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【後編】次世代LNP/mRNA製剤と癌: LNP/mRNA製剤による癌の予防や治療は可能か?

コロナワクチンに使用されているLNP/mRNA製剤は「遺伝子治療薬」です。細胞外でmRNAを保護し、細胞内にmRNAを導入するために使われる素材が脂質ナノ粒子 (LNP) です。では、LNP/mRNA製剤では現行の癌治療法の欠点を克服し、癌の根治療法となる事が期待できるのでしょうか?



動物実験モデルとしてのマウス

腫瘍学ではよく知られていますが、マウスモデルと人間との間には大きな「ギャップ」があります。例えば、実験動物としてよく使われるマウスはLNPに対して耐性であり、実にヒトの耐容量の1000倍もの量のLNPにも耐えます。そのため、マウスを使った実験ではLNPの毒性を大幅に過小評価する可能性を考慮する必要があります。

「癌ワクチン」で癌を予防できるか?

そもそもワクチンでの癌の「予防」は可能なものなのでしょうか? 一般論として、癌mRNAワクチンに使われる「癌抗原」は特定の癌細胞に比較的多く発現するマーカー分子です。癌抗原の問題は、自己抗原である事、癌細胞に発現すると言っても癌細胞特異的ではない事、癌細胞のゲノム不安定性により発現を失う細胞が容易に生まれる事です。癌抗原が様々な癌に共通して発現するタンパクではない事からもワクチンは一種類では済まず、結果的には多種類のワクチンを打つ事を要求される事になります。そして、作られる抗体は癌細胞のみではなく、抗原を発現する正常細胞も攻撃するでしょう。

また他の応用例として、免疫チェックポイントタンパクをワクチンとして用いた場合、免疫チェックポイントが免疫系の攻撃対象となって破壊されます。予測される攻撃対象は癌細胞のみではなく、末梢で寛容が成立している正常細胞も含まれます。免疫系の攻撃が暴走すれば、多臓器における炎症が全身を破壊するような事態が起き得ます。

LNP/mRNAで癌を治療できるか?

ではLNP/mRNA製剤を「癌ワクチン」としてではなく「癌の治療薬」として使う事は出来るのでしょうか? 例えば全身投与した場合、特定の臓器にLNP/mRNA製剤を送り込む事は容易でない上、その臓器内の癌細胞にだけLNP/mRNA製剤を取り込ませる事などは不可能です。また、腫瘍内に注入しても、LNP/mRNAは腫瘍領域に限定して留まるわけではありません。腫瘍内注入後にLNP/mRNAが集積するのは肝臓やリンパ系の臓器です。また、LNP/mRNAを腫瘍塊に注入したとしても癌細胞だけで発現する保証はありません。実際、標的を特定するためにLNPに抗体を組み込む手法も存在はします。しかし、癌細胞に特異的なマーカーが存在しない上、癌細胞は頻繁に変異します。そして、mRNAを癌細胞だけに届ける技術は現時点ではありません。このため癌を標的としたLNP/mRNA製剤による治療法でも、癌細胞以外の正常細胞でもmRNAが発現する事は避けられないのです。

癌細胞だけにmRNAを送り込む技術が無いがために、細胞を確実に殺傷する遺伝子を使う訳にはいきません。炎症などによって癌細胞を攻撃する目的で、炎症性サイトカインのような免疫増強分子をコードするmRNAなどが使用されます。しかし、そうしたmRNAは正常細胞にも取り込まれます。そして、細胞ごとに導入されるmRNA量もタンパク発現期間も制御は不可能です。また、炎症性サイトカインにも問題があります。mRNAによる炎症反応が制御されない場合、炎症自体が慢性疾患や癌の発生、悪性化を誘発する可能性があります。炎症反応は活性酸素を発生させ、DNAを損傷する可能性があります。炎症はしばしば組織の損傷を伴い、そのために患部の細胞はより頻繁に細胞分裂を繰り返し、これも癌の悪化を促す確率を高めます。

なぜコロナワクチンで免疫抑制が起こるのか?

