【第6回】青森県信用保証協会 小山内課長「信頼の残高:実体験に基づく誠実な“組織論”(後編)」~呼ばれたら飛んで行く「地方創生」屋さん~

地方創生DXコンサルタントとして活動していく中でご縁があり株式会社猿人様主催の「自治体DX 友だちの輪」にてコラムを掲載させていただいておりました。

こちらのコミュニティが昨年度で終了したとのことで今回、猿人様よりこれまで投稿していた記事を私のNoteで掲載する許可を頂きましたので投稿していきます。

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▼前回のコラムはこちら

小山内課長:そうだ、もともとの話は保証協会の今後の変化についてでしたね。
さっきもお話しましたが、変化には確実に前向きですが組織の大きさもあって苦労しているところも多いのは事実です。ただ、保証協会は大きな車輪を動かすときの話と似ていて、最初動かすのは大変だけど一度動き始めると加速も影響力も大きく発揮できるはずです。だからこそモティベーションある人間が結集していろんな周囲の心配ごとから片付けて、心配してしまう人たちも少しずつ安心させていって、変化の流れを一個一個加速させていく努力を続けているところです。そのためにももっと外部の人たちの知識や経験も借りながらできることも増やしていかなければなりません。

筆者:小山内さんはそういう意味では現在内部の変革をDX側から推進される立場になられましたが、つい最近までは弘前の地で実際の企業さんの支援を現場としてご担当されていましたよね。今の青森の経済状況ってどう見られていますか。

小山内課長:大きな質問ですね。実は青森の特徴というか難しさなのですが、そもそもの話で青森の産業は大きく地域によって個性が違います。津軽・下北は一次産業と観光が強く、南部は製造業が強い、青森は県庁所在地のカラーもあっていろんなものがよく言うとバランス良く集まっているけども、少し厳し目に言うと主要産業が特に無い。コロナ禍では南部はダメージが少なかったです。製造業としてもコロナの影響を強く受けない業界が多かったせいもあってゼロゼロ融資の枠残高も余り減っていません。八戸などはその傾向が顕著です。その点から言うと津軽・下北はほぼ残高がなくなっていて、追加融資の保証案件も弘前はさらに増加傾向です。もともと経済状況としては辛かったのですがコロナが完全に追い打ちになりました。業界によって差はありますが川下産業ほど直撃のダメージを受けています。南部はまだ晴れ模様、曇のち雨が津軽という印象です。

小山内課長:これからどうやって産業の自走を守っていくかと考えたら、津軽についてはそもそも産業自体が消えてしまうのではないかという危惧があります。個店レベルでは廃業も増える一方です。コロナ対策資金でとりあえず止血はまずしなければという状態でしたが、同時にこの先の新しい付加価値の作り方・稼ぎ方を考えないといけない。これは大変です。今怪我をしているのに、この先の戦いに臨む体力づくりもしなければならないという。

筆者:一口に青森県といってもそんなに地域差があるんですね。二重の試練に苦しむ津軽・弘前はここからどうしていったら良いでしょうか?

小山内課長:抜本的な解決は保証協会では直接できないけれど、我々は状況に対する施策や対策を一緒に考えて、社長に気づきを与えることも大切な仕事だと思っています。自分たちだけでは打開策が打ちきれない状況があるのであれば我々にまず頼ってほしいと思います。もちろん我々が保証をして融資を実施することにとどまらずに我々も一緒に対策を考えますし、ネットワークを駆使して協力できそうな方を施策実施に招き入れることも可能です。私の信ずるところですが、そもそも経営者として企業をここまで育てて来ているのですから何らかの“気づき”が得られれば絶対に再び上昇機運に乗れます。過去の栄光にすがって自己変革に挑まない状態ではどうにもなりませんが、現在を冷静に見据えて受け止めて、過去の成功体験にすがるのではなくその時に試行錯誤したときの考え方や挑戦するスタイルで挑めば、再度時流を捉えて再興を果たすことができるはずですし、我々もそうあって頂きたい思いで頑張って支援します。繰り返しになりますが、そのためのチーミングと資金の支援は我々の責任としてしっかり行えます。そのためにも頭をひねる段階から相談してもらえたらと考えています。

筆者:こちらの記事は自治体関係者皆さんをメインに向けた媒体に掲載されるのですが、自治体はどのような役割を期待しますか?

