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年金を貯金してはいけない!!

サラリーマンのための投資戦略(26)】
このマガジンでは、サラリーマンが「信用資産=お金を借りる信用力」を活用して「年収の10倍以上の資産」を作るための方法を解説しています。

マガジンに記事をまとめています。➡【サラリーマンのための投資戦略】

今回は、サラリーマン投資家にとって、とても大事な「厚生年金」のもらい方について考えてみたいと思います。

1、年金を貯金してはいけない。

定年退職後、いつから年金を受け取るのか?ということは、重要な決断です。

今回、考えてみたいのは、年金受給を始める時期と貯金との関係です。

年金を65歳からもらい始めたけれども、将来のことが心配なので、家計を節約してできるだけ貯金しておく・・・という人もいるでしょう。

でも、年金支給を受けてから、「ほとんど利子がつかない銀行に預ける」くらいなら、「年金受給の繰り下げ」を選んで、将来もらえる年金額を増やした方が良いかもしれません。

そもそも、貯金をするのは、自分が何歳まで生きられるのかがわからないから、不安で貯金をするのです。

将来の「長生きリスク」に備えるなら「資産運用しても簡単には増やせない貯金」を持っておくよりも、「将来にわたってもらえることが確定している年金額を増額する」方が理にかなった対策と言えます。

2、年金の受給開始を遅らせると、もらえる年金が増額される。

国民年金と厚生年金は、それぞれ、65歳よりも早い年齢から年金をもらうことができますし、遅い年齢から年金をもらうこともできます。

早くもらい始めると年金は減額されます。

逆に、遅くもらうと年金額は増額されます。

65歳からではなく66歳からの支給に1年遅らせるだけで、将来にわたって、年金額が8.4%増額します。70歳からの支給なら、42%も増額することができます。

2019年の年金受給モデルでは、国民年金の受給額は毎月62,000円ですが、66歳に繰り下げると68,500円になります。さらに70歳まで繰り下げると、88,000円まで増額されます。

サラリーマンの夫と専業主婦の組み合わせであれば、夫婦のそれぞれの国民年金と夫の厚生年金は、独立して年金受給を繰り下げられますので、夫の国民年金と厚生年金と貯金で生活し、「妻の国民年金のみを繰り下げて増額する」といったことも可能です。

毎月の年金額を全額使い切らずに貯金をするくらいなら、もらえる年金の一部だけでも受給を繰り下げたほうが、お得ということになります。

3、「年金の受給繰り下げ」はいつでもやめられる。

年金の受給繰り下げは、いつでもやめられます。お金が足りなくなったら、年金受給の申請をすればよいだけです。

また、年金の受給申請には「5年の時効」があります。

逆に言えば「5年以内なら過去に遡って、年金の一括請求が可能」です。

例えば、

3年繰り下げた時点で、急にお金が必要になれば、当初の年金支給開始時期にさかのぼって、それまでに受給できるはずだった3年分の年金を一括で受取ことができます。

ですので、「年金受給の繰り下げ」に関しては、「年金申請をしない」状態でしばらく暮らしてみて、生活費が足らなくなったら年金受給を始めればよいのです。

4、在職年金の繰り下げを行う場合の注意点

「人生100年時代」になると「65歳以降もフルタイムで働いているので、年金受給をしなくても生活できる」という人が増えるでしょう。

このように65歳以降も働いている場合「受け取った給与」の額に応じて「実際に受け取れる年金額」が減額されてしまうことに注意が必要です。

また、年金の受給を繰り下げた場合の計算も、在職年金の仕組みによって年金額が減額された場合には、その「減額された年金額」が増額計算の対象となります。

【事例】

70歳まで40万円で就労したとします。この場合、年金の一部が支給停止されます。支給停止額は〔(12.5万円+40万円−47万円)×0.5〕=2.75万円となり、在職老齢年金は9.75万円となります。

この在職老齢年金を70歳まで繰下げるとこの額の42%分40,950円(月額)が増額され、増額後の支給額は(12.5万円+9.75万円×42%)×12月 という計算になります。

在職年金を繰り下げた場合、確かに増額される年金額は減ってしまいますが、それでも将来にわたって年金が増額される効果は大きいと思います。

いずれにしても、年金受給を受けて、その中から貯金するくらいなら、支給を繰り下げたほうがお得です。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。

山海弘