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RNAワクチンに混入したDNA検出の追試法 (2): DNA、RNAの直接的定量法

引き続きコロナワクチンへのDNA混入疑惑についての記事になります。


こちらはKevin McKernan博士本人のブログです。

二本鎖DNA、一本鎖DNA、RNAの混合物が手元にあるとします。それぞれの核酸の濃度や大きさを知りたい場合、どのような方法があるでしょうか? DNAとRNAを物理的、化学的に区別する方法が必要となります。コロナワクチンに混入したDNAの量や性質について議論するためには、DNAを解析し測定する最先端の技術についての知識が必要となります。内容的にはどうしても難しくなってしまうのですが、ゲノム解析の現場で使われている技術について引き続き解説していこうと思います。

ディープシークエンシングは微量のDNA、RNAでもゲノムレベルで定量的に解析できる技術ですが、解析のコストが高いのです。シークエンサーやキットによって異なり、また以前に比べて随分安くはなってきましたが、それでも一回シークエンサーを動かすだけで50万円以上かかる事もあります。ディープシークエンシング用のサンプルが元々低品質であれば、シークエンスの結果も台無しになってしまいます。そのためサンプルには高い品質が求められ、また濃度や品質の測定も正確でなくてはなりません。そうした目的のために現状最も信頼され、普及しているものがQubit蛍光光度計、Agilentのデジタル電気泳動システム等です。ちなみに私の所属する研究所では現在ディープシークエンシングに用いるサンプルの濃度と品質のチェックに、Qubit蛍光光度計とAgilentバイオアナライザーを用いています。博士が解析に用いたAgilentテープステーションはバイオアナライザーと同等の機能を持つ機器であり、コストを抑えながら多数の検体の解析ができるのが特長です。

定量PCR (qPCR) はDNAおよびcDNAをPCR増幅し、PCR増幅に必要なサイクル数を測定する事で、増幅前のDNA量を間接的に測る事ができます。DNAの品質が良ければ、ごく微量のDNAでも検出、定量化できるのが長所です。言い換えると、増幅の程度は「どれくらい増えやすいか」に依存するため、DNA自体の損傷やPCR阻害物に大きく影響される事になります。

代表的なDNA損傷の例としては、紫外線によるものがあります。強い紫外線は日焼けの原因になるだけでなく、DNAを損傷し、DNA中のチミンまたはシトシン塩基を二量体化させます (ピリミジン二量体)。鋳型となるDNAがこのような傷を持っているとPCRによる増幅が困難になり、qPCRで検出できない「幽霊」のような存在になります。そして、コロナワクチンに混入しているDNAはまさにDNase Iによって損傷を受けているDNAです。例えば、増幅すべきDNA断片が切断されていればPCRで増幅できず、qPCRでは検出できません。また、qPCRはDNAの純度にも影響され、PCRを阻害する物質の混入は増幅を妨げます。シュードウリジン化したRNAが強固にDNAに結合すれば、それもPCRを阻害する要因になり得るでしょう。そして、LNPに封入されたDNAが効率よくPCRで増幅されるのか、あるいは精製の過程でLNPとともにDNAが破棄されていないかなどの要素もqPCRの定量性に関わってきます。

損傷を受けたDNAは、試験管内のPCRでは増幅できずとも、細胞内ではDNA修復や組換えの機構によって修理され、ゲノムに組み込まれる可能性が発生します。このため、PCRでは測定できないDNAでも検出する技術が必要となります。

間接的にDNAを定量するqPCRのような手法に対して、DNAを増幅せずに直接検出、測定する手法があります。そうした手法の中にはDNAとRNAを区別して測定できるものもあります。代表的なものの一つがQubit蛍光光度計です。Qubitは核酸の定量に使用される高感度な装置であり、ゲノム解析の現場で信頼されています。例えば、培養細胞から簡易な方法で精製したゲノムDNAには二本鎖ゲノムDNA以外に、損傷を受けた一本鎖DNAやリボソームRNAなどの大量のRNAが混入しています。そのような混合物中の二本鎖DNAの濃度を測定したい際に私自身もよく使っているのがQubit蛍光光度計なのです。

