CJDが従来のものとどれくらい同じ作用機序によるものかは現時点では不明ですが、ワクチン接種後に異常プリオン (またはプリオン様物質) ができるのがはやく、またそれが脳内に侵入し、脳組織に海綿状の空腔を作り脳機能障害を引き起こすのもはやいという事になります。
理由の1つは、プリオン領域から、スパイクタンパクがプリオン様の働きをするからではないかと考えられます。食源性のプリオン病の場合、分解を免れて消化器から吸収された異常プリオンが脳に達するにはかなりの高いハードルがあります。これに対し、スパイクタンパクは血液脳関門を越えて直接脳に達する事ができます。さらには量の問題もあります。スパイクタンパクはコロナワクチン接種者の体内で大量に生産され、しかも血中を循環しますので、その一部は直接脳に作用している事が推測され、その場合にはスパイクタンパクがプリオンタンパクの変性、凝集の引き金となる恐れがあります。また、スパイクタンパクそのものが異常プリオン様の凝集体を作る懸念もあるのです。
もう1つの可能性は自己免疫疾患としてのプリオン病です。スパイクタンパクそのものだけではなく、むしろ問題の本質は抗体にあるのかもしれません。コロナワクチン接種によって自己抗体としての抗プリオン抗体を産生する事になれば、プリオンタンパクの変性、凝集の引き金となるでしょう。プリオンと交差反応する抗体は体内のどこかでプリオンを変性させ、その異常プリオンが脳に運ばれる可能性もあります。こうした作用機序は相反するものではなく、組み合わせて起こる事も考えられます。
しかしながら、ワクチン接種者全員が接種短期間後にCJDを発症するわけではありません。では、なぜ頻度が稀なのでしょうか? CJDの原因となるプリオンの脳への蓄積がすでに始まっている人には発症のきっかけとなり得ます。また、コロナワクチンを接種した人の誰もが同じ自己免疫疾患を起こすわけではない様に、自己免疫疾患自体、個人差が大変大きく稀な病気です。プリオンと交差反応する抗体をすでに持っている人にその抗体の大量生産のトリガーを引くのがコロナワクチンかもしれません。またコロナワクチンのロット差もあるでしょう。ロットによって含まれている成分が同じかどうかは現時点では不明なのです。
新型CJDの機序の解明のためには脳の病巣における抗スパイクタンパク抗体による免疫染色を行う必要があります。さらに病巣の中心に集積したタンパクの成分分析によって、プリオンタンパク以外にどの程度のスパイクタンパクや抗プリオン抗体が検出されるかが鍵となるでしょう。
著者らが触れているように、CJDの診断のための公式な根拠は剖検です。そのため、ワクチン接種後死亡者の病理解剖数が限られている事もあり、見過ごされているCJDは実際どのくらいに及ぶか不明です。現在判明している新型CJDはコロナワクチン接種「直後」に発症するものです。遺伝子ワクチンの作用機序や長期に渡るスパイクタンパクの発現を考えると、CJDの発症も接種直後だけとは限らない「時限爆弾」となる可能性があり、接種後長期に及ぶ懸念材料となるでしょう。
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