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コロナワクチンと帯状疱疹: International Journal of Infectious Diseasesに掲載された論文から

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる痛みをともなう皮膚湿疹です。帯状疱疹の原因は潜伏感染しているヘルペスウイルス (水痘・帯状疱疹ウイルス) の再活性化です。

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、まずは水疱瘡として発症します。多くの人は子どもの頃に水疱瘡にかかりますが、発症して1週間程度で治ります。実は、このウイルスは水疱瘡が治った後も体の神経節に潜伏します。それでも、免疫力が正常な場合はウイルスの活動が抑えられていますが、免疫力が低下したときなどに再活性化し、神経を伝わって皮膚に到達し帯状疱疹として発症します。免疫力の低下の原因は、加齢やストレス、過労、免疫不全などです。

皮疹出現の数日前から違和感や疼痛を伴うことがあります。その後、痛みを感じた場所に赤い発疹ができます。この症状は帯状に広がる事が多いので、「帯状疱疹」と呼ばれます。胸から背中、腹部などによくみられ、顔や手足にも現れます。通常は限定的な疾患ですが、特に免疫力が低下している人では、播種性皮膚発疹、脳脊髄炎、肺炎に進行する事があります。

コロナウイルス感染により帯状疱疹の症状が出る事が知られています。これは水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因です。また、コロナワクチン接種の副反応としても帯状疱疹が起こります。

Herpes zoster after COVID vaccination
Dam et al. (2021) Int J Infect Dis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC8379763/
COVIDワクチン接種後の帯状疱疹

概要
COVID-19は様々な症状を呈するが、主に肺疾患として発症する。また、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化を含む皮膚症状も報告されている。今回、トジナメラン(ファイザー・バイオンテック社のCOVID-19 mRNAワクチン)を接種した後に帯状疱疹を発症した成人2名の症例を報告する。この反応の原因として考えられるのは、COVID-19感染の場合と同様に、ワクチン接種後に発生する一過性のリンパ球減少症である。高齢者および/または免疫力の低い成人にワクチンを接種するという文脈において、我々の観察結果は、COVID-19、COVIDワクチン、および帯状疱疹の間に考えられる関係をさらに評価するための出発点となり得る。


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症例紹介
症例1 は29歳の女性医療従事者で、幼少時に3回、思春期に1回、水疱瘡にかかった以外は特筆すべき病歴はなかった。にもかかわらず、彼女は帯状疱疹に罹患したことがなかった。2021年1月8日、彼女はトジナメランの初回投与を受け、1月23日まで副作用はなかったが、尾骨の左外側(dermatome S3)に痛みを伴う集団小水疱があることに気付き、臨床的に帯状疱疹と診断された(図A)。1月29日、彼女は2回目のワクチン接種を受けた。その時点ではまだ潰瘍が残ってたが、2回目の接種後も帯状疱疹の再発はなかった。2週間後、病変は医療介入なしに消失した。
症例2 は34歳の男性医療従事者で、潰瘍性大腸炎の病歴があり、4年間インフリキシマブを使用していたが、感染症の合併症はなかった。子供の頃、水疱瘡にかかったことがあったが、帯状疱疹にはかかったことがなかった。2021年1月12日にトジナメランの初回投与を受け、その後の数日間は副作用がなかった。1月25日、鼠径リンパ節の痛みと腫れに気づき、その後、右足に発疹が見られた。救急救命室を受診したところ、S2皮膚分節に丘疹状小胞性発疹が確認された(図B)。血液検査は正常であった。膀胱液のPCR検査では水痘・帯状疱疹ウイルスが陽性であった。バラシクロビル1 gを1日3回、10日間投与したところ、完全に回復した。2月2日、2回目のワクチン接種を受けたが、合併症はなかった。

帯状疱疹はデータベース上でも多数記録されています。2021年7月の時点で欧州のEudraVigilanceデータベースで報告されているのは、ファイザーワクチン接種での帯状疱疹の発生が4103件 (このワクチン接種後に報告されたイベント全体の1.3%)、モデルナワクチンで590件 (0.7%)、アストラゼネカワクチンで2143件 (0.6%)、ヤンセンワクチンでは59件 (0.3%)(ヤンセン・ワクチンズはジョンソン・エンド・ジョンソンのオランダ法人)。米国のVAERSでは、ファイザーワクチンで2512件 (報告全体の1.3%)、モデルナワクチンで1763 (0.9%)、ヤンセンワクチンで302件 (0.7%) の帯状疱疹症例が報告されています。オランダのファーマコビジランスセンターLarebは、ファイザーワクチンによるワクチン接種後に300件 (0.8%) を報告しています。

ではなぜコロナワクチン接種で帯状疱疹が起こるのか。著者らの考察が興味深いです。ファイザーのRNAワクチン接種の第I/II相試験では、接種後の最初の数日間に用量依存的なリンパ球の減少が見られる事が分かっています。現在、世界中で使用されている30 µgの投与量では、45.5%の被投与者でリンパ球減少が起こりました。アストラゼネカワクチンを用いた第I/II相試験でも、46%の被験者に一過性のリンパ球減少が起こりました。獲得免疫の主役となるB細胞、T細胞はリンパ球であり、リンパ球の減少は免疫不全につながります。ワクチン接種後のこの短期間のリンパ球減少が、水痘・帯状疱疹ウイルス再活性化の引き金になる可能性が指摘されています。

潜伏感染しているヘルペスウイルスは普段は免疫系の働きにより抑制されています。帯状疱疹に繋がる水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化は、免疫系がウイルスの複製を抑制できなくなった場合に起こります。通常の場合、免疫力低下の危険因子は高齢、免疫抑制剤の使用、免疫不全状態、心理的ストレスなどです。

帯状疱疹の副反応は、コロナワクチン接種によって少なくとも一時的な免疫不全が起こる事を示唆しています。スパイクタンパクには毒性があるので、スパイクタンパクの大量生産中に一時的にでも免疫不全状態になる事はじゅうぶんなリスクです。人によっては免疫不全状態が長く続くのかもしれません。免疫不全状態は帯状疱疹のみならず、ウイルスや細菌の感染を引き起こすでしょう。スパイクタンパクは癌抑制遺伝子の働きを阻害するので、免疫不全が癌細胞の発生や癌の悪性化につながる可能性もあります。コロナワクチン接種が、癌の悪性化のトリガーとなっても不思議ではないという事です。



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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。

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