Qubitは、蛍光色素を使用してサンプル中のDNAまたはRNAの濃度を測定します。Qubitの原理は、目的の核酸に特定の蛍光色素が結合し、特定の波長の光で励起されると蛍光を発する事に基づいています。QubitにはdsDNA (二本鎖DNA)、ssDNA (一本鎖DNA)、およびRNAキットなどがあります。Qubit dsDNA High Sensitivity (HS) アッセイでは、蛍光色素にPicoGreenを使用します。Qubit ssDNAアッセイは、SYBR Green Iを使用し、Qubit RNAアッセイは、RiboGreenを使用します。これらの蛍光色素はそれぞれ、二本鎖 DNA、一本鎖DNA、RNAに特異的に結合し、サンプル中に存在するそれぞれのDNA、RNAの量に比例する蛍光シグナルを生成します。

各キットに使用されている蛍光色素は、目的の核酸タイプに選択的に結合し、他の核酸や汚染物質による干渉を最小限に抑えるため、Qubit蛍光計による二本鎖DNA、一本鎖DNA、RNAの判別は非常に正確です。このように、試薬を使い分ける事で二本鎖DNA、一本鎖DNA、およびRNAを区別して定量化する事ができます。

McKernan博士はBiotium AccuBlue RNA Broad Range kit (#31073)とBiotium AccuGreen High Sensitivity dsDNA Quantitation Kit (#31066) を使用しています。どちらもBiotium社が開発した独自の蛍光色素を使用しており、その色素は一般には公開されていません。これらのキットは、それぞれRNAと二本鎖DNAに対して高い特異性を持つよう設計されています。交差反応や汚染物質による干渉が全く無いアッセイはありませんが、これらのキットは非特異的結合を最小限に抑え、それぞれの標的分子に対する感度を最大にするように最適化されています。

https://anandamide.substack.com/p/sequencing-of-bivalent-moderna-and?utm_source=post-email-title&publication_id=456768&post_id=113965391&isFreemail=true&utm_medium=email

McKernan博士は二本鎖DNAを特異的に検出するキット、RNAを特異的に検出するキットを使用しました。博士の解析したバイアルで検出されたDNAはRNAの1/8.2 ~ 1/47.1となります。ここではQubit蛍光光度計の精度を考えるとこの数値は非特異的な干渉だけでは考えにくい数値です。

さて、RNAコロナワクチンに混入しているDNAはどれくらい断片化されているのでしょうか? ほとんどが非常に小さな断片なのか? 大きめの断片はどのくらいあるのか? 全長クラスのプラスミドDNAも含まれるのか? DNAの断片化の度合いは重要なポイントであり、DNAの大きさを測定する必要があります。しかし、qPCRではDNAの大きさは測れません。また、Qubitの機能はDNA、RNAなどの濃度を測定する事に限定されており、Qubitでも分子の大きさを測る事はできません。

核酸分子の大きさを目視する標準的な方法がアガロースゲルによる電気泳動です。電気泳動は荷電粒子あるいは分子が電界中を移動する現象を利用した解析手法です。DNAやRNAはマイナスに荷電しているため陰極から陽極に泳動します。アガロースゲルによる「分子ふるい効果」を利用すると、分子量の低い分子は移動が早く、分子量の高い分子は移動が遅くなりますので、分子量の違いによって分離させる事が可能です。大きさが既知のDNAやRNA (サイズマーカー) を並行して泳動し、大きさを比較する事で、目的のDNAやRNAの大きさを推定する事ができます。臭化エチジウムは電気泳動の結果を視覚化するためによく使われる化学物質です。この物質はDNAやRNAと結合して赤橙色の蛍光を発しますが、この方法ではDNAとRNAを区別する事はできません。

