マガジンのカバー画像

「短編小説集」

36
自作の短編小説集です。キャバクラ からファンダジーまで。作品によって幅があるので、気に入っていただけるものがあると嬉しいです。
運営しているクリエイター

#一駅ぶんのおどろき

【短編小説】 「幼稚園児が女の子にモテる秘訣を本気で解説します。」

生まれ落ちた瞬間からスマホを渡された世代としては、6歳児にしてnoteを書くなんて耳目を集めることではない。 同い年はみんなフリック入力ができる。ひらがなの筆記体の方が難しくて、僕も「ぬ」と「ね」がいまいち上手く書けないけど、スマホがあれば漢字まで余裕で打てる。 初めてツイートしたのは生後3ヶ月。 母のスマホから打ち込んだ「なかたたあはらか」という一文だ。ドラクエのふっかつのじゅもんではなくて、僕が入力したツイート。記念すべき画面を母はスクショしてて、今でもたまに見せて

短編 「シュガー・ハイ」

僕が初めてクスリをやったのは大学1年の夏だった。 当時、大学から徒歩30秒の寮に住んでいた。あまりにも近いから、家に帰るのが面倒な友達がよく泊まりにきた。たとえば同じ経営学部のトモミとか。 男が二人集まって深夜に何をしていたかといえばクスリ、ではなくて、ぷよぷよだった。 ぷよぷよ、というのは同じ絵柄のキャラを揃えて消すゲームで、テトリスみたいなもの。対戦モードでプレイすると、負けた方が即座にコンテニューを押すので勝負は延々と終わらない。 一晩中やり続けて100戦50勝