カポーティ「草の竪琴」 環と環

過去と未来とは一つの螺旋形をなしていて、一つのコイルには次のコイルが連なっており、またその中心主題をも抱合しているということを、いつか本で読んだことがある。恐らくそのとおりなのであろう。だが、僕の人生は、むしろ閉じた円、つまり環の羅列であって、決して螺旋形のように次から次へと連なっていくことはなく、一つの環から次の環へ移行するには、すべるように伝わって移ることは不可能で、跳躍を試みるより他にない。そのような形に思えるのだった。僕の気をくじくのは、環と環の間に来る無風状態だった。つまりどこに跳んだらよいのかわかるまでの間、その間のことである。


カポーティ 「草の竪琴」

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