「オーダー車だから良く走る自転車とは限らないんだよ。」というお話(6)
前回の「ラグレスと応力集中 前編」では、廣瀬さんのラグレス製作における「本付け」技法の紹介と、それが決して杓子定規なものではなく、一回一回、作る相手によって異なる、演奏のようなものであることを記しました。
今回はそこから一歩話を進めて、「本付け」作業中の廣瀬さんの脳内、思考についてご紹介します。いったい何を考えていたのか。なぜそれを考えていたのか。そして、考えによる違いがあらわれたラグレスフレームのカットモデルについてもご紹介します。
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カットモデルは物語る 4 「ラグレスと応力集中 後編」
廣瀬さんに「本付け」の最中、何を考えているか尋ねたことがあります。楽器の演奏同様、数値や理論などを意識していないことはわかりましたが、そのオーナーにとって最適なロウ付けをする為に何か考えていることはあるのか? それとも禅や瞑想のような状態なのか?
答えは「それはね、頭の中に、ある映像を思い描いているんだよ。」というものでした。
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YouTube動画も含めた私のヒロセへの取材とアウトプットに対し、ご評価を頂ければとても有り難いです。どうぞ、よろしくお願い致します。(廣瀬秀敬自転車資料館 制作者)