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「短編小説集」

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自作の短編小説集です。キャバクラ からファンダジーまで。作品によって幅があるので、気に入っていただけるものがあると嬉しいです。
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2019年3月の記事一覧

目醒めると全裸の美女が鎖に繋がれていた。

錆び付いて剥がれた浴室のタイルは冷ややかで、体温を奪う。身震いする気力も湧かず、視界が暗闇に慣れるのを待った。 頭が酷く痺れる理由は、昨夜の二次会で甲高い声の女と甘いウォッカを飲み競ったせいだ。俺のワイシャツの裾を頻繁に引っ張る女だった。二十三歳の新卒一年目。自分の肌艶の若さと、胸の大きさが武器であることを十分に承知していて、素知らぬふりで肉体を押し付けてくる。幼子の稚拙な作戦に陥落する歳でもない俺は、暫く巨乳の感触を肴に、酒を飲み続けることにした。 歌舞伎町の地下にある

四畳半に100億円の現金があって、今日中に使い切らないと死ぬ。

100億円をタダであげると顔見知りの資産家に言われ、受け取ったものの、すべて現金払いだったために、狭い四畳半のアパートは寝る場所もなくて焦っている。 せめて銀行振り込みにすべきだった。100億円がこんなに場所をとるとは思わなかった。ミカン箱ひとつで1億だから、それが100箱分もある。この極小空間によくぞ入った、と感動すら覚える。 段ボール箱は四畳半の天井まで隙間なく積まれ、窓から差し込む光もなく、部屋は薄暗い。蛍光灯の紐も見えないから、電気もつけられない。流しの上にも8箱