コロナワクチンによるプリオン病と神経変性の可能性について: マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文から
コロナワクチンのスパイクタンパクは血管を障害する毒性を持ち、脳の血管を傷付ける事で頭痛、吐き気、めまいやブレイン・フォグを引き起こしたり、脳梗塞などの原因となる事があります。これは短〜中期の副反応です。脳に対する長期的な副反応 (副作用) としては、スパイクタンパクがプリオンとして作用し、脳変性を起こす可能性が指摘されています。これはスパイクタンパクのアミノ酸配列から推定されるもので、接種から長期間が経過してみないと実際には分からない事の一つです。プリオンは微量の摂取でも長い時間の末にプリオン病を発症する事が知られており、将来的な不安要素になります。
プリオンによって引き起こされる代表的な病気は「狂牛病」で、これはウシの病気です。正式には「牛海綿状脳症 (BSE) 」と呼ばれます。ヒトの代表的なプリオン病は「クロイツフェルト・ヤコブ病 (CJD) 」です。全身の不随意運動と急速に進行する認知症を主徴とする中枢神経の変性疾患で、孤発性または家族性で生じ、脳組織が海綿 (スポンジ) 状に変性します。クロイツフェルト・ヤコブ病は1920年代初頭にドイツの神経病理学者クロイツフェルトとヤコブによって発見されました。長い潜伏期間を経て発症しますが、発症してからの平均余命は1〜2年あまりです。根治療法は現在のところ見つかっていません。
クロイツフェルト・ヤコブ病と似た病気にクールー病があります。これはもともとパプアニューギニアの風土病として知られていました。ニューギニア島では葬儀の際に追悼の為に死者の脳を食ベる習慣があったのですが、この食人の習慣をやめたところ、クールー病は発生しなくなりました。そのためクールー病患者の脳を食べる事によりクールー病が伝染するのではないかと推測されたのです。
また、クロイツフェルト・ヤコブ病には医療行為を原因として感染する医原性の感染経路も知られています。ドイツ、ブラウン社製のヒト乾燥硬膜 (ライオデュラ) を移植された患者の多数がクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した事故は世界的な問題となりました。
「狂牛病 (牛海綿状脳症 (BSE)) 」は1986年にイギリスで初めて発見され、家畜であるウシの間で急増しました。その後1993年にはイギリスで15歳の少女の「クロイツフェルト・ヤコブ病 (CJD) 」の発症例が報告されました。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は主に英国で発生し、2020年の時点での英国での死者は、推定を含めると178名になります (※2022年6月11日訂正、詳細はコメント欄参照) 。基本的には非常に稀な病気です。また、狂牛病の牛肉を食べた事により狂牛病が人間に伝播した可能性が推察され、大きな社会問題ともなりました。日本でも米国からの牛肉の輸入が禁止され、牛丼チェーン店によっては牛丼がメニューから消えたりといった事が記憶にある方も多いでしょう。狂牛病の感染源は飼料として与えたスクレイピー感染羊の汚染肉骨粉と考えられています。ウシのプリオン病は狂牛病ですが、ヒツジやヤギのプリオン病が「スクレイピー」です。どちらも脳神経の変性による病気です。確率は高くはないのですが、このように種を超えて感染する事もあり得るのです。
1960年代、放射線生物学者のティクバー・アルパーと生物物理学者のジョン・スタンレー・グリフィスは、伝達性海綿状脳症の原因は細菌でもウイルスでもなくタンパク質のみからなる感染性因子によって引き起こされる、という仮説を提唱しました。スクレイピーやクロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こす謎の感染性因子は、核酸を損傷するはずの紫外線放射に耐性を持つため、遺伝子を持たない感染因子であると考えられたのです。1982年カリフォルニア大学サンフランシスコ校のスタンリー・B・プルシナーは、仮説上の存在だった感染性因子の精製に成功し、これを「プリオン (prion) 」と命名しました。「タンパク質 (プロテイン) による感染性因子」という意味です。プリオンを構成するタンパクはプリオンタンパク質 (Prion Protein, PrP) です。感染型と非感染型の両構造を取る事ができます。そして1997年プルシナーは、プリオン研究の業績によりノーベル生理学医学賞を受賞しました。
プリオンは脳の変性を誘発する感染性因子ですが、DNAやRNAを持っていません。ではなぜ遺伝子無しに「遺伝」する事ができるのでしょうか。
