見出し画像

[5/26終了]最新のKindle本実質50%OFFセール対象の良書を解説付でまとめる

5月26日までのKindle本50%ポイント還元セールで様々な良書がセール対象になっていたので、いつも通り雑な解説付きで対象の良ビジネス書をまとめました。
なお、全セール対象本はAmazonの下記ページに挙がっています。


サイロエフェクト

リーマンショックからソニー等の企業経営まで、現代の組織で起こる様々な問題は、組織が専門家集団に細分化され、組織内の小さな集団が「サイロ」を形成していることに起因する。著者は文化人類学者出身でフィナンシャルタイムズの金融記者を経て企業の組織論に携わる異色の経歴で、金融システムから企業経営まで文化人類学という新しい見地から問題を分析する。文化人類学者らしく具体的な人をベースとしたストーリーを前提に議論を展開するが、ストーリー部分が迫真性に富み単純な読み物としても面白い。
なお、同著者の下記もお勧め(下記は今回のセール対象外)。文化人類学のレンズを通して企業経営から行政運営まで多種多様な問題を分析していく様が新しい。

不確実性超入門

実は社会にはランダムな事象がごまんと存在するが、人はそれがランダムに起きることを信じようとせず、誤った法則性や納得しやすい架空の原因を見出して意思決定に至る。また、ランダムな事柄についても、「あらゆる周辺情報をインプットすれば実はランダムではなく予測可能なはずだ」と思いこみやすい(ラプラスの悪魔)。本書はこうした不確実性に関する罠を理解し、不確実な事柄への意思決定に適切に対処するための術を教えてくれる。数学等の事前知識ほぼ不要で容易に理解できる内容。

多様性の科学

多様性の追求と業務等の成果の向上は二律背反ではないどころか、現代の複雑な問題の解決のためには多様性の追求こそが成果の向上に繋がることを様々な論拠から明快に説明する。昨今色々なシーンで多様性が持ち出されるが、これに懐疑的な人こそ読むと良い。

失敗の科学

この本は頻繁にセール対象になりすぎだが、誰もが読むべき本だと思うので沢山売れたほうがよく、いつもセールなのは良いことだ。
失敗から学んできた航空業界と失敗をうまく学べない医療業界を対比しつつ、なぜ人は同じような失敗を延々と繰り返し、失敗から学べないのか・どうすれば失敗から学ぶことが出来るのかを解き明かす。昨今バズワード化している心理的安全性の議論に通ずる本。今回のセール対象の中でも屈指の良書で皆読んでほしい。

最高の脳で働く方法

この本は5月の月間半額セール対象でもあるので、50%オフが二重適用されている。脳の仕組みを意識的にうまく活用してスマートかつ効率的に働く方法を教えてくれる。脳は有限なリソースであり、リソースをどのタイミングでどう分配するかが上手く働くためのコツだということが分かる。例えば、
・大量の情報処理はリソースを特に大きく消費しリカバリに時間を要するので、朝一番に大量のメールをチェックして処理することはその後の業務への悪影響が大きい
・タスク間の優先順位付けを行うこともリソースを大きく消耗する行為なので、疲弊した状態ではうまく手が回らない
・映像は情報処理効率が高いので文字ではなく視覚的に記憶することを心掛けることで脳のリソース消費を抑えられる
など。
「締め切りまであと1時間しかないのに細部にこだわって提案を期限内にまとめられなかった」等の仕事にありがちな具体的ストーリーがまず示され、そこでの改善点を各種研究結果を引用して提示し、その改善点を活用するとストーリーがどう変容するかを示す形で記述されている。分かりやすい。

ブレインドリブン

スタンフォードMBAの授業の人気授業の一つに、脳神経科学に基づいたストレスマネジメントやモチベーションマネジメントがあり、私も受講した。その授業は色々目から鱗だったのだが、その後この本を読んだら、その授業で学んだこととほぼ同じような内容だった。モチベーション、ストレス、クリエイティビティ等、従来心理学や個々の成功者の経験で論じられていた領域を、脳神経科学の観点から解説する。なお、その授業は多分単価で受講すると40万円位するはずなので、この本はもの凄くコストパフォーマンスが良い。視覚的にも分かり易い作りで、お勧め。