小山内課長:本来は自治体にも積極的に参画して欲しいのですがなかなか地場企業支援のノウハウを色々事情があって余り持たれていないのではないかと思います。可能なら一緒の経営支援の場に来ていただいて現場から学ぶ機会を得てほしいと考えています。あるあるなのですが、経営支援や融資について自治体内部にノウハウが無いので手っ取り早く銀行経験者を経験者採用してしまうケースが多い印象があります。銀行出身者だから現場がわかるのか、経営支援がわかるのか、というとそれは短絡だと思います。
一番大切なのは、現場で必要とされているニーズをもとにして政策に具体的に反映させることだと思います。しかしこれを実現することが現場から見ていると、政策検討の場では実現が難しくなっている様に感じます。ここをうまく我々ともっと意見交換や現場参画などで緊密に連携してほしいと思います。

筆者:以前の私の記事でもご紹介した、島根県信用保証協会の小野さんの“霞が関とのキャッチボール仕事術”的なアプローチは適用できませんか?

小山内課長:現状では、前例主義の砦が大きいと感じます。新しいことをやろうとしてもリスクがあると止められてしまう。今の状態では何も手を打たないことが最も大きなリスクなのに、うまくいかない可能性を探し出して重箱の隅をつつくように施策案が止められてしまうことが非常に多いです。これをどうにかして変えていきたいです。もっと現場が叩き上げのプロパーだけではなく、多様な現場経験を踏んだ人間を組織内外にこだわらず一緒のチーミングに巻き込んで、リスクをすべて抹消するために時間を費やすのではなく最善の検討でまずはやってみる、そしてしっかり評価しながら軌道修正を並行して行う前提で必要な変化を積極的に起こして行くことが必要だと思います。この変化を待っている間にも辛い思いをしている事業者、市民は増え続けている実感が強いです。

筆者:以前小山内さんがご紹介してくれた自治体ご担当者の方たちも、変革に向けて尽力されていますが同じ様にスピード感を増やさなくてはならない危機感を強くお持ちだったことを思い出します。

小山内課長:はい。みな思いは同じだと思います。
私に取っては青森そして更に弘前は私の生まれ育った街なので、この苦しい現状の今こそ地元に貢献したい思いが強いです。青森出身の皆さんにとって、青森は温かい気持ちで帰ってくる場所であるべきです。若者は義務教育、高校と終えたら年齢的にも都会に行ってキラキラしたいという思いが強まるものです。何でも揃っている様に見える大都会でキラキラしたいんですよ笑。

自分の故郷が大都会じゃなくても、何よりも誇りを持ててそしてしっかり稼げるようになれば地元だってキラキラできるんじゃないの?と思える青森にしていかないといけないです。

みんな自分の世界を広げて、自分の可能性も広げて夢を叶えたい、だから都会に出ていく。それは良い経験になるのであれば我々はその思いも応援してあげたい。でもその一方で、ふるさと青森は帰ってくる場所、大都会を経験するのはいいことだけどその経験を持って自分を育ててくれた青森に帰ってきてほしいと思います。我々は青森をそう感じてもらえるように頑張らなくちゃいけないです。若者が働く場所に困らなくて、しっかり人生の夢を叶えられるくらい稼げるようにしなくてはいけない。

筆者:なるほど。経験するための都会と貢献に帰ってくるふるさと青森ですね。

小山内課長:うまいこと言いますね笑、でもその通りです。

筆者:今回は小山内節といいますか熱い津軽の兄貴の叫びを聞いた気がします。青森は今色んなところで小山内さんの仰る通り変革の種火が起こり始めていることを私も場所、場所で感じます。ぜひ我々も一緒に種火をキャンプファイアー並みにしていきたいですね。

小山内課長:はい、頑張ります。廣瀬さんも青森を盛り上げてくださいよ。

筆者:ありがとうございます。私に取っては実家の隣県ですからご近所様ですのでもちろんです。

小山内課長:そうか!北海道は隣県か。

筆者:そうですよ。もっと北海道を近くに感じてください笑

小山内課長:まずは北海道に飲みにいかなくてはですね。

筆者:ぜひ近いうちに。

小山内課長:そうしましょう!

©2023年 株式会社猿人ならびに「自治体DX 友だちの輪」コミュニティ

本資料は株式会社猿人主催「自治体DX 友だちの輪」コミュニティにてコラム掲載。
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