小児用のファイザーコロナワクチンの感染および重症化予防効果は低い: Lancetに掲載された論文から
当初ファイザー社のコロナワクチン有効率は95%という触れ込みでした。この数値を信頼してワクチンを接種された方も多いのではないでしょうか。現在も厚生労働省のwebサイトには当然のように、ファイザー社の新型コロナワクチンの「発症予防効果は16歳以上では約95%」と表記されています。
ワクチンの有効性に関しても、「2回のワクチンを接種したので、もうコロナにかからない!」「2回のワクチン接種を済ませたので、もう打たなくても良い!」と思われていた方も多かったと思います。日本でコロナワクチンの大量接種が始まったのは2021年ですが、1年前の今頃は医療従事者を含めた多くの方がそのような認識でした。さて、コロナワクチンの接種が進んだ現在、接種者がコロナに感染する話も当然のように耳にするようになりました。最近のLancetの論文について紹介した記事でもコロナワクチンの効果は接種後から経時的に大きく減衰し、さらにはマイナスに転じる事も報告されました。
そして、日本ではついに5〜11歳へのコロナワクチン接種が2022年3月に開始されました。子供は本来コロナに感染しても、重症化する事自体が非常にまれです。そのような子供にそもそもコロナワクチンは必要なのでしょうか? 子供へのコロナワクチン接種は諸外国で先行していますので、そのデータが参考になるでしょう。
イタリアにおける5〜11歳のコロナワクチンの大規模な後ろ向きコホート研究を紹介します。ファイザー社が主張する小児用のコロナワクチンの有効性は90.7%です。しかしながら、今回の研究によると実際のワクチン有効性はそれよりも大幅に低く、ピーク時ですら38.7%しかなく、その後は急速に低下し、ワクチン接種後2ヶ月もすると20%ほどしかありません。
イタリアでは、2021年12月16日に5〜11歳のCOVID-19に対するワクチン接種キャンペーンが開始されました。この研究はイタリアの5-11歳児を対象とした全国規模の後ろ向きコホート研究です。対象となるコロナワクチンはファイザーのワクチンのみです。ファイザーワクチン以外のコロナワクチンを接種した場合、研究開始日 (2022年1月17日) 前にコロナ感染と診断された場合、または居住地の情報がない場合は解析から除かれました。
「コホート研究」とは、分析疫学における手法の1つです。特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較する事で、要因と疾病発生の関連を調べる観察研究です。薬剤疫学、産業疫学などで、過去の曝露状況が記録として残っている場合には、過去にさかのぼってコホート研究の情報を得る事ができます。この情報を使って曝露状況と疾病の発生の関連を調べる研究方法を「後ろ向きコホート研究」と呼びます。
この研究では、コロナ感染 (無症状または有症状) および重症 (28日以内に入院または死亡したSARS-CoV-2感染と定義) の発生率の2つの結果を測定しています。死亡や入院についてはコロナ感染が直接の原因となると考えられる場合のみが対象です。つまり、コロナ感染に関連しないようなワクチン後遺症や薬害による入院や死亡といった「ワクチン有効性のマイナス効果」は統計から排除されています。
研究期間の開始日は、最初の小児がファイザーコロナワクチンの2回接種を受けた日付 (2022年1月17日) です。2965918人の子供が試験に参加し、追跡期間中央値は71日でした。2022年4月13日時点で、2回接種を完了した子供は1063035人 (35.8%)、1回接種の子供は134386人 (4.5%)、未接種の子供は1768497人 (59.6%) でした。
ここでのコロナ感染者数は766756人です。発症率はワクチン未接種群で最も高く(10万人日あたり426.9人 [95%CI 425.8〜428.1])、完全接種群で最も低かったです(10万人日あたり234.5人 [233.2〜235.8]。全体として644人の小児が重度のコロナを発症し、入院を必要としました (うち15人がICUに入院し、2人が死亡。2人ともワクチン未接種) 。ただし、死亡した2人のうち1人は複数の先天性疾患と慢性疾患を併発していました。もう1人は健康状態が不明です。コロナの重症化率は、ワクチン未接種群で最も高く (10万人日あたり0~6人)、完全接種群で最も低かったです(10万人日あたり0~3人)。重症コロナの発生率に年齢勾配は見られず、5歳 (10万人日あたり0.40人) と11歳 (10万人日あたり0.41人) はほぼ同じでした。
図1は各イベントの時系列です。研究開始日は、最初の子供たちがファイザー製コロナワクチンの2回目の接種を受けた14日後の2022年1月17日です。参加者は、診断日または経過観察期間の終了日まで経過観察されました。診断から疾患の進行までの時間を考慮し、経過観察の終了日が使い分けられました。重症コロナの結果の終了日は2022年3月13日、コロナ感染症の解析の終了日は2022年4月10日です。この2つの終了日により、臨床症状の悪化の可能性を記録するために診断後28日以上の経過観察期間があり、かつ3日間の届出遅延の可能性を考慮し、感染が確定した全ての届出例を対象とする事が可能となりました。研究期間はオミクロン株が優勢である事が特徴です。
個々の曝露時間はワクチン接種の有無によって1週間ごとに区切られました。ワクチン接種状況は「未接種」「一部接種 (1回)」「完全接種 (2回) 」の3つのカテゴリーで定義され、ワクチン接種から免疫学的効果発現まで14日間としています。したがって、1回目の接種後14日間はワクチン未接種、2回目の接種後14日間は部分接種と分類されています。