想定外

(※注意:5/19現在、この本は50%ポイント還元になっているが、セール対象との表記がないのですぐに終了するかも)

独特の読みづらさがあるので読むのに少し苦労するが、書かれている内容は面白い。オックスフォードのビジネススクールやロンドンビジネススクールで教えるエコノミストの教授が、「良く世の中でもてはやされる、方針や実行計画を事前に理屈立てて明確に定めて最短距離で目的を達成しようとするやり方は、実は実社会では全然通用しないよ」というのをこれでもかというくらい多種多様な具体例を挙げて説明する。社会が高度に複雑化し、そもそも課題の見極めや問題の所在すら把握が困難な今日では、結局何をやるにしても試行錯誤的な回り道が実は最短距離になっていることがわかる。

プロダクトレッドグロース

旧来からのセールス主導の成長戦略ではない新しいプロダクト主導の成長戦略を具体的な事例を交えつつ明快に整理する。プロダクト主導ゴリ押しではなく、セールス主導の戦略が妥当な場面もしっかりと整理してくれているのも良い。プロダクト主導型ビジネスへの転換方法を詳細に説明するが、旧来型のセールス主導ビジネスでもパーツパーツで応用が効く。マーケターやプロダクトマネージャー必携。

コンサル一年目が学ぶこと

今年に入って物凄く頻繁にセールをしているがこれはアマゾンの推しなのか(良い本なのでよいが)。
コンサル1年目というより若手社会人が学ぶべきスキル集なので若手社会人にお勧め。特に1~2年目の若手にとっては必読書レベルなのではないか。
なお、5/20現在、図解版もポイント50%還元になっている(こちらは未読)。

HELLO, DESIGN

デザイン思考の非常に良質な入門書。デザイン思考を、その名前からして「クリエイティブ系やアート系の人の話でしょ?」などと誤解している人も多いが、それは全く違う。デザイン思考は社会に潜む課題を特定しそれを解決するもので、新規事業開発、起業や公共政策立案等、およそ社会一般に有用なアプローチ。デザイン思考は私がスタンフォード留学中に学んだことの中でも特に良かった学びだった。大変お勧めの本。

アイデアファクトリー

ビジネス等での新規アイデア出しに非常に有用。これでもかとばかりにアイデア出しに効果的な手法が多角的に大量に並べられている。全てのアイデアは既存のアイデアの修正か結合なので既存のアイデア同士をつないでみる、実現可能性等を何も考えずにとにかく課題に対して100個アイデアを出すと80個目以降くらいから突拍子もない独創的なアイデアがひねり出される、同一の課題を毎日5分でも良いから真剣に考える癖を付けると脳がその重要性を無意識的に認識し日常のふとした瞬間に解決法が思いつく、あえて多数の課題を同時に考える等。誰でも独創的になれる。「自分にはクリエイティビティがない」などと思っている人に大変お勧め。何度も読み返して定着させるに値する良書。

リフレクション

内省の効果は下記ツイートのように非常に高いとされているが、この本はその具体的な方法を分かり易く解説。特に近年は「アンラーン」(過去の経験に基づき凝り固まった自分の意見や価値観を効果的に捨て去り、最新のものにアップデートすること)の重要性が説かれるが、それをどう行うか等で学びがあった。

ハッピーストレス

MBAではストレス管理に関心がある学生も多く、ストレスマネジメントに関する授業もあるのだが、そこで良かったのはストレスの両面性を知れたこと。悪い面ばかり強調されがちなストレスだが、実は良い面が多々あり、それをうまく生かすことが自身の社会的成功や幸せに繋がる。ストレスマネジメントというとストレスの除去や軽減を思い描いていたので意外だった。この本はまさにストレスのポジティブな側面とその生かし方に着目した本。『ブレインドリブン』の著者と同一著者だが、この方の本はとにかく読みやすい工夫が多くて良い。

幸福優位の7つの法則

米国では幸福学という「幸福とは何か、どうすれば幸せになれるのか」を真剣に考える学問が盛んで、私もMBAの授業で履修した。この本はその授業で教わった内容と同様で、人生を充実させたい人にお勧め。
なお、下記の本を併せて読むと「実は幸福感だけでなくネガティブな感情もうまく活用すれば大いに意義がある」ということを学べてお勧め(下記の本はセール対象外)。

