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循環型社会の創造者にお会いして

産学官連携による人材育成に取り組まれているNPO法人「九州・アジア経営塾」のイベントへの登壇のお話をいただき、福岡県へ。

"あらゆるものを循環させる"をビジョンに掲げている日本環境設計株式会社・取締役会長の岩元さんと対談させていただいた。

日本環境設計は、服の回収からリサイクル、再生素材を使った洋服の販売までを行うブランド「BRING™」を展開する企業。実は、以前からご縁があり、僕とRuntripさんで一緒に作ったTシャツで僕たちが選択した素材は再生素材のBRING™だった。

今年7月神奈川県川崎市の工場を見学させて頂き、その際に代表取締役社長の高尾さんからお話をうかがって会社の理念や技術に感動し、本家である北九州の工場にも必ず行きたいと思っていた。

今回、念願叶い北九州工場で岩元さんにお会いし、お話を伺うことができた。

岩元さんの"あらゆるものを循環させる"という強い想いの源は、平和への願いだった。今まで世界は、地下資源である石油や金、レアメタルの競争によって戦争など色々な問題を起こしてきた。その歴史を繰り返したくない。だから、今ある地上資源で完全循環を作りましょうというビジョンだ。

地上資源という初めて聞く言葉の意味から教えていただいた。

要は、我々の生活を現在地上にある有機物で賄っていこうということだと理解した。例えばTシャツは、解重合を繰り返して、元素まで分解する。着色されていようが、傷がついていようが、元素に戻すことができれば同じなのである。そこからもう一度統合し、Tシャツにする。地下資源の石油を使用することはない。地上にある資源のみで水平にリサイクルすることができるのだそうだ。

さらに僕が驚いたことは、ペットボトルのケミカルリサイクルだ。

通常、ペットボトルのリサイクルは、ペットボトルを物理的に分解する過程で、毎回鮮度は落ちていく。実は、1〜2回再利用すると、次はペットボトルにはできなくなり、最終的には不織布のマスクになったりする。そして、最後は燃やす事になるそうだ。

しかしこの企業の分解技術の場合は異なる。半永久的にペットボトルやTシャツを作ることができる。ものすごい技術だと感動した。

2015年、岩元さんは、古着から取り出したエタノールで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する車「デロリアン」を走らせた。映画会社ユニバーサルの公式イベントとして東京お台場で行ったこのイベントのニュースは、世界中を駆け巡った。空輸だけで600万円もかかるデロリアンを購入する大胆な戦略は、投資家たちに怒られもしたそうだが、結果、マーケティングプロモーション的には大成功だった。

イベントに集まった方々には、デロリアンに触れてもらいながら、ゴミから生まれるエネルギーやリサイクルについて学んでもらったそうだ

興味のある人だけが参加するリサイクルでは循環型社会はなし得ない。残りの95%と言われる環境に興味のない人に動いてもらいたいから、"正しいことを楽しく"ということを大事にされているそうだ。

子どもたちが集めた不要な携帯電話から、オリパラのメダルを作成したエピソードもうかがった。

「オリパラの精神って何??平和でしょ。そしたら、地下資源を使わないで循環させましょう!」
という大義を聞いて、見事だなと思った。

集めた古着をエネルギーに変えて飛行機を飛ばすJALさんとの共同プロジェクトでも、子どもと一緒に行っていた。

大人はなかなか動けないこともあるが、子どもたちは純粋に取り組み、学んでくれる。大人は、そんな子どもたちに刺激されるのだ。

岩元さんが日本環境設計を創業したのは15年前のこと。経済と環境を両立させることは難しいとされていた時代から、技術の裏付けと信念、そして知恵を使ってなんとか食いしばってここまできたそうだ。

その過程で良いパートナーとも出会い、店舗に回収ボックスを置いてもらい、回収した不用品を分解し、メーカーで製品にする。このサイクルを作り上げた。

初期の参画企業は「無印良品」を手掛ける良品計画、丸井など。現在では、ザ・ノース・フェイス、アダストリア、大丸松坂屋、国内だけでなくH&Mなど海外とも提携し、いまやBRING™パートナーは300社におよぶそうだ。

H&Mは2030年までに地下資源で作ることを止めると宣言した。世の中の流れは地上資源の循環へ加速してきている。

日本は今後どうしていくのか?目の前のコスト競争をしていると置いていかれる。中長期で考える戦略が必要になってくるのではないだろうか。

岩元さんの日本環境設計は国のルール作りでも官僚や委員会組織を相手にリーダーシップを発揮されているが、我々一人一人が行動を見直す時が来ている。

僕自身も色々と考えるきっかけになった。
岩元さんとは、スポーツ界へのチャレンジをしてみようと話した。地下資源由来のユニフォームを止めて、地上資源のユニフォームを着る。スポーツ界が一つになって、地球を守ることに貢献していこう、と。

現実、このハードルは高い。でも、何かやれるはずだ。
まずは仲間探しをしながら、"正しいことを楽しく"やっていこうと思う。
皆さんも色々とアイデアを頂ければ幸いです!!


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