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モルヌピラビル (ラゲブリオ) 、希望から大失敗へ? : virusesに掲載された論文から

ラゲブリオ (Lagevrio) はメルク社の新型コロナ治療薬です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (PMDA) によると、日本では既に服用後の死亡が100人以上報告されています (2023年3月初旬現在)。死亡者の有害事象として多いのは「COVID19」ですので、そもそもコロナ治療薬としての効果も疑問です。また、薬そのものに致死性の副作用がある可能性も否定できません。ラゲブリオは商品名で、正式名称はモルヌピラビル (Molnupiravir) です。以降はモルヌピラビルと呼びます。

モルヌピラビルはエモリー大学の創薬企業であるDrug Innovation Ventures at Emory (DRIVE) によって開発されました。元々はベネズエラウマ脳炎ウイルス (VEEV) を標的とした抗ウイルス薬のスクリーニングプロジェクトで発見されたのですが、この薬剤はインフルエンザ、エボラ出血熱、チクングニア、各種コロナウイルスなど他のRNAウイルスに対しても活性を示しました。モルヌピラビルの抗ウイルス活性は「RNAウイルスに対する強力な変異源」としての働きによるものです。

2021年12月に、米国食品医薬品局 (FDA) は「他の治療が実行できない特定の集団で使用するための緊急使用承認 (EUA) 」をモルヌピラビルに付与しました。それに応じて、日本でも2021年12月にモルヌピラビル (ラゲブリオ) が特例承認されました。承認条件として、医師は「適切な症例のみに対して予め有効性・安全性に関する情報を文書において説明し、文書による同意を得てから投与」するよう要請されています。

欧州連合 (EU) の医薬品規制当局、欧州医薬品庁 (EMA) は、2023年2月23日にモルヌピラビルを新型コロナウイルスの治療薬としての販売を認めないよう勧告しました。理由としては「十分な治療効果が得られなかったため」としています。また、モルヌピラビルは、承認された過程における不正が強く疑われています。さらにその作用機序から、この薬剤がウイルスの進化を促し、癌などの中長期の副作用をもたらす可能性も指摘されているのです。

Molnupiravir; From Hope to Epic Fail?
Focosi (2022) viruses 
https://www.mdpi.com/1999-4915/14/11/2560

モルヌピラビル; 希望から大失敗へ?

概要
モルヌピラビルはCOVID-19外来患者に対する最初の経口抗ウイルス薬として認可され、これまでオミクロン亜型に対するin vitroの有効性を維持したまま、驚異的な売上を記録してきた。しかし最近になって、臨床効果が非常に低い事、懸念される新しいSARS-CoV-2亜型を生み出す危険性がある事、ヒトでの長期変異原性リスクがある事が指摘されている。後者の2つは、特に適応となる集団、すなわち長期複製を行う免疫不全患者において、深刻な懸念となる。我々は、現時点では、モルヌピラビルよりも代替の抗ウイルス剤を優先すべきであると結論づけた。

要約すると、史上最も売れた薬の一つが、プラセボ群内の一人の患者の電話不通を根拠に、ほとんどの規制当局 (FDAやEMAを含む) から大量展開の認可を受け、科学学会 (WHOを含む) から推奨された事は驚きであり、不成功だったプラセボ対照無作為化比較試験 (RCT) や血清陽性被験者 (市場投入時の一般人口の大半を占める) でのプラセボに対する劣勢は無視されている。これらの承認は、何十億ドルもの契約につながった。さらに、同時にWHOが、回復期血漿のような効果的な治療法や、はるかに安価な再利用薬で、大部分が優れた有効性と10年にわたる安全性追跡を持つものの推奨を否定したことは驚くべき事である。この失敗は明らかに患者コミュニティーに信頼の危機をもたらし、信頼回復のためには、メルク社から規制当局や処方者コミュニティーへの価値の移転という点で透明性が大いに必要とされるであろう。