コロナワクチン接種後の悪性腫瘍は「ターボ癌」と呼ばれる事もあります。原因として考えられるのは、コロナワクチンによって免疫抑制が起こり、免疫系の監視機構を回避した癌細胞の暴走する事です。

IgG4と免疫抑制

免疫を抑制する機構としてはIgG4やTregが知られています。IgG4はいわば「中途半端」な抗体です。IgG4は2本の抗原結合腕のうち1本を別のIgG4分子と交換する能力を持つため、抗原特異性が中途半端になった二重特異性抗体を形成します。IgG4による抗原抗体複合体の形成も不十分であり、また、IgG4は炎症反応も抑制します。IgG4の本来の役目は有害な免疫反応の抑制であり、アレルギーが自然に治る事があるのもIgG4の働きのためです。IgG4はIgEと競合してアレルゲンと結合するため、結果としてアレルギー性のIgEがマスト細胞や好塩基球を活性化するのを抑える事ができます。しかし、病原性ウイルスに対するIgG4が出来ると、そのウイルスに対する免疫応答が抑制されてしまいます。

制御性T細胞 (Treg) と免疫抑制

制御性T細胞 (Treg) はT細胞の特殊なサブセットであり、免疫寛容を維持する重要な役割を担っています。TregはT細胞受容体を発現しており、特定の抗原を認識する事ができます。本来のTregの役割は自己抗原に対する反応を抑制し、自己免疫反応を防ぐ事です。TregはエフェクターT細胞や抗原提示細胞 (APC) などの他の免疫細胞と直接相互作用し、これらの免疫細胞の機能を抑制します。また、TGF-βやIL-10など様々な免疫抑制分子を放出し、エフェクターT細胞や他の免疫細胞を抑制し、免疫反応を弱めます。また、Tregは炎症組織や標的組織に移動し、そこで局所的に免疫応答を制御する事ができます。Tregの免疫抑制作用は基本的には抗原特異的ですが、状況に応じて抗原非特異的でもあります。

コロナワクチン後遺症として「全般的な」免疫抑制が起こっている可能性が高いと考えます。mRNAワクチンは抗原を長く発現するために、その反動として免疫を抑制する作用が起きます。疑問としては、免疫抑制が抗原特異的なものか、非特異的なものか。積極的な免疫抑制機構が発動しているのか、免疫系が破綻した結果消極的に免疫抑制が起こっているのかという事です。免疫抑制にはIgG4やTregも関わっていると考えられますが、限定せずに他の作用機序も検討する必要があるでしょう。

免疫リソースは有限である

免疫が健全に働いている場合の特徴として「増えた後に減る」という現象があります。免疫細胞のほとんどは浮遊系の細胞で、血管やリンパ管を通して全身を巡回し、病原性細菌やウイルス等と戦います。それぞれの細胞は状況に応じて増えたり減ったりするのです。例えばB細胞が抗原刺激を受けると、2種類の正反対の反応が起こります。ひとつはB細胞活性化の刺激、もうひとつは細胞死の刺激です。活性化して抗体を産生するようになったB細胞はしばらくすると死んでしまうのですが、それは何故でしょうか? 例えるならば、有事である戦争中には兵隊は大事な戦力であり、増やす必要があります。しかし戦争が終わってしまえば、過大な兵力はむしろ重荷ともなります。このように、体にとって有事の際には兵隊である抗体を一度増やしますが、事態が収まった後には今度はそれらを鎮めて減らすような反応が起こるのです。

つまり、強く活性化された免疫系には「揺り戻し」が起こるのです。コロナワクチンは接種後短期間で極度に抗体価を上昇させますが、そうした強い免疫刺激は免疫担当細胞を枯渇させる可能性があります。そしてその状態が短期間で終息しなければ、そのまま免疫抑制状態が継続する事態となるでしょう。これも考えられる免疫抑制の作用機序の一つです。すなわち、免疫系を強く刺激しすぎた結果、一時的あるいは恒久的に免疫系が破綻してしまった可能性です。その場合、破綻の仕方は一人一人違っていたとしてもおかしくありません。免疫抑制の機序にIgG4、Treg、他の機序がどの程度関わっているかについては、血液検査により血球やサイトカインの量や種類を精密に測定する事により明らかになるでしょう。

免疫抑制やその結果としてのターボ癌はLNP/mRNA製剤自体の副作用である可能性があります。言うならば、LNP/mRNA製剤による癌ワクチンや癌治療薬はむしろ悪性の癌を生み出す原因となる恐れさえあるという事です。

LNP/mRNA製剤による癌予防や治療は可能か?