ゲノム解析に用いるDNA の品質評価と定量化に対応するために、アガロースゲルの電気泳動の仕組みを拡張したものがデジタル電気泳動の仕組みです。Agilentテープステーションはその代表的なものの一つです。Agilent DNAテープステーションの原理は、ゲル電気泳動と似ています。しかし、DNA断片をゲルマトリックスに通す代わりに、断片は小さな流路のネットワークを含むマイクロ流体チップの中で分離され、可視化されます。チップにはあらかじめアガロースゲルが含まれており、これが分子ふるいの役割を果たし、DNA断片が流路を移動する際にサイズに基づいて分離されます。テープステーションにはDNA検出用とRNA検出用のキットがあります。これらのキットはそれぞれDNAやRNAを特異的に染色する蛍光色素を使用しているので、テープステーションはDNAとRNAを区別できます。

テープステーションはエレクトロフェログラム (電気泳動図) を生成し、DNAのサイズ分布やフラグメント、仮想ゲル画像、サンプル濃度などを詳細に視覚的に評価する事ができます。さらに、DNA完全性 (DIN)、RNA完全性 (RIN) の数値を自動的に生成し、10点満点の評価でサンプルの分解レベルを判断する事ができます。これらはディープシークエンシングに用いるゲノムDNAサンプルの品質を定量的に検定する根拠となります。


博士のAgilentテープステーションの解析結果は以下のようになります。

電気泳動図の下の図はDNAやRNAの泳動の結果を視覚化したものです。右から左に流れ、右から左向きに分子の大きさが小さくなります。サイズマーカーはサイズが既知のDNAやRNA断片の混合物です。サイズマーカーと比較する事により、サンプル中のDNAやRNAのサイズを決定する事ができます。DNAの大きさは塩基対 (bp) で表されます。1塩基対は1対のヌクレオチド (2ヌクレオチド) からなります。RNAは一本鎖なのでヌクレオチド (nt) の単位で表されます。

電気泳動図の下の図をグラフ化したものが上の図です。グラフ上で核酸断片の相対的な存在量が示されています。ピークの大きさと強度から、核酸サンプルの品質と量を評価する事ができます。

テープステーションはDNA濃度を推定する事ができます。テープステーションによって検出されたRNAの濃度 (10倍希釈されたもの) は2370 ~ 5590 pg/µl (ピコグラム/マイクロリットル)。元のRNAの濃度は23.7 ~ 55.9 ng/µl (ナノグラム/マイクロリットル) です。一方、DNAの濃度は7.5 ~ 11.3 ng/µl。このように、McKernan博士の解析したバイアルにはやはり大量のDNAが含まれています。ただし、濃度測定に関してはテープステーションは分光光度計や蛍光光度計などの他の定量化方法ほど正確ではありません。これは、チップにロードされるDNAの量がサンプルによって異なる場合があり、検出されるDNAの量にばらつきが生じるためです。またテープステーションは二本鎖DNAと一本鎖DNAの濃度を別々に測定する事はできません。こうした事もQubitでの濃度の測定値との誤差の理由と考えられます

ゲノム解析におけるテープステーションの重要な点は電気泳動のようにDNAやRNAの大きさの分布を視覚化できる事です。左はRNAのデータです。RNAのピークの位置は約1800 nt (ヌクレオチド)。RNAコロナワクチンは約4300ヌクレオチドなので、完全長よりもずいぶん短いです。左下の図にRIN (RNA完全性) の表記があります。RINは10点満点で5.0~5.5であり、ややRNAの分解が進んでいる事を示します。あるいはシュードウリジン化の修飾が泳動度に影響しているかもしれません。

