宗教の事件 64 吉本隆明・辺見庸「夜と女と毛沢東」
●理念が人を殺す
辺見庸 産経新聞の弓山さんとの対談(注1)、読ませていただきました。親鸞の根本思想たる悪人正機説については、私もある人と対談する機会があったのですが、どうも話が噛み合わずに議論になってしまいました。相手は麻原に何回かあったことのある弁護士で、かつ仏教信者たる遠藤誠氏ですが、彼は、「彰晃は、親鸞聖人ないし阿弥陀仏が救済の手を差し伸べる対象には至ってない」というんです。しかし僕は、親鸞は悪が深ければ深いほど正機に恵まれると考えたと思っている者ですから、最後まで