プリオン仮説によると、プリオン病の原因はミスフォールドした (誤って折りたたまれた) タンパク質です。このミスフォールドタンパクが、正常型 (PrP c; cはcellular、つまり「細胞性の」) 構造を有するタンパクに接すると、自身と同じ異常型 (PrP sc; scは「スクレイピーの」) 構造に変換してしまうのです。こうして次々とプリオンタンパクの間で異常型構造が伝播し、正常型が異常型に変化していきます。既知の全プリオンはアミロイド構造体の形成を誘導します。アミロイドとは、タンパク質が重合する事で密集したβシートから成る凝集体です。この変形構造は極めて安定で、感染組織に蓄積する事により組織損傷や細胞死を引き起こします。プリオンはこの安定性により化学的変性剤や物理的変性剤による変性処理に耐性を持ちます。
現在は異常プリオン蛋白質の中枢神経への沈着が神経変性の原因であるとの仮説が有力です。異常プリオンはもともと存在する正常プリオン蛋白質を異常プリオン蛋白質に変換していくため、ごく少量の摂取でも感染の可能性があります。医原性・変異型の潜伏期間は約10年で、クールー病では50年を越すものも報告されています。
以下はマサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文からの続きになります。
Worse Than the Disease? Reviewing Some Possible Unintended Consequences of the mRNA Vaccines Against COVID-19
Stephanie Seneff, Greg Nigh
International Journal of Vaccine Theory, Practice, and Research 2021
https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23
プリオン病とは、生体内の重要なタンパク質が誤って折り畳まれ、毒性のあるオリゴマーを形成し、最終的にはフィブリルとして析出して神経細胞に広範な損傷を与える事によって引き起こされる神経変性疾患の総称である。Stanley Prusinerは、これらのミスフォールドしたタンパク質を表現するために「プリオン」という名前を最初に作りました (Prusiner, 1982) 。最もよく知られているプリオン病は、1980年代にヨーロッパの牛で流行した狂牛病 (牛海綿状脳症)です。プリオン病に関するCDCのWebサイトには、"プリオン病は通常、急速に進行し、常に致命的である "と書かれています。と記載されています (Centers for Disease Control and Prevention, 2018) 。現在、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) など、多くの神経変性疾患がプリオン病である可能性があると考えられており、研究者はこれらの疾患に関連する特定のタンパク質性感染粒子を特定している (Weickenmeier et al., 2019) 。
さらに、研究者たちは、グリシンジッパーモチーフと呼ばれる、毒性のあるオリゴマーへのミスフォールドのしやすさに関連するシグネチャーモチーフを特定した。これは、GxxxGと表される、2つのグリシン残基が3つのアミノ酸を介在させたパターンで特徴づけられる。 狂牛病に関連するウシのプリオンには、GxxxGが10個並んだ壮大な配列がある (uniprot.org/uniprot/P10279参照) 。
より一般的には、GxxxGモチーフは膜貫通タンパク質の共通の特徴であり、グリシンはタンパク質のα-ヘリックスを架橋するのに不可欠な役割を果たしている (Mueller et al., 2014) 。プリオンタンパク質は、α-へリックスがβ-シートとしてミスフォールドすると毒性を発揮し、タンパク質が膜に入る能力が損なわれる (Prusiner, 1982) 。アミロイドβ前駆体タンパク質 (APP)のグリシンジッパー膜貫通モチーフ内のグリシンは、アルツハイマー病に関連するアミロイドβのミスフォールドに中心的な役割を果たしている (Decock et al.、2016) 。APPには合計4つのGxxxGモチーフが存在する。
実は、コロナウイルスのスパイクタンパクにはプリオン様モチーフである「GxxxG」が5つ含まれている事が分かっています。次の記事ではこの事をさらに掘り下げていきましょう。
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