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mRNAと遺伝暗号 (コドン) : マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文から

ファイザー、モデルナのコロナワクチンはRNAワクチンです。RNAワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパクを発現する事でワクチンとして機能する、という事になっています。コロナワクチンもRNA、そしてコロナウイルスのゲノムもRNAです。では、コロナワクチンのRNAと元々のコロナウイルスのRNAは一体何が同じで何が違うのでしょうか。

スパイクタンパクの量に影響するのはmRNAの安定性とタンパクへの翻訳効率です。今回はセントラルドグマの「翻訳」の機構についてお話しします。遠回りになりますが、本題に入る前に分子生物学の基本的な事をいくつか説明させていただいているのは、色々な嘘を見抜く手掛かりになるのではないかと考えているからです。


核酸の塩基配列は生体内でタンパク質を構成するアミノ酸配列に「翻訳」されます。この翻訳のルールを決めるのが遺伝暗号 (コドン) です。

コドン表

mRNAはタンパク質の設計図として機能し、mRNAの配列に対応したタンパクが作られます。mRNA中の塩基3個の組み合わせがコドンであり、それぞれがアミノ酸1個に対応します。アミノ酸はレゴブロックの1つずつのピースのようなもので、順に組み立てる事により様々な構造や酵素活性を持つタンパクが出来上がります。

翻訳のルールでは最初に来るのは開始コドンAUGです。AUGはメチオニンのコドンなので (コードするので)、メチオニンがいつもタンパクのアミノ酸配列の始まりに来ます。続けてmRNAの3文字ずつの「読み枠」を対象となるアミノ酸に翻訳していき、終止コドンが出るとそこで翻訳は終わりです。

アミノ酸によっては複数のコドンが1つのアミノ酸に対応します。例えばフェニルアラニンに対応するコドンは2つ、ロイシンに対応するコドンは6つあります。これを同義コドンと呼びます。それぞれのコドンは同じアミノ酸に対応するのですが、全く同じというわけではありません。コドンによって翻訳量に影響します。それは翻訳を仲介するtRNA (トランスファー・アールエヌエー) の含有量がコドンごとに異なるからです。複数のコドンが対応しているアミノ酸では、生物種によってどの同義コドンをより頻繁に用いるか (コドン使用頻度) が異なります。

タンパクへの翻訳効率を上げるために、遺伝子導入の際には生物種に応じてコドンの最適化をする事があります。実際にRNAワクチンではほとんどのアミノ酸配列を変えずにコドンの変更を行なっています。RNAワクチンはmRNAと類似した構造を持ちますが、RNA分解耐性を上げ、タンパク翻訳効率を上げる工夫をしているわけです。そのため通常のmRNAよりも分解されにくく、はるかに大量のスパイクタンパクを生産する事になります。


以下、マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文からの続きです。

Worse Than the Disease? Reviewing Some Possible Unintended Consequences of the mRNA Vaccines Against COVID-19
Stephanie Seneff, Greg Nigh
International Journal of Vaccine Theory, Practice, and Research 2021
https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23
RNAコードのもう一つの興味深い点は、開発者がアデニンとウラシル(AとU)を使わずに、シトシンとグアニン(CとG)を多く使ったことである。彼らは、このようにコドンの3番目の位置だけを、アミノ酸マップを変更しない場合にのみ置き換えるように注意している(Hubert, 2020)。GCに富んだmRNA配列は、GCに乏しい配列に比べて最大100倍も効率的に発現(タンパク質に翻訳)されることが実験的に証明されている(Kudla et al.、2006)。つまりこれは、スパイクタンパク質の豊富なコピーの合成をさらに確実にするための、もう一つの修正であると考えられます。この操作が意図しない結果をもたらすかどうかはわかりません。ウイルスを含む細胞内病原体は、宿主細胞のゲノムに比べてGC含量が低い傾向にある(Rocha and Danchin, 2020)。そのため、この改変は、ヒトのタンパク質であるという欺瞞の効果を高めたいという動機もあったのかもしれません。
このように、RNAに施されたさまざまな修飾は、RNAを分解されにくくし、よりヒトのメッセンジャーRNAのタンパク質をコードする配列のように見せ、効率的に抗原性タンパク質に翻訳するためのものである。


問題はスパイクタンパク自身が毒性を持つという事です。合成遺伝子を用いた場合、アミノ酸配列が同じだとしても、コドンを操作する事により、あるいはRNAの化学修飾を変更する事により、最終的に作られるタンパク量を劇的に増やす事ができるのです。例えば翻訳効率を10倍高めmRNAの安定性を100倍高めたなら、1分子のmRNAワクチンから作られるタンパクの総量がもともとのコロナウイルスのmRNAから作られるタンパク量の千倍以上になってもおかしくありません。

前回に続き今回の記事は本題への前置きとなります。次の記事ではRNAワクチンのmRNAの安定性が実際どれくらい上がっているのか、実験結果から見てみましょう。


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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。

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