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【短編小説】 「幼稚園児が女の子にモテる秘訣を本気で解説します。」
生まれ落ちた瞬間からスマホを渡された世代としては、6歳児にしてnoteを書くなんて耳目を集めることではない。
同い年はみんなフリック入力ができる。ひらがなの筆記体の方が難しくて、僕も「ぬ」と「ね」がいまいち上手く書けないけど、スマホがあれば漢字まで余裕で打てる。
初めてツイートしたのは生後3ヶ月。
母のスマホから打ち込んだ「なかたたあはらか」という一文だ。ドラクエのふっかつのじゅもんではなくて、僕が入力したツイート。記念すべき画面を母はスクショしてて、今でもたまに見せてくる。
僕はうっとおしいなあと思いながらも愛想笑いでやり過ごし、裏垢で「いまだに子供扱いで至極面倒である」とツイートしていることはバレていない。
今どきの幼稚園児はみんなツイッターで会話して写真を共有して世界中のニュースをシェアしている。北米のボルチモアの5歳児が銃を乱射した事件、南米のウルグアイの4歳児がYouTubeで5億稼いでる話。
5億円じゃなくて5億ドル。日本円で500億円。
「うちらも焦るね」とユメメのリツイートが流れてくる。彼女は3軒隣に住んでる同じ【さくら組】のクラスメイトだ。もちろん美少女。
僕の親指も瞬時に反応する。「タロイモみたいにユーチューバーになろうかな。女の子にモテる秘訣を幼稚園児が話すって面白くない?」
「秘訣ってなに?」
「みんなの前ではかん高い声でふざけていても、二人きりになったら、ゆっくり低い声で話す」
「実践的! てかそれって、あたしを落としたやり方じゃん」
「あと、もっと簡単なテクニックは、ほかの女の子とさんざん楽しそうにしゃべって(この先はチャンネル登録してね♪)」
僕らは6歳児だけどツイッターで愛を語るし、愛をシェアするし、愛のノウハウを惜しげもなく披露する。少子化は僕がブレイクスルーするので、大人のみなさん心配しないで。
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