しかし、最も懸念されるのは、ウイルス配列変異モニタリングや二次癌モニタリングなどの市販後調査が全く行われていない事である。特に、治療後のウイルスの多様化の発生を次世代シーケンサーで系統的に調べた臨床試験はこれまでない。二次癌モニタリングについては、被検者の多くが虚弱な高齢者 (皮肉な事に、その多くが癌の既往を持つ) である事を考えると、関連性を証明するのは難しいだろう。しかし、もしこれが事実であると証明されれば、「根拠に基づいた医療」の時代における最大のスキャンダルであり、劇的な事件となる可能性が高いのである。

モルヌピラビルは、メルク社およびリッジバック・バイオセラピューティクス (Ridgeback Biotherapeutics) によって開発された抗ウイルス薬です。モルヌピラビルは、合成ヌクレオシド誘導体N4-ヒドロキシシチジンのプロドラッグ (生体による代謝作用を受けて活性代謝物へと変化し薬効を示す医薬品) です。その作用機序とは、ウイルスのRNA複製時にエラーを生じさせるというものです (エラーのタイプはG→AやC→Uの転移変異) 。いわゆる「致死的変異原性 (エラー・カタストロフィー) 」 により抗ウイルス作用を示します。モルヌピラビルによる治療は、もともとはインフルエンザなどのウイルス感染症を対象に想定したものでした。モルヌピラビルは「コロナパンデミック」時に世界中の複数の規制当局から認可された最初の経口抗ウイルス剤となり、WHOや学会からも推奨された事で、結果的に製薬会社は短期間で非常に高い収益を上げる事ができました。

モルヌピラビルについては既に多くの問題点が指摘されています。まずは、臨床的有効性の低さです。コロナ外来患者を対象としたモルヌピラビルのプラセボ対照無作為化比較試験 (RCT) は、サンプルの約50%が募集された後 (2021年5月から9月) 早期に中止されました。これは、中間解析での有効性が出た瞬間のタイミングでの切り取り的なデータを基に、それ以降のプラセボ投与は人道的ではない (つまり、偽薬を投与されるプラセボ群の人達が人道的に気の毒である) との理由 (建前) から、試験を中止してしまうという手法です。実際は、瞬間的なタイミングでの一時的な良好な初期結果のみに基づき、事前に指定された停止時間を効果的に変更したわけです。これは、pハッキングとも呼ばれる統計的な詐欺の一種です。実は、中間解析後の集団 (2021年9月~11月) を見ると結果は逆転するのです。

中間解析の結果では、入院または死亡に至った被験者の割合が、モルヌピラビル群で7.3%、プラセボ群で14.1%となり、統計学的に有意なリスク減少率が認められました。しかし、全データの事後解析では急性期医療訪問はモルヌピラビル群で6.6%、プラセボ群で10.6%。入院後の退院までの期間もそれぞれ9日、12日。全データでは治療効果は大幅に減弱し、入院期間を3日間縮めるだけなのです。モルヌピラビルは、コロナ関連の徴候及び症状の解消について、プラセボに対する全体的な有益性を示しませんでした。

不正はこれだけではありません。深刻な危険因子がプラセボ群に偏在しており (例えば、慢性閉塞性肺疾患の有病率が3倍以上の差)、中間解析でのプラセボ群の入院率は非常に高かったのです。また、試験計画書では「追跡不能患者」を「入院」とみなす事が事前に規定されていました。そして実際にプラセボ群に、まさにそのような事象が「1件」あったのです。もしもこのプラセボ群での追跡不能の1件が無ければ、モルヌピラビルの全体的な有益性は統計的に有意ではなかった事になります。このたった1人の「追跡不能」であった患者の存在による結果がモルヌピラビルの有効性の拠り所であり、結果として製薬会社の数百億米ドルの契約締結に繋がりました。

