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ワクチン未接種者に汚名を着せる事は正当化されない: Lancetに掲載された記事から

「コロナワクチン接種は自分のためではなく、他人に感染させないための利他的な善行である」と主張する人達がいます。そして「ワクチン未接種の人は利己的であり、他人の迷惑を考えていない」と批判します。そもそも健康な子供はコロナウイルスに感染したとしても滅多に重症化はせず、コロナウイルスに対しては低リスクです。にも関わらず子供が他の成人に感染させる可能性があるという事を口実に、5歳から11歳の子供達へのコロナワクチン接種が日本でも始まろうとしています。

コロナワクチン未接種者は接種者にとって本当に危険な存在なのでしょうか? Lancet誌に「コロナワクチン未接種者を危険視しないように」との内容の記事が発表されました。この短い記事は「Correspondence」として発表されたものです。Correspondenceとは数百単語程度の短い文章から構成され、簡易的な研究の報告や、直近に掲載された論文へのコメントを行う場として使われます。Lancet誌上での貴重な意見です。既にSNS上やブログ等で紹介されている方達もいらっしゃるかと思いますが、私からもここで改めて紹介させていただきます。

COVID-19: stigmatising the unvaccinated is not justified
Günter Kampf
Lancet, 2021
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02243-1/fulltext
COVID-19:ワクチン未接種者に汚名を着せる事は正当化されない

アメリカとドイツの高官は「ワクチン未接種者のパンデミック」という言葉を使い、ワクチンを接種した人はCOVID-19の疫学には関係ないと提言している。関係者がこの言葉を使った事で、ある科学者は「COVID-19では、ワクチン接種者を未接種者が脅かす」と主張したかもしれない。しかしこの見方はあまりにも単純すぎる。
ワクチンを接種した人が引き続き感染に重要な役割を果たしている事を示す証拠が増えている。米国マサチューセッツ州では、2021年7月の様々なイベントで合計469件のCOVID-19の新規症例が検出され、そのうち346件 (74%) が完全または部分的にワクチンを接種した人で、そのうち274件 (79%) が症状を呈していた。サイクルの閾値は、完全にワクチンを接種した人 (中央値22.8) と、ワクチンを接種していない人、完全には接種していない人、接種状況が不明な人 (中央値21.5) との間で同様に低く、完全接種者でもウイルス量が多い事が分かった。米国では2021年4月30日までにワクチン接種を受けた人でCOVID-19の症例が合計10262件報告され、そのうち2725人 (26.6%) が無症状、995人 (9.7%) が入院、160人 (1.6%) が死亡した。ドイツでは、60歳以上の患者におけるCOVID-19の症状のある症例の55.4%が完全にワクチンを接種した人であり、この割合は毎週増加している。ドイツのミュンスターでは、完全にワクチンを接種した人、またはCOVID-19から回復した人でナイトクラブに通っていた380人のうち、少なくとも85人 (22%) でCOVID-19の新規症例が発生した。ワクチンを接種した人は重症化するリスクは低いが、パンデミックには関係する。したがって、ワクチンを受けていない人達のパンデミックを語るのは間違いであり危険である。アメリカとドイツは、肌の色や宗教を理由に国民の一部に汚名を着せる事による負の歴史を経験している。私は、高官や科学者に、私たちの患者、同僚、その他の市民を含むワクチン未接種者に対する不適切な烙印を押す事を止め、社会をひとつにまとめるために更なる努力をする事を求める。


まず大前提として、コロナワクチンを接種してもコロナウイルスには感染します。そして感染した場合のウイルス保有量も未接種者と同等に多く、また他人にも感染させます。ここにコロナワクチン推進者の主張についての矛盾があるのです。コロナワクチン接種者が未接種者を恐れなくてはならないのなら、そもそも何のために打ったワクチンなのでしょうか。もしワクチンを信頼しているのならば、打った本人は既にコロナウイルスからじゅうぶん保護されているはずですから、未接種者など気にせずに過ごせば良いのです。コロナワクチンを信頼できないのなら、批判すべきなのは未接種者ではなくコロナワクチンでしょう。

例えばCDCは「ファイザーやモデルナなどの2回目のワクチンを接種してから2週間後、またはジョンソン・エンド・ジョンソン社のJanssenワクチンのような単回接種のワクチンを接種してから2週間後」を「ワクチン接種完了」と定義しています。では「ワクチン未接種」とは何でしょうか。ニュース記事などでは定義を書かずに、接種、未接種の二択でしか表示されない場合が多いですが、定義自体が曖昧であれば「統計の嘘」を織り込む事は容易になります。上記の「ワクチン接種完了」以外を「未接種」と数える場合もあるでしょう。とりわけ接種後の2週間は「未接種」と見なされているのではないでしょうか。そうした場合を考えてみましょう。

