ねぶたの人たち
六人並んで、何をしているんでしょう。まさか、踊りの練習? 跳ねる練習なのかなと、とりあえず客船を撮るついでに彼女たちも入れてみました。
そうすると、しばらくしたらタイミングを見計らって一斉にジャンプをしていたので、自動でスマホか何かに写真を撮らせていたようです。写真なのか、それとも動画なのかです。
おまつりですから、みんながそれぞれのスタイルで楽しむ、これは今風です。当然そうでなければならないのです。おまつりを狙ってボロ儲けしようとか、あたりかまわず大騒ぎしようとか、やりたいことをするのだ、なんていうのはおまつりではありません。ただの暴動です。
おまつりは、ささやかに、それぞれの思いを載せて楽しむものでした。人に迷惑をかけてはいけない。みんなで声かけながら、楽しい時間を過ごさなくては!
どこかの会社の人たちも、自分たちのねぶたのある方向へ歩いていかれてました。交代制なのか、それとも会社におまつり担当の部署があるのか、わかりませんけど、年に数日間は、会社としても地域へのアピールも兼ねて、元気なところを見せなくてはなりませんでした。
みんなで青森のねぶたは盛り上げられていました。県のまん中にある青森市は、東西南北から人が集まって来たようです。
私は、青い森鉄道で八戸から上北町経由で青森にたどり着きましたが、八戸や三沢あたりではクールな感じでしたけど、浅虫温泉の手前くらいから電車は満員で、とうとう途中からはご夫婦でねじり鉢巻きのハネトスタイルのお客さんも乗り込んできて、少しずつ核心部に近づいているらしい、みたいな気持ちになりました。
青森駅に着いたら、お客さんはいっぺんに解放されて、町の中に吸い込まれていったけれど、まだまだずっと周辺地域の人々は押し寄せていたことでしょう。
私は、夕はんを食べるつもりで青森市に入りましたけど、どこかのお店に入っていく勇気が出なくなりました。お店では、おまつり気分を高める仕掛けがあったのかもしれないけど、そこまで楽しむ余裕がなくて、とにかくおまつりの基本となる山車を見たかったし、それらがどこから出て、どんなところを練り歩くのか、町の雰囲気はどんななのかを知りたかったんでした。
でも、お腹も空いたから、公園でハムカツサンドとおにぎりと缶ビールを飲んで、おまつりが動き出すまで待たねばなりませんでした。
そう、山車は港の方に行けば、さっきの会社の人たちが向かってた方角にきっとあるはずでした。
誰彼ともなく話しかけたわけではありませんが、山車を撮ろうとしたら、自然とまつりに溶け込んでいる人たちがチラリと見えて、何かの関わりを持ったわけではありませんが、しあわせなまつり気分はいただくことができました。もう、私はこれでもう、あこがれのねぶたはいいかな、みたいな気分になっていたんです。