モルヌピラビルの抗ウイルス活性はウイルスに突然変異をもたらす事によるものです。ではもし、モルヌピラビル投与後に患者の体内でウイルスが根絶しきれなかった時にはどうなるでしょうか?その場合、変異によってウイルスの進化を誘導する事になり、モルヌピラビルを投与された患者の体内でウイルスが「進化」し、そのウイルスが体外に拡散される可能性が生まれます。免疫系による強い選択圧の結果として、慢性感染者では変異の80%以上は非同義変異 (N変異 = アミノ酸配列を変える変異) です。実際、モルヌピラビルの使用量が多い国でコロナ配列の変異が進んでいる事が論文内でも報告されています。そもそも「ウイルスを変異させる事によってウイルスを攻撃する風邪薬」という発想自体が破綻していると言っても良いでしょう。新型コロナウイルスは「人工ウイルス」であると私は考えていますが、モルヌピラビルは「コロナ感染者の人体を利用するさらなる人工進化」によって、新たな変異株の登場を促しかねません。

モルヌピラビルはRNAウイルスの変異源となるだけではなく、 ヒトへの変異原性リスクもあります。モルヌピラビルは細胞毒性を有し酸化ストレスを誘発します。そして、高感度のゲノムシークエンシングによると、ヒトリンパ芽球様TK6細胞においてA:T→G:C遷移を増加させる事も分かりました。

モルヌピラビルの推奨が条件付きなのは、モルヌピラビルの安全性に懸念があるからです。エビデンスの確実性は、入院日数の減少については「中程度」(重大な不正確性により評価減)、死亡率については「低い」(重大な不正確性と間接性により評価減)、症状消失までの時間については「中程度」(重大なバイアスリスクにより評価減)、人工呼吸については「非常に低い」(極めて重大な不正確性と重大なバイアスリスクにより評価減)、薬剤中断に至る副作用については「高い」であったとされています。

2022年3月3日に発行されたモルヌピラビルに関するWHOによる唯一の声明では、6つのRCT (プラセボ対照無作為化比較試験) に登録された4796人の患者を基に「モルヌピラビルの長期的な害は、個々の患者に対しても集団レベルにおいても臨床証拠がないため不明である」と結論付けています。つまり言い換えると「遺伝毒性、耐性の出現、新しい変異体の出現については分からない」というのがWHOの見解です。

まとめると、モルヌピラビル (ラゲブリオ) は効果が低く、それどころか安全性に懸念があり、致死的な副作用の可能性すらある、という事です。そして、モルヌピラビルはその作用機序から、人体をRNAウイルスの変異株産生工場と化すものと考えられます。さらには、中長期の副作用としての発癌性の懸念もあります。つまり、ラゲブリオは「風邪薬としては危険な薬剤」であり「ウイルスパンデミックの促進製剤」にもなり得るのです。実際、米国でも緊急使用承認が下りただけであり、EUにおいてはコロナ治療薬としては販売自体を認めないように勧告されている事を踏まえても、モルヌピラビルは簡単に処方すべきような薬ではありません。しかし、日本における大きな問題としては、ラゲブリオを処方する医療従事者の多くがこうした事実を認識していない、という事なのです。

ちなみに日本におけるモルヌピラビルの薬価は200mg1カプセル2357.80円です。通常、モルヌピラビルは1回800mgを1日2回、5日間の経口投与で用いるため、5日間の薬価は9万4312円 (2357.80円 ×4錠 x 2回 x 5日間) となります。低い効果と高い危険性にも関わらず、この高い薬価のためにモルヌピラビル (ラゲブリオ) を積極的に処方したがる医療機関は多いです。そして患者側としても高価なコロナの新薬を無料 (実際には国民の税金から) で処方してもらえるという事をありがたがり、しかもこれがコロナの「特効薬」だと思い込んでいる方も多いのです。つまり、ここでもコロナワクチンと同じ構図ができているのです。ビジネスとしては製薬企業と医療機関には大きな利益がもたらされますが、患者の立場としてはただより高い物は無く、結果としてそのリスクは高くつくでしょう。改めて、自分の命と健康を妄信的に他人任せにする事は危険だと感じます。コロナ騒動はもはやコロナワクチンだけのものではありません。主要なマスメディアが製薬会社に忖度した情報統制を続ける中で、ワクチンに始まり、無意味な検査法、危険な新薬など、数多くの落とし穴があるように思います。




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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。

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