人に頼む技術

下記ツイートを参照。

なお、同一著者の下記の本もセール対象。下記のうち前者は5月の月間半額セール対象でもあるので、50%オフが二重適用されている。これらは即効性を追求したハウトゥー本なので、関連研究等を深く学びたい人には向いていないが、非常に分かり易く簡潔に書かれており「小難しいことはいいからとにかく結果を出したい、やる気を上げたい」といった人に最適。

爆速成長マネジメント

(※この本は6/2までの別の50%オフセールの対象)
起業して製品がそれなりに世に受け入れられ始めた後(PMF・シリーズA後)、会社が成長していくに当たって何をすべきか・すべきでないかを包括的に解説してくれている。CxOクラスの人材の中途採用の際の留意点、急成長期に業務の空白領域をアドホックに埋める機動的な人材の必要性等。起業初期にフォーカスした本は沢山あるのだが、この本のように成長期の企業のマネジメントに着目した本はあまりなく、大変参考になる。

問いかけの作法

会議等で活発な議論を促すための方法論について平易に書かれた入門書であり、部下を持ったばかりの20代半ばくらいの社会人や自分が取り仕切る会議がいつもお通夜のような雰囲気になっている人に向けた本。これらに該当する人はお勧め。何よりも、この本は50%ポイント還元に加えて5月の月間50%オフセールの対象でもあり、今めちゃくちゃ安いのが良い。

キッシンジャー超交渉術

(※この本は6/2までの別の50%オフセールの対象)

アメリカ史上最高の交渉者であるキッシンジャーの過去の交渉を、ハーバードロー、ビジネス、ケネディスクールの教授陣が分析し、そこから得られる交渉術のエッセンスを抽出するという重厚な本。やはりハーバードの交渉学研究は群を抜いている。

なお、もう少し手軽にハーバードの交渉術について学びたい方は以下がお勧め(以下の本はセール対象外)。

睡眠こそ最強の解決策である

私の留学先のスタンフォードは睡眠の研究が進んでいることもあってか、ビジネススクールの授業ですら、一コマこの本の内容のような睡眠を扱うものがあった。この本はUCバークレー教授が睡眠のもたらすありとあらゆる効能を神経科学の見地から多数の信頼できる研究を基に解説する。この本を読むと、およそどんな場合でも睡眠を削るのはご法度で、とりあえず毎日7-8時間何があっても寝るべきということがよくわかる。個人的にはかなりおすすめ。
ちなみに、関連(?)書籍として下記も大変お勧め(※下記は今回のセール対象外)。最新の研究によると、脳は加齢とともに退化する一方ではなく、有酸素運動で強化できる。有酸素運動を効果的に取り入れることで学習効果や仕事のパフォーマンスを飛躍的に伸ばすことができる。
上記をまとめると、要するに、人は7-8時間毎日規則正しく寝て、朝、仕事や勉強前に有酸素運動をするように心がければ、今の自分が持つ能力を最大限活用できるようになる。

マンガ ビジネスモデル全史

マンガだしと全然期待せずに買ったら良い方向に期待を裏切られた。「ビジネスモデルとは何か」といった根源から図表と漫画でわかりやすく結構深くまで解説。漫画なので適当に気軽に読める。「この会社って名前をよく聞くけどこういうことをやってたんだ、こういう工夫をして発展したんだ」などと学べて色々発見がある。ジレットの替え刃戦略、最強企業だったKマートを田舎の弱小ウォルマートが上回ったドミナント戦略など、MBAで受けた戦略論の入門授業でよく出てきた事例がまとまっている。MBA留学前の予習にも使えそうだし、MBAに行かずに安価で独習したい人にも向いている。

なお、同著者の本で下記もセールになっており、こちらもさっき買ってみた(こちらは私は未読)。

今更聞けないビットコインとブロックチェーン

仮想通貨って実際のところ何?どういう仕組み?NFTって?DeFi?DAO??といった人向けの、仮想通貨関連トピックを総ざらいしてくれる入門書。内容は網羅的だし充実していると思う。





頂いたサポートは主にクラウドファンディング等で社会的意義のある活動支援に使わせていただこうと思います。ありがとうございます。