この研究でも当然のようにコロナワクチン接種後2週間のいわゆる「魔の2週間」は「未接種」扱いになっています。接種から14日間の間には短期の副反応が集中します。また、この期間にはリンパ球が減少する事が分かっており、これは一時的な免疫不全の原因ともなり得ます。単純に考えると、ワクチンを接種した人がこの期間のうちにコロナに感染すると「未接種者がコロナ感染」、亡くなると「未接種者が死亡」と扱われると取られても仕方ありません。この期間を除外する事で、見せかけのコロナウイルス感染者数、他の感染症、重篤な副反応などを効率良く減少させる事が出来るのです。
コロナ感染に対するワクチンの予防効果は、完全接種群 (29.4% [95%CI 28.5〜30.2]) は部分接種群 (27.4% [26.4〜28.4]) よりわずかに高かったくらいです。そして、重症化に対する効果も、完全接種群の41.1% (22.2〜55.4) は部分接種群の38.1% (95%CI 20.9〜51.5) よりもわずかに高い程度でした。コロナ感染に対するワクチン効果は、ピークに達したのは完全接種後0〜14日。その後有効性は低下していきます。ピーク時のワクチン有効性でも38.7% (95%CI 37.7〜39.7) 程度、2回目の接種後43-84日目で21.2% (19.7〜22.7) に減少しました (図3)。
この研究は、5〜11歳の小児を対象としたワクチン効果の調査としては、米国以外で行われたこれまでで最大のものであり、高い精度でコロナ感染や重症化に対するワクチンの有効性を推定しています。また、論文中では5~11歳の小児におけるワクチン効果に対する他の2つの研究も紹介されています。2つの研究はいずれも米国で行われ、ワクチン未接種児を対照群として2回接種でワクチン効果を推定したものです。そのうち1つの研究では、2回目の接種から14〜82日後のワクチン効果は31%と推定され、もう1つのプレプリント研究では、2回目の接種から0〜13日後のワクチン効果は65%で、28〜34日後には12%に減少すると報告されました。このように、子供用のコロナワクチンの有効性の低さの結果は他の研究でも同様です。
製薬会社が主張する小児に対するワクチン有効性の数値は90.7%。これに対し、今回の大規模コホート研究で判明した実際のワクチン有効性は、ピーク時ですら38.7%と大幅に低くなっています。5~11歳の小児へのワクチン有効性の低さは他の研究でも同様です。また、5~11歳では成人と比較してワクチン有効性の低下がさらにはやいです。
繰り返しますが、子供はコロナ感染で重症化しにくい事が分かっています。そもそも子供はワクチン接種をしなくても重症化しにくいのですから、ワクチンの重症化予防効果が低くても当然ではないでしょうか。実際ワクチン2回接種後のほんの2週間程しかベストの有効性が得られず、しかもそれでせいぜい有効性は40%。接種後2ヶ月もすれば有効性はたったの20%ほど。子供は年齢が若い分これからの人生が長いです。コロナワクチンの重篤な後遺症は時には人生を奪うほどであり、命を落とす可能性すらあります。これほど低い有効性のためだけに子供達が命をかける値打ちは果たしてどれほどあるのでしょうか?
通常、治験には健康のリスクと引き換えに高額な謝礼が払われるものです。コロナワクチンに関しては謝礼も支払われない危険な実験に参加する人が何と多い事でしょうか。コロナワクチンの危険性はスパイクタンパクの毒性、遺伝子ワクチンの作用機序から容易に予測できるものです。徐々にコロナワクチンの効果の低さについてもデータが集まってきました。
事実として、コロナワクチンは「前例の無い」タイプのワクチンです。そして、「有効性に関する予備的なデータしかない状態で公に実施された初めての事例」でもあるのです。現実的な有効性が分かってきたのはようやく最近になってからです。つまり、真の有効性が分からないままに接種が続けられているわけです。実際にワクチン接種を受ける人達が医療従事者から「正当な説明」を受ける事例はどれくらいあるのでしょうか?
「インフォームド・コンセント」とは、医師と患者との十分な情報を得た上での合意を意味する概念です。これは「説明、理解」そしてそれを条件にした「合意」のいずれも欠けない事が前提です。そして、説明の内容としては、対象となる行為の名称、内容、期待されている結果のみではなく、代替治療、副作用や成功率、費用、予後までも含んだ正確な情報が与えられる事が望まれます。臨床試験/治験についてインフォームド・コンセントの必要性を勧告したヘルシンキ宣言は、ナチスドイツの人体実験への反省から生まれたニュルンベルク綱領がもとになっています。1997年の医療法改正によって、医療者は適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努力する義務が初めて明記されました。
コロナワクチン接種を受ける人にはワクチンの危険性や低い有効性についても知る権利があり、接種する医療従事者にはそれを伝える責任があります。さもなければ重篤なワクチン後遺症を自己責任だと言われて、一体誰が納得できるでしょう。コロナワクチン接種については、ワクチンを接種する側も接種される側もインフォームド・コンセントについて今一度深く考え直すべきだと私は考えます。
*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?