癌治療が困難な理由は、癌細胞だけを狙っての攻撃ができない事です。癌細胞に共通した特異的抗原など存在しませんし、そうした細胞のみにmRNAを届ける技術もありません。たとえ癌細胞に多く発現する抗原に対するワクチンを作ったとしても、そうした抗原は自己抗原でもあるために自己免疫疾患が副作用として予測されます。結果、癌治療は正常細胞へもダメージを与え、体に大きな負担をかける事になります。癌細胞を排除するのは免疫系の働きですが、コロナワクチンと同様の作用機序による免疫抑制が起これば、癌予防や治療のためのLNP/mRNA製剤自体が新たな癌を誘発したり、癌の悪性化を促しかねません。当初、「コロナワクチンmRNAは接種後ごく短期間で体内から消える」などと言われていましたが、実際にはスパイクタンパクが接種後半年以上に渡って発現するケースが報告されています。結局コロナワクチンによるスパイクタンパクの発現は制御できていませんでした。同様にLNP/mRNA製剤による「癌予防薬」「癌治療薬」も制御はできないでしょう。これらは人体にとっての直接、間接の毒素となります。

LNP/mRNA製剤の致命的欠陥

LNP/mRNA製剤の技術ではフォーマットさえ決まれば、それぞれのmRNA製剤のデザインは遺伝子配列のコピー&ペーストで作成できます。つまり、労力もコストも少なくて済むために新製品開発と量産化が容易なのです。そして、この製薬メーカーやワクチン研究者にとっての長所こそがLNP/mRNA製剤の欠点でもあります。量産化が容易な理由は、タンパクという「薬品」を作る工場を体内の細胞に移管しているからです。けれども、細胞によって作る薬品の量は変わりますし、少なければ効かず、作り過ぎれば細胞が免疫系に攻撃されます。また、遺伝子製剤による遺伝子発現にはブレーキがありません。暴走した場合に制御ができないのです。どんなmRNAを使っても身体中どこで暴走するか分からず、そして対抗する免疫系を暴走させた挙句が免疫抑制とターボ癌なのではないでしょうか。LNP/mRNA製剤は癌根治のためのブレイクスルーとなる技術ではなく、癌の根治療法に繋げるための問題自体は何ら解決していません。最悪のケースとしては「どうせ助からないならば」と、末期の癌患者を対象とした人体実験にすらなりかねないのです。

スパイクタンパクはコロナワクチンの毒性の本体の1つです。しかし、すべてのコロナワクチンの後遺症がスパイクタンパクそのものの毒性だけで説明できるものではないと考えます。コロナワクチンはワクチンとは名ばかりの「遺伝子治療」であり、LNP/mRNA製剤としての欠陥そのものを如実に示しています。外来mRNAを飲み込み、タンパクを生産する細胞に対する抗体依存性自己攻撃、T細胞依存性自己攻撃はLNP/mRNA製剤による癌ワクチンや治療薬でも同様に起こり得ます。体内の薬品工場となった細胞は免疫系の爆撃を受けて破壊されます。そして、DNA汚染の原因は、シュードウリジン化RNAを転写する際に用いたDNA鋳型がDNase I分解耐性である事です。そのため、他のLNP/mRNA製剤についてのDNA汚染の懸念も払拭できません。LNP/mRNA製剤の最も長期の後遺症は汚染DNAによるゲノム改変です。このように、抗体依存性自己攻撃、T細胞依存性自己攻撃、免疫抑制、ターボ癌、DNA汚染などはコロナワクチンだけではなく、LNP/mRNA製剤の共通した致命的欠陥である可能性が高いのです。

まとめ: LNP/mRNA製剤による次世代薬害は防げるのか

事実上、コロナワクチンは史上最大の薬害を生みました。そしてその薬害は現在も時間とともに更に拡大しており、長期の副作用を含めた全容は未だ不明です。図らずもコロナワクチンはLNP/mRNA製剤の致命的欠陥をあらわにしました。LNP/mRNA製剤のウイルスワクチンに対する応用はすでに大失敗に終わりましたが、それ以上にLNP/mRNA製剤の癌予防及び治療への応用は技術的にはるかに困難でしょう。私はLNP/mRNA製剤の癌ワクチンへの応用は現実的ではなく、LNP/mRNA製剤を使っての癌の根治に至っては実現不可能と考えます。それどころか、癌mRNAワクチンは危険な代物であり、汎用された場合の薬害はコロナワクチンと比べ物にならないと懸念します。LNP/mRNA製剤には致命的な欠陥がある以上、他の病気の治療への応用に対しても問題があまりに大きすぎるのです。現在進行形で日本中でLNP/mRNA製剤の工場の建設が進んでいます。次世代薬害の巨大な津波が押し寄せる未来を受け入れるのかどうかが問われているのです。




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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。

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