右はDNAのデータですDIN (DNA完全性) は10点満点で6.0~6.6。RNAほどは分解されずに残っています。DNAのサイズから判断すると、DNAの大きさは4種類に別れる事が分かります。テープステーションではそれぞれのレーンの100 bpに内部マーカーがあるのですが、マーカーと被る形でこのあたりに大量のDNAが見られます。これは小断片に分解されたDNAと考えられます。SV40プロモーターの大きさは72 bp。その強化型が144 bp。これくらいの大きさの断片もたくさんありそうです。ピークの位置は約9300 bp。これはおそらく全長クラスのプラスミドDNAです。さらにピークよりも大きなサイズのDNAも存在します。ピークの左側に、部分的に分解されたDNAも存在します。

RNAとDNAのサイズを比較すると、RNAとDNAのピークの位置が大きく異なる事が分かります。またDNAの図の中央にある部分的に分解されたDNAに対応する位置に大量のRNAが存在しているわけではありません。図中のRNAやDNAの大きさを比べてみるとRNAとDNAの泳動パターンが大きく異なっています。このように、RNAの影がDNAに見えているわけではなく、DNAテープで測定されたものの大部分はRNAの誤認とは考えられません。

それにしても奇妙な事は、ピークの位置 (9300 bp) が全長プラスミド (7800 bp) よりも大きい事です。そしてもう一つの奇妙な事は、それよりもさらに大きなサイズのDNAが存在する事です。では、これはどういった可能性が考えられるでしょうか?電気泳動バッファーの組成は、DNA断片の分離に影響を与える事があります。また、マイクロ流体チップにロードするDNAサンプルの量も分離に影響します。しかし、それらだけでこれほど大きなサイズのシフトが見られるとも考えにくいのです。

一つはRNAがDNAに強く結合している可能性です。このために完全長プラスミドよりも大きなサイズのDNAに見えているという事です。今後の記事でより詳しく解説する予定なのですが、シュードウリジン化されたRNAはDNAに結合しやすく、乖離しにくいのです。そしてシュードウリジン化RNAに結合されたDNAはDNase Iによる分解に耐性になります。つまり、こうした理由によりmRNAワクチン作成の際にその鋳型となったDNAの混入が避けられないのならば、これはmRNAワクチンの致命的欠陥であり、まさに「mRNAワクチンのコンセプトそのものが誤り」である事を示しています。

Qubit蛍光光度計、Agilentテープステーションによって検出、解析されたコロナワクチン混入DNAのデータは興味深いものです。この研究の限界は、研究対象のワクチンバイアルの出所が不明である事です。博士は保冷剤なしで匿名で郵便で送られて来たものを解析しています。また、この研究で使用されたワクチンはすべてバイアルに記載された有効期限を過ぎていました。現在コロナワクチンのバイアル、特に質の良いバイアルの入手自体が現実問題として非常に困難である以上、定量分析にも限界があるのです。いずれにせよ、混入DNAの質と量の解析には保存状態の良い全ロットの解析が必要となるでしょう。

博士が解析したバイアルには確かに多量のDNAの混入が見られます。そして、分解が進んだ小断片だけではなく、あまり分解の進んでいないDNAや全長クラスのプラスミドまでもが含まれている事も判明しています。これらの解析からは、プラスミドが環状か直鎖状かまでは分かりません。また、他の全てのロットのバイアルにも同様の多量のDNAの混入があるのかどうかも分かりません。実際、コロナワクチンは個々のバイアルのロット差が非常に大きいのです。仮に、量の多少を問わず多くのバイアルにDNAの混入があり、そしてその中に多量のDNAを含むものがあるとすれば、既に大問題です。コロナワクチン中のDNAはLNPに包まれており、細胞内に取り込まれやすい状態にあるからです。遺伝子ワクチンが抱える本質的な問題を矮小化せず、DNA混入疑惑について科学的に解明して行く必要があります。接種者の遺伝情報を改変する可能性があるという重大な疑惑が出ている以上、コロナワクチンの追加接種の即時中止が求められる状況と言えます。




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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。



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