コロナワクチンは接種直後に強い副反応が出る事が多いです。そして、重篤な副反応により接種直後から数日といった短期間に命を落とされている方が居ます。また、コロナワクチンの接種直後にリンパ球が一時的に大きく減少する事が報告されています。特にこの「一時的免疫不全」の期間には感染症全般に対しても脆弱になりますので、コロナウイルスに感染する可能性もありますし、別の感染症や潜伏ウイルスの再活性化もあるでしょう。そうしたワクチン接種直後の「副反応」が引き起こす症状も「ワクチン未接種者」としてのコロナウイルス感染、突然死、あるいは謎の病気発症と見なされてしまうわけです。様々な国でそれぞれ異なる恣意的な基準でコロナワクチン接種完了が定義されています。「ワクチン未接種」を明確に定義しない統計では、コロナワクチン接種者と未接種者の感染率の違い、副反応の実態を読み取る事は事実上不可能です。

さて、コロナワクチン推進派がしばしば口実に使うもう一つの推進理由としての「集団免疫」ですが、ワクチンの接種率を上げる事による集団免疫とは実際のところ成り立つものなのでしょうか。集団免疫とは、ある感染症に対して集団の大部分が免疫を持っている際に生じる間接的な保護効果です。集団の中にウイルスに免疫を持っている人が増えると、その人々がウイルスを他者に感染させない防波堤となります。その防波堤が集団の中で十分な割合になると、残りの人々には伝染病が広がりにくい状態になるという原理です。ただしこれは、ワクチン接種者や感染歴のある人がウイルスに感染したり、ウイルスを伝播したりする事はないという事が前提になります。重要なのは、「ワクチンによる集団免疫」という考え方が成り立つためには、そのワクチンが「ウイルスの伝播を防ぐワクチン」である場合に限るという事なのです。ワクチンを接種してもウイルスに感染し、さらに他者に感染させるのならば、ワクチン接種者は感染伝播の防波堤にはなり得ません。つまり、コロナワクチンによる集団免疫は理論的に成立しません。

コロナワクチンの大量接種が先行しているイスラエルでは、ワクチンの接種から数カ月後には、感染や入院に対する免疫力の低下が見られるとの報告があります。ワクチンによる副作用として、抗体依存性感染増強 (ADE)、抗原原罪が起これば、むしろワクチン接種が重症化予防どころか重症化促進を起こしても不思議ではありません。

ワクチン接種者が未接種者を非難するのは、未接種者だけがコロナウイルスを他者に感染させると思い込んでいるからでしょう。しかし感染させる事においては接種者も未接種者も同様です。コロナワクチンに対して慎重な姿勢を取っている未接種者は、コロナワクチンの危険性を理解しているからこそコロナワクチンを接種していません。未接種者は利己的なわけではなく、他者に迷惑をかけているわけでもありません。接種者が未接種者を批判するのはお門違いです。

Lancetは最も権威のある医学雑誌の1つです。Lancetを含めて権威ある学術雑誌の多くはコロナ騒動が始まって以来、コロナワクチン推進に大きな役割を担って来ました。現在までのところ、コロナワクチンの危険性を訴える研究は、内容的にじゅうぶん素晴らしい研究であったとしても、権威ある雑誌の査読を通りにくくなっています。残念ながら科学の一流雑誌でさえ審査には政治と経済 (お金) が絡みます。今回のコロナ騒動を通して私は権威に対しての信頼を失ってきました。ここで紹介したい素晴らしい論文の候補はいくつもあるのですが、査読を通るまでは紹介を控えているのです。そういった意味でも今回のLancetの記事の掲載には正直驚きました。コロナワクチンについての論調の風向きも少し変わってきたのかもしれません。

専門家、非専門家を問わず、SNSやブログ等でコロナワクチンの危険性を訴える方は世界中にたくさん居られます。コロナワクチンの危険性に気付き、誰かを助けようとしている方、そのためにご自分の知識の範囲で一生懸命に情報を伝えようとしている方、皆とても勇敢な人だと思います。実際のところ医学や生物学の専門家でない限りはコロナワクチン関係の専門用語の使い方や翻訳には困難が伴いますし、伝えたい内容を他者に伝える事は簡単ではありません。けれども、この騒動の問題の本質さえ分かっていれば、例えば専門家ではない方による専門用語の細かな間違いなどは些事な枝葉に過ぎません。むしろご自身で勉強してコロナワクチンの危険性を訴えている方々は立派ですし、私は心より敬意を持